ウクライナ侵攻へのアメリカの関与

   


  のぼたん農園にあるハイビスカス。防風林として植えられていたもの。この赤い花のものが、防風林には最適なようだ。強健で良く茂る。挿し木をしても一番良く根付くようだ。

 ウクライナ侵攻に居たる経緯がだんだん整理されてきている。特にシノドスに掲載された、溝口修平氏の整理は分りやすく出来ている。ロシアとウクライナの歴史的な関係をふくめて、ロシアの独裁者プーチンが何故戦争をせざる得なかったのかと言うことがある程度理解できるようになった。

 プーチンは狂気だったわけでは無いということが分かる。ロシア国民の独裁者プーチンへの支持率がさらに高くなった意味も理解できた。この時代に侵略戦争を行った、ロシアにある切羽詰まった状況と心理状態が見えてきた。だからといって、まったく許せないことには変わりは無いが。

 ウクライナにおけるロシア帝政時代のそれに続くスターリン時代の弾圧。民族的抑圧をふくめて、ウクライナには様々な民族の変遷と紆余曲折がある。そして8年前のロシアによるクリミヤ併合に至る。その後激しいウクライナの政府と親ロシア派との内戦状態が続く。ウクライナ国内の親ロシア派に対する攻撃をナチだと批判しているようだ。

 ウクライナにしてみれば、ロシアによる余計な内政干渉を行うと言うことになるのだが、ウクライナ人でありながらロシア語を話す人達が、ロシア時代を懐かしみ、ロシアに帰属したいという意識がある事も自然なことなのかも知れない。といってもこの人達の多くはウクライナに強制移住をされた人なのだ。

 クリミヤにいるロシア人の多くはスターリンによって移住させられたロシア人と言うことだ。ロシアは人間を大きく移動させてしまう。朝鮮族の人達も、大量に西に送られた。ロシアは様々な民族を移動させながら支配している。今もウクライナ人をシベリアに送っていると言われている。

 クリミヤではロシアによる住民投票が行われた。その結果に基づく、地方の独立、その翌日にはロシアへの併合。それを認めないウクライナ政府。投票結果はロシア帰属希望が圧倒的多数なのだから、この点で十分な平和外交が必要だった。この時平和外交をしなかったこと、出来なかったことが今の侵略戦争を引き起こした。そしてロシアの軍事的関与の強化。迫害を受ける親ロシアの同胞の救済の主張。

 一方でロシアに対抗するアメリカやNATOのウクライナへの兵器の供与。それは予想以上に大きく強力なもので、ロシアが簡単には侵略できないレベルのものにまで成っていた。もしNATO加盟が行われたならば、ロシアは軍事介入が出来なくなる。その前にロシアは全面戦争をすることを選択した。

 やはり大国の代理戦争の様相が見える。ウクライナは内戦をしながら、その間に軍事力の強化を続けて行いたらしい。その結果がロシアに簡単には負けないだけの力を蓄えることになった。アメリカが世界各地で繰り返している代理戦争と類似の流れである。

 日本におけるアメリカのやり方も同じである。確かに日米安全保障条約によって日本は恩恵を受けている。しかし、その背景にあるものは、日本の自衛隊はアメリカの軍事産業の顧客であり、アメリカの防人として利用される日本の国防である。

 プーチンにしてみるとこれ以上アメリカとNATOの強力が進めば、ウクライナにアメリカの原爆搭載ミサイル基地が出来ると思ったのかも知れない。プーチンならそこまで考えるだろう。その前に手を打たなければ、ロシアは滅亡すると思い詰めるところまで進んでいた。

 それは中国にも同様の危機感がある。独裁国家である巨大国家は常に危ない綱渡りをしているようなものだ。この不安感によって国内を結束させている。そして両国の不思議な協力体制が生まれたのでは無いだろうか。ロシアは中国の経済的協力が得られ確証を持って、ウクライナ侵攻を始めた。

 プーチンは4島返還交渉の中で、アメリカ軍が北方の返還した島に基地を作らない保障が無い以上返還は出来ないと言っていた。たぶんその真意をアベ政権は理解できなかった。プーチンは武力主義者なのだろう。そのプーチンが軍事的に押されてきて土壇場に立ったたときに、あがいて暴発してしまったのがウクライナ侵攻だったのだ。

 心境としては独裁者は金正恩と大して違わない。だから、脅しに原爆を使うと口にしたのだ。宇宙からのミサイル攻撃の実験を今行ったのも、まさに恐怖から起こっているのだろう。下手をすると自分の命が狙われているという不安に違いない。あのテーブルの距離はそれを意味していたようだ。

 アメリカは着々とウクライナを自分の側に引き込もうと軍事援助を行っていた。アメリカの主張する、自由と民主主義が独裁に勝ることは確かだが、果たしてアメリカの社会が自由と民主主義が生かされている社会とも言えないのが現実だ。

 アメリカが繰返しロシアの侵攻が近づいていると警告していたのは、アメリカのウクライナへの関与がいかに深かったかが分かる。ロシアに対する情報網も徹底したものがあるのだろう。

 その上でアメリカは直接の軍事介入はしないと言うことを初めから表明した。この面でもウクライナとは了解済みのことなのだろう。直接介入すれば、ロシアは確実に化学兵器あるいは核爆弾を投下するとみているのだ。ロシアの今回の侵攻は自分が滅びるかどうかの賭けだったのだ。

 しかし、ロシアの軍事力は想像していたより弱かった。張り子の虎だった。ロシアの兵士にこの戦争の正義が理解できないからだろう。ロシアの兵士には自由な判断力が不足している。ウクライナに侵攻すれば、ナチ化した政府に弾圧されているウクライナ国民から解放軍として歓迎されると思っていたという発言さえあった。

 まさかと思ったが、それほどロシアでは情報の偏りが起きているのだろう。ロシア政府の情報戦略と言うこともあるのだろうが、たぶんロシア人の性格からも来ているような気がする。ロシア人は余り人のことに関心が無いようだ。自分の暮らしに夢中で精一杯というところがある気がする。

 ロシアは中国よりも情報統制が少なかったにもかかわらず、ロシア以外の世界を知ろうとしなかった。それがプーチンの独裁を選挙によって選択していると言うことなのだろう。やはり国をどうするかはそこに暮らすすべての人が考えなくては成らないことだ。

 自民党政権を選択する多数の日本で、日本のことを考えることは気が重いことだが、あきらめて耳を閉じ、目をつぶれば、ロシアになるということなのだろう。自分だけ良ければそれでいいと考えてしまえば、民主主義は失われる。日本だっていつもその瀬戸際に暮らしはある。

 

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