アメリカの核の傘はたたまれた。
2025/04/24

トランプ氏がアメリカ大統領に就任する。これからアメリカファーストを進めることだろう。その結果は徐々にアメリカの衰退に繋がる。世界一の経済大国が、自国の有利だけに動くとすれば、確かに一時的にはアメリカの相対的有利が増すのは確かだ。
しかし、それはアメリカの友好国を減らすことになり、自滅の道である。アメリカの核の傘はたたまれたのだ。トランプ氏と相合い傘は出来ない。あの身体では、同じ傘では押し出されてしまう。トランプ氏は日本人のために、アメリカ人を危険にさらすことは間違ってもない。
トランプ氏の政権移行チームが、1月8日、1977年に制定された「国際緊急経済権限法 (IEEPA)」に基づく緊急事態宣言を、一律輸入関税導入の法的根拠とすることを検討していると報じた。 トランプ氏は大統領就任後、中国に60%、全貿易相手国に10~20%の輸入関税をかける 。とされている。
トランプは関係する国を経済と軍事力の力で動かそうとするだろう。従わざるえない国は多いだろうが、アメリカへの信頼が薄れて行くことになる。アメリカの圧力に対抗する、経済連携が模索されるはずだ。追い込まれる国々は共通の利益のために、連携して対抗する道をつくるに違いない。
アメリカは嫌われて孤立して行く可能性が高い。そして、一番攻撃されるだろう中国を中心とした経済圏が、力を増して行く結果になる。アメリカの孤立は中国の力を増すことになる。追い込まれる国々は中国の経済と結びつこうとする。日本はアメリカの一番の属国として、窮地に陥るはずだ。
トランプは具体的には関税と通称拡大法232条でアメリカの貿易赤字を減らす方針としている。貿易相手国には10%の関税を課し、中国などには232条によって、限界の関税を課す方針。これによって一時的にはアメリカの輸入額が減少し、輸出額が増えるのは確かだ。
その結果起こることは、ドルの10%以上の上昇が起こるはずだ。今起きている貿易赤字はドル高によって起きている。ドルがさらに上がれば関税の10%は、効果がなくなることになる。また輸出しようにも、ドル高で、アメリカの製品や農産物は高いものになる。輸出品は競争力を失うことになる。
世界経済はグローバル化することで経済成長が促されてきた。後進国は安い労働力と安い自国通貨を材料にして、輸出を増やしてきた。世界各国が後進国だった中国に生産拠点を置いた。中国で生産することで、生産費のコストダウンが出来たのだ。日本の絵の具も中国で生産する所が在る。
35年前絵画交流団で中国を訪ねたときには、上海藝術大学の生徒が使っていた絵の具は中国製ではあるが、チューブの蓋が開かないので、お尻から絵の具を出していた。その中国がフランスの高級絵の具を当たり前に生産して、フランス絵の具として世界中に販売して問題が無い。
当初絵の具が中国生産になったのは、中国には環境基準がないから、カドミュームなどの絵の具も垂れ流しで作れるからだといわれた。先進国で作れなくなった、バーミリオンなども作れる。とまことしやかに言われていた。ところが、今では絵の具の材料となる顔料は、絵の具会社は、巨大な顔料会社から購入して作るのが当たり前の事になった。
こうして、中国は技術を高めて、模倣してまがい物を販売しながら、忽ちに世界の技術を我が物にした。当然環境対応は厳しくクリアーしている。習近平政権は環境政策に本気で取り組んでいる。こうした事実はあまり伝わらない。日本政府に忖度しているのか、報道機関は伝えようとしない。
そして、メイドイン中国のIT製品が世界に流通するようになった。特に環境関連製品を中国は国家プロジェクトとして開発して、EV車や太陽光発電分野では世界を圧倒し始めた。国家資本主義は巨大国中国にとって、経済競争をする武器になったのだ。
その国家資本主義は富裕層を生むという、不思議な共産主義国家を作り出した。アメリカも同様である。競争主義社会が年々厳しい競争になり、普通の能力のものでは競争に負ける社会が生まれ始めたのだ。一般労働者が貧困層になる社会が広がり始めた。
この格差社会、もう階級社会という方が良いのかも知れない社会は、極右政党を生み出している。各国が自国優先主議を主張し、外国人労働者や不法移民の排斥を強化し始めた。競争に勝たなければ国が破綻すると言う脅迫されている。予想された資本主義の末期現象が、次第に姿を現してきている。
トランプのアメリカ独善政策は、1年後には破綻を迎えるはずだ。日本政府はアメリカに特別枠をお願いして、アメリカにへばりつく事だろう。そしてさらなる衰退と混乱を迎えそうな気がする。日本政府はここで大きな転換を目指さなければ、アメリカと共倒れに陥ることになる。
まず、正義のないアメリカ一国主義が成功するはずがないという、認識に立つ必要がある。正しくないこと、倫理のないことは一時の成果を生んでも必ず、衰退を始める。経済というものはそうしてバランスが取られるもののはずだ。世界の歴史は揺れはあるが、結局はそういう結果になっている。
アメリカの輸入は確かに減少する。アメリカの消費者は高い買い物をすることになる。中国やカナダやメキシコには高い関税を特別に課すと言っている。3割も高くなる製品をアメリカの消費者は買いがたくなるだろうか。日本の車も売れなくなるはずだ。
多額の関税は減税に当てるとトランプ氏は主張している。中国に関しては早い段階で50から60%の関税が上げられることになる。しかし、日本に対しては関税が交渉材料にされるはずだ。同時に在日米軍の経費負担増や、アメリカからの武器輸入が求められることになる。
日本政府はの交渉材料は何かと言えば、中国への接近である。米軍の日本からの撤退である。核兵器による拡大抑止政策の終了である。アメリカは日本は言いなりのはずだから、言いたいことを主張してくる。日本が独立国家であることを、いよいよ主張しなければならない。アメリカとの一方的同盟の破棄。
中国との関係を変えて行く機会にすべきだ。中国は経済的に追い込まれるはずだ。この機会に中国との友好関係を深めることが、両国にとっての共通の利益になるはずだ。中国はすでにその危機認識はあるはずだ。それがまたアメリカの目を覚ます要因にも成る。
世界経済のグローバル化しか未来はないことをアメリカに認めさせなければならない。グローバル化とは経済先進国が、後進国の経済の近代化に手を貸し、新しいコンピュター革命後の世界標準を広め、共に経済発展する考え方だ。これは世界を豊かにする手段になるはずだ。
残念なことに、アメリカが一国主義になるにもかかわらず、日本政府はアメリカの属国でいようとするだろう。その理由は原爆を持たなければ、独立できないと考えているからだ。それは野党も同じなのではないか。野党がアメリカに従うのはもう沢山だと主張するべきだ。
野党も含めて日本の政治は、平和主義日本を忘れているのだ。国会議員はもう一度日本国憲法を読見直して欲しい。謙虚な気持ちで憲法を読み直せば、攻撃的武器の保持は出来ないことが分るはずだ。憲法に従い政治を行うことが議員の勤めであることを思いだして欲しい。