フェークニュースと陰謀論の時代

日本では中国破綻説が繰返し報道される。国民が望む記事なのだろう。台湾侵攻が近くある。ということも盛んに言われる。中国がそんな危ない橋を渡るはずがないし、中国は必ず世界一の経済国になる。中国を悪く言わなければ居られないほど、アメリカと日本の劣化が起きている。
日本の停滞を直視したくない心理が中国批判に働いている。恥ずかしいまでのやっかみ根性なのだ。特に右翼保守派は日本の劣化はひどい。日本の軍国主義者は、アメリカの属国主義者でもあるから、アメリカ一国主義におびえている。中国を悪く言いつのり不安を紛らわせている。
石垣市長中山氏は極右勢力に操作され、岩場尖閣に問題を起そうとしている。14日には尖閣開拓の日の記念日を大勢の右翼国会議員を招待して行った。領土問題で中国を刺激するためのものだ。尖閣に灯台や港を作れと主張している。
開拓記念日に保守党の百田尚樹代表と有本香事務総長を招待した。あり得ない行動だ。保守党は石垣で講演会を開催して、石垣は日本の最前線だと息巻いた。まったく、石垣市民の安全を脅かす市長だ。尖閣問題を中国が攻めてくると言う陰謀論化しようとしているのだ。
中国にはこれほどの問題があるなどと、あれこれ言いつのり、日本の平和憲法を踏みにじるつもりだ。彼らの主張によると、2年も前に台湾侵攻は行われてい無ければ成らない。中国経済はとうの昔に崩壊してマイナス成長のはずだ。中国は確かに高度成長後の調整期にある。しかし、日本よりは増しなのだ。
現実の中国は経済成長を続けていて、必ず世界一になる。日本のバブル崩壊時とは異なる展開にある。この先も日本と中国の経済力の差は広がるばかりである。そして仮想敵国などと恐ろしくて言えないほど、軍事力にも差がついて行く。日本はアメリカと距離を取り、その分中国と友好関係を結ぶ以外に道がない。
日本の右派はこの前提を見たくも考えたくも無いものだから、根拠のない中国経済崩壊説で気分を紛らわせているに過ぎない。現実を直視しないで居れば、さらに日本はアメリカに利用される国になる。トランプの使い捨ての国家に成り下がるはずだ。
怖いのは、悪質なデマの流布やフェイクニュースが政府を動かし兼ねないことだ。これがトランプの登場であり、世界に極右勢力が広がり始めた原因になっている。誰が考えても、トランプ氏と相合い傘は無理だろう。トランプのでかい身体で、押し出されてしまう。
斉藤知事再選を見てもわかる。何が正しいかの冷静な判断力を社会が失い始めているのだ。ネット社会の怖さである。斉藤知事に対していじめが起きたという、陰謀論が広がった。兵庫県の県民は判断を誤った。斉藤知事は内部通報者に対して、探して処分するという犯罪行為を行ったのだ。その犯罪行為のために、内部通報をした人は自死してしまった。
それに対して反省もしない知事の姿を何故兵庫県民は無視したのか。批判精神を失った報道の劣化が、SNSのデマで動く社会が広がる隙を作り出しているのだと思う。原因は報道が、経済原理からはじき出されて経営できないからだ。IT革命に順応できないまま、スポンサーに従うだけになった。
コンピュター革命の最中、報道は古いまま体質を変えられずに居る。AIが書くような記事を書いているのでは、存在価値がない。まだ新聞やテレビというマスコミは、50年前と変る事ができない。経済に左右される報道手段が中心になっている。
報道が世の中を動かしてきたという自負が裏目に出ている。インターネットのフェークニュースに対応が出来ない。本来であれば何が正しいかの基準を作るものが大手の報道機関のはずだ。テレビ、新聞は批判精神を失ってしまった。大勢に従う事しかできない。正しい未来を作り出す批判精神が、次の報道を生み出す事を見失った。
次の時代の報道の形はコンピュター革命により作り出されるものだ。日本はコンピュター革命に遅れた対応になっている。世界中が右往左往しているのだが、日本は何かを畏れたような消極的対応になり、マイナンバーカードの普及状況も最後尾国家になった。
情報の国家管理の不安が日本では強かった。政府に対する信頼がない。そして政府には強制突破する力がない。ぐずぐずしているばかりで、周回遅れになってしまった。アジアの国々はITで日本を抜き去ってゆく。一つ一つの国ごとに状況は変るようだが、アジア諸国の中でも、日本のIT化社会の流れに停滞が生じた。
それが日本の生産性の低さに繋がっている。お役所仕事と言われるように、大体の仕事はコンピュターの方が優れているのに、一向に取り入れることが出来ない。何故改善ができないのかと言えば、日本人の劣化としか考えようが無い。日本人全体が不安の中に居て、未知のコンピュター革命後の世界に自信が持てない状態。
2025年の崖と言うものを経産省は発表している。IT革命のことだ。日本の社会がこの崖を登り切らないと、世界からさらに後れを取るだろうというものだ。2018年に言われたものだ。この2025年の崖はすでに数年前から立ちはだかり、崖を登れない日本が、はっきりとしてきた。
IT技術の導入には高額なコストがかかるため、企業にとっては大きな負担となる。IT導入は業務プロセスの大規模な変革を伴うため、従業員や経営層の抵抗が生じる。ITを推進するための専門的な知識やスキルを持つ人材が不足している。初期投資が必要だが、企業は資金調達が難しい状況にある。
結局日本は企業は立ち後れたまま、IT設備投資をできないでいるのだろう。その結果日本企業の生産性は停滞したままでいる。世界の生産性向上が起きている中で、製品やサービスの競争力がここ数年目立って落ちて来ているのだろう。
新しいものに畏れを抱く、それは日本人が守りの姿勢に入っているからだろう。中国人は新しいものにも、巨大なものにも畏れがない。それがひどい結果をもたらしたのが、不動産バブル崩壊なのだろう。野心には失敗はつきものだ。失敗事例がある一方で、様々な野心が新しい世界を切り開いている。
日本は中国の失敗だけを見て居る弱気な社会になったのだ。高度成長期の日本も、公害など数々の悲惨な失敗はあったのだが、野望のようなものが渦巻く熱気があったわけだ。そして数々の成功が生まれ、日本の生産性の高さは世界で注目されるものになった。
中国を悪く言いつのる人達は自信喪失しているのだ。すぐにでも中国が攻めてくるから、防衛力を強化しろという理由は、不安にさいなまれているからだ。武力だけに頼るのでは、国の安全保障はない。本当の自信があるものは、他を悪く言うようなことはない。
世界の核爆弾を持たない国同士で、連帯し新しい枠組みを作ることだ。それだけが世界平和へのみちだ。それが出来ない理由は日本が、本質的にはアメリカの占領下に有り、日本の右翼は臆病でその支配から抜け出る方法を考えることが出来ない精神構造なのだ。
アメリカと中国との中間点に立つことだ。そして日本独立国家として、独自の平和主義を世界にアピールして行く。この空想のような考え方が日本の安全保障になる時代が来ている。アメリカ依存はあまりに危険なことだ。アメリカの核の傘はたたまれたと思わなくてはならない。トランプは人を傘に入れない。