高市支持層の不安

高市政権が高い支持を得ているらしい。私には信じがたいことだが、複数の世論調査が似ている結果なのだから、正しいのだろう。社会に危険な何かが起き始めている。そう考えるほかない。高市政権は過去にない右より政権である。はっきりとした武力主義者である。そうした印象はまだ持たれていないようだ。ヒットラーは選挙で選ばれるというやつだ。
まさか武力主義を、若い人たちが支持する社会が来ようとは思わなかった。日本は80年前の戦争で、完膚なきまでの敗戦を体験した。敗戦に懲りて武力主義を放棄したはずだった。それからひたすら武力化を避けて、平和主義を基本にして、武力に頼らずその分を社会インフラに回し、経済的繁栄を築いた。
世界が平和主義の時代に移行するのかという、希望的な観測は崩れたのだろう。頻繁に戦争が起きる世界になってしまった。その背景にあるのは資本主義の競争が限界に来たからだ。国家資本主義の登場。独裁政権の登場。格差社会での貧困。
今や日本の平和主義は不思議な特異性のある、世界にわずかに残された希望となっている。その日本が普通の国になるとして、軍事力の増強を強め始めている。30年の停滞を経験した日本人は、耐えがたい閉塞感と、経済競争に敗れた不安の中にいるのかもしれない。競争主義は勝利者の思想なのだ。
武力主義を若い人が望んでいるらしい。原因は武力で世界を変えようという国が、戦争を始めている。武力では何も変わらないと言うことを、理解していないからだと思う。ウクライナ戦争を見ても、イスラエルのひどい攻撃を見ても、問題は深刻化するばかりで、何も解決できないではないか。武力主義は不安や疑心暗鬼が社会に起こり、さらに武力に依存すると言うことだ。
日本は30年以上の停滞した結果、欲求不満が充満してきたと言うことなのかもしれない。経済が悪くなると、格差社会が深刻化する。下層から抜け出られない人たちの間で、武力主義が生まれる。政府は問題を仮想敵国に目をそらそうとする。絶望の中から、武力で一気に世界を好転できるという、安易な考えが出てくる。心が弱いものほど、耐久力がないから、武力主義に陥る。
高市政権の特徴は、アベ政権を露骨にしたものと言うことだろう。あの統一教会と連帯した、反共産主義のアベ右翼政権の末裔である。何時の時代もこうした思想の人は登場する。社会がそうした武力主義を支持しないか、支持するようになるかが問題なのだ。
日本人が武力主義になりかかっている。しかも、戦争の一番の当事者である若い人たちがである。若い人たちが、武力以外で社会が良くならないと考えるようになったとも思えない。そんな考えに揺れ動くと言うことは、それだけ現状に希望が持てないと言うことなのだろうか。
その不安な停滞社会に日本を誘導したのがアベ政権である。その一番の後継を名乗る、高市政権が武力主義を標榜して、支持率を高めているのだ。皮肉なことだ。これは、一時的な現象とみない方が良いのだろう。社会が変わり始めているとみた方が良い。
先日与那国島に小泉防衛大臣が来島した。この時点での与那国の自衛隊基地の視察である。そのときの記者団を前にした発言には驚いた。「与那国島の安全」を高めるために自衛隊基地にミサイルを配備するというのだ。高市発言と呼応している。今まで「日本の安全」を高めるために、与那国島にミサイル基地を配備するという、防衛大臣はいたが、与那国島の安全のことはあえて避けていた。
与那国島に自衛隊基地がないことが、与那国島としては一番安全なのだ。もし、中国が台湾軍事侵攻を行うとしたとき、武力のない日本の島を同時に攻撃するほど馬鹿なはずがない。台湾だけでも大変なことなのに、はじめから戦線を広げてどうするかと言うことになる。
小泉氏は良く頭が悪いらしいと言われるが、馬鹿を装うのがうまいのだ。与那国島を日本とアメリカをまもる、防人の島にしようという本音を歴代の内閣が、ひた隠しにしてきたことなのだ。武力主義者のはね返りだけが、堂々と沖縄に犠牲になって貰うしかないという、「正論」を語ったのだ。この調子では核武装論も出てくる。
中国が、台湾侵攻を行うとすれば、中国本土を攻撃するミサイル基地のない日本の島は無視する。ロシアがウクライナ侵攻をする際だって、周辺国に同時に攻撃範囲を広げることはしない。どれほど馬鹿な武力主義者だってそのくらいのことは考えるだろう。まして、相手は戦略的な中国なのだ。
中国は高市政権が「台湾侵攻があれば、日本の安全保障に関わる」と明言したことに、本気で怒っている。それは、台湾侵攻を中国の国内問題にしたいと考えて居るからだ。当然のことだろう。それを、日本の問題でもあると、高市政権が主張したのだから、これは黙っていられないわけだ。
この問題は本質的には日本の安全とは関係がない。台湾の安全の問題である。台湾が中国になろうとも、日本の安全保障とは関係がない。シーレーンが云々というような事情は確かにあるが、日本と中国が友好国であれば、何の関係もない問題である。日中友好の道を模索することしかない。
もちろん台湾独立を守ると言うことは、自由主義を守ると言うことである。台湾の大半の人が、中国との合併を嫌がっているのに、武力で無理矢理併合されると言うことを、見逃すわけにはいかない。という考え方は理解できる。しかし、それは日本の安全保障とは問題が違う。
この背景にあるものは、中国とアメリカの覇権争いなのだ。アメリカに利用されている日本。そして、アメリカは中国に関税による経済戦争を仕掛けて、レアメタル敗北が見えてきている。中国に対して、高い関税をかけられない状況なのだ。中国はこの経済戦争で勝利を確信したのだろう。
中国は高市氏に発言を撤回させてくれれば、レアメタルで考えてもいいぐらいのことは、電話会談で習近平は発言したかもしれない。中国の武力侵攻はない。時間が経過すれば、必然的に中国が世界の覇権を握るのだ。それは覇権主義とか、武力主義とか言う問題ではない。中国の経済力がアメリカに勝ると言うことだ。
中国はそのときまで待つはずだ。中国の勝利は時間がもたらすことが分かっている。日本は中国との関係を断てば、さらに経済的危機に陥る。だから、あいまいな態度で、アメリカと中国の間をウロウロしてきたのだ。この姿は確かに歯切れが悪く、単純思考の武力主義者には耐えられなかったのだろう。
敗れる不安の中にいるトランプは、高市氏との間で、対中国の武力連携を約束したのだ。日本が先兵になり、ヨーロッパのウクライナになるので、日本が中国の状況を膠着させる。日本の軍事増強には中国を怒らせなければならない。台湾問題で中国を刺激するので、日本の防衛をよろしくお願いする。と高市氏は約束したはずだ。
高市総理大臣は、日本の安全のためには、与那国を犠牲にする。アメリカの安全のためには、日本を犠牲にする。この覚悟だから、日本を守って下さいとすがりついたわけだ。それを真に受けた小泉防衛大臣は、与那国島に来て、与那国の安全のために、ミサイルの配備をします。こう発言したことになる。
ミサイル基地がなければ、与那国島が無視されることぐらい、誰にでも分かっている。ところが防衛局は、何の関係のない波照間島の島民まで九州に避難する計画を立てている。沖縄まで中国が併合しようという風評被害。一体牛はどうするのだという話が出ていた。自衛隊と関係しない波照間島の住民は逃げる必要などない。
与那国島は最前線の島になり、このままでは住民はすべて石垣島に退去させられるのではないだろうか。自衛隊基地ができて以来、住民の減少が進んでいる。町長は自衛隊員に家族同伴を今回依頼した。頓珍漢であるが、確かに安全なら家族も来るはずだ。それはあり得ない。前線基地に家族で来る軍隊があるはずがない。自衛隊員は何が起きているか一番知っている。だから家族は来ないのだ。
ここまで来てしまった以上。中国に占領されたとしても、何も抵抗しないで、降伏するのが一番である。もちろん台湾侵攻で、沖縄まで、中国が同時に進行することがあるわけがないが。ミサイル基地があり、北京までミサイルが撃てるという状況が構築されたので、その日が来たならば与那国島は危うい。
これをヌケヌケと語った小泉防衛大臣はどう考えてもまともではない。ところが、実は馬鹿を装っているだけと考えなければならない。しかし、報道もスルーだ。本土のほうが大事か。今の日本の若者の動向を武力主義と考えている判断だ。何でもより勇ましいことを言うほうが、支持率が上がるという、AIの答えがあるのだろう。
与那国島は移住して暮らしたいと考えたほど、素晴しい与那国島である。自衛隊基地が出来なければと思う。さすがに基地の島に移住するわけにはいかなかった。中国の侵攻はないだろうが。しかし、島がミサイル基地の島になってしまえば、さすがに落ち着かない。
与那国島の自衛隊基地は、情報収集基地と言う話で始まった。基地出来れば人口が増加するというのが、当初の話だった。ところが一度自衛隊基地が出来たら、すべてがなし崩し的に、中距離ミサイルの配備まで進んでしまった。どこが与那国島の安全につながるというのだ。これを島民の町長が発言する。何がうれしくで島を売り渡すのか。
台湾侵攻の際にまず先制攻撃をする標的の島になってしまった。それは宮古島も同じである。石垣島は今着々とその準備が進められてはいるが、まだ正式な決定はされていない。何としても石垣島には、ミサイル基地は阻止しなければならない。中山市長は今説得をされている。丸○をくれればミサイルを受けいれると交渉しているのだろう。○○はなんだろうか。