沖縄警察官による高校生警棒殴打失明事件

   



 「警邏中の警察官による高校生警棒殴打失明事件」沖縄県警察本部の30歳の男性巡査は、ことし1月27日の未明、沖縄市内を1人でパトロール中、17歳の男子高校生が運転するバイクを止めようとつかみかかり、持っていた警棒を接触させ右目が失明するなどの大けがをさせたとして今月2日、特別公務員暴行陵虐傷害の疑いで書類送検されました。ーーーNHK 

 沖縄県警の対応のまずさが目立つ事件である。何故、高校生は警棒で殴られて、失明しなければならなかったのか。この事件で該当の警察官は告訴されているので、高校生に対して過剰な暴力を振るったことで裁判にかけられることになっている。

 沖縄県警は、加害警察官が少年に職務質問するためにバイクの停止を求めたが、少年が止まらずに向かってきたと説明している。しかし、少年は、加害警察官から停止を求められていません。突然物陰から出てきた加害警察官に、声をかけられることもなく、突然棒のようなもので殴られたと主張している。

 少年は暴走族などではない普通の高校生であった。少年は、ヘルメットを着用して、路地を普通に走行していたに過ぎず、そもそも職務質問が必要な状況でもなかった。 また、沖縄県警は、加害警察官が右手に警棒を持ちながら停止を求め、左手でバイクや、少年の身体に触れたと説明している。

 少年は、加害警察官に突然掴みかかられたという認識だった。今のところ 沖縄県警は、加害警察官が少年に職務質問をするため停止を求めたが止まらなかったために、警察官が少年に掴みかかった、という行為を故意の暴行と認定している。少年は、突然物陰から出てきた加害警察官に殴られたのであり、状況判断を誤った警察官による、故意の暴行があり、少年を失明させた事件と言うのが今のところ判断できる。

 ところがそれらの事件を警察はごまかそうとしてきた。当該の警察官は宮崎県警から『特別出向』で赴任している立場だった。そのことが判断を狂わせた可能性がある。以前にも出向の辺野古警備の沖縄からの出向警察官が暴言を吐いた事件が問題になった。

 『ないちゃー(内地人)』が『うちなーんちゅ(沖縄人)』に重傷を負わせたという事実が明るみに出た時の世間の反応を、沖縄警察は相当気にかけていたようです」 と言われている。はっきりしているのは警察はその後の暴動がなければ、この事件は明るみに出なかったと言うことである。

 この警察官はこの事件の報告をしていない。自分が腕にケガをしているにもかかわらず、その場をはなれたのだ。自分のケガを報告すれば、自分のとった行動が明らかになるので、ごまかそうとしたと思われる。救急車は被害者少年が連絡してきたものだ。そこから事件としての調査が始まる。その後この警察官は取り調べもされずに、そのまま警邏勤務をしていたというのだ。

 少年のどこかに不審な点があったとするのであれば、それをまず明確にした上で少年と争うべきである。警察は少年に謝罪したにもかかわらず、その謝罪の理由が、当人とその家族への状況説明と、記者会見での状況説明が違っていると少年の弁護士は記者会見しているのだ。

 そもそも警察の記者会見自体が、発生から9カ月以上たって初めてされた誤解を呼ぶ謝罪 会見だったのだ。身内を正当化できる可能性を9ヶ月探ったが、見つからなかった結果、警官を処分し謝罪をせざる得なかったに過ぎない。誤るのが余りに遅すぎる。遅すぎるだけですでに謝罪の意味をなさない。

 この間、SNS上で高校生に対する差別投稿やデマが拡散された。高校生は周囲に将来への不安を口にするなど、深刻な二次被害が生まれた。 「暴走族である。ノンヘル運転。無免許運転。」等々の事実無根の誹謗中傷を受けているのだ。

 警察がすぐにも、警棒で飛びかかった警官の行為の非を認めて、謝罪していれば少年がこのような中傷を受ける必要は無かったのだ。

 何故このように警察の対応が遅れたのかと言えば、この少年への警官暴行事件がSNSを通じてすぐに拡散され、400人と言われる高校生が警察前に集まり暴動に近い状態になったからだ。そして今に成って、その暴動行為をしたという7人が書類送検されたのだ。

 警察の発表では「暴走族を警戒中の警察官がオートバイに乗った少年を制止しようと接触、少年は走り去った」「少年は接触後に単独事故を起こし、右目の眼球破裂という大けがを負った」その時点で警察官の接触と少年のけがとの因果関係は不明という説明を警察はしていたのだ。

 これが沖縄テレビ報道されてゆく。ところが、テレビ報道とは違う現場からの情報が、報道を知って、周囲で目撃した高校生が、高校生の間にこのままでは警察が事件を隠蔽しようとしていると拡散されてゆく。確かに最初の発表と、その後の警察の対応を見れば、隠蔽しようとしていたのは事実である。

 暴動がなければ、隠蔽されて終わった可能性も高い。まさか警官が職務質問のために警棒を振りかざして襲いかかるなどと言うことは考えられない。警察自身がそんな警官が居るとは思わなかったのだろう。しかもその警官は腕をケガしていたにもかかわらず報告もせずに、その後も職務を続けていたのだ。

 警官であれば、職務中に起きたケガはすぐに報告し、対処しなければならない。当たり前の事だ。ケガを報告しなかった背景には、自分の失敗をごまかしてしまおうという意識が働いていると考えて良い。簡単に言えば、暴走族の取り締まりに駆けつけたところ、バイクで走ってくる若者がいた。それでとっさに止めようと飛びかかってしまったのだろう。

 この行為が間違っていたことは後でこの警官は気付いたはずだ。バイクを実力行為で止めること自体が間違えな訳だ。そのバイクは暴走行為をしているわけでは無い。怪しいと思えば止まれと指示をして、止まらないのであれば、ナンバー、風体を確認して、本部に連絡をすべきだったのだ。落ち度があったから自ら報告をさえしなかったのだ。

 警官に警棒で殴られて、高校生が失明。警察はこれを隠蔽しようとしているという、情報が拡散広がり、隠蔽許してはならないという高校生が警察署の前に集まる。これは当然のことで、むしろそうあって欲しいぐらいのことである。この時の警察側の態度が間違っていたのだ。

 テレビ報道一時間半後に、警察署前に集まった高校生に対して、冷静に正しい情報を伝えるべきだったのだ。そして警察署長が自ら高校生の前に現われて、必ずこの間違った警官に対して厳正な処罰をすると謝罪すれば良かったのだ。それをせず、力で抑えようとした。

 高校生を含む若者達の400人もの群衆になり、暴行事件を隠蔽するなと叫んでいるのだ。この暴動になりかけた群衆に対して、警察は対抗的な実力行使の態度で取り締まろうとした。これが暴動の引き金を引いて、群衆の投石が始まったのだ。

 警察には暴動を沈静化する知恵も力も無かったのだ。むしろ、火に油を注ぐ行為の責任は、警察襲撃事件の引き金は警察側にある。暴動を沈静化すべき役割にある警察にその能力がなかった。事実は今後の裁判で明らかにすべきだ。むしろ暴動静止を出来なかった警察の責任が問われなければならないことだ。

 7人の少年の書類送検が今回行われた。7人の少年はこの暴動を引き起こした責任があるのだろうか。いくつもの警察の間違った対応が重なっている。今後裁判で明らかにしてゆくべきだ。警察は書類送検したことで、自らの誤りを公にしなければならなくなったのだ。これから始まるだろう裁判で、警察の対応ミスを明らかにしてゆく必要がある。

 今回もし暴動がなければ、高校生の失明の実態は明らかにされることはなかった。警察はごまかして終わりにしたはずだ。暴動が良いこととは思わないが、身体を張っても許しては成らない場合だって在る。その行為を違法だというのであれば、警察の隠蔽しようとした事実の違法性が問われなければならない。
 
 

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