防衛費の増額の危険

   



 岸田総理大臣は中期防衛力整備計画で示す2023~27年度の5年間の防衛費の総額を「43兆円規模」とするよう指示した。そこには敵基地先制攻撃ミサイルの配備が含まれている。日本の防衛計画は専守防衛からの大きな転換になる。十分な議論がないまま行うような簡単なことではない。

 これは防衛費を国内総生産(GDP)の2%程度に増すと言うことになる。国の財政は大きな赤字状態である。借金まみれの財政再建計画中である。まったくそのめどが立たない中で大丈夫なのだろうか。財政が破綻すれば、軍備どころではなくなる。

 政治にはもう諦め気味だが、困ったことに政治の方が石垣生活を脅かしてくる。敵基地先制攻撃ミサイル配備が石垣島では行われる。こうなるとは予測して居たことだが、アメリカと本土の人間で、先島列島を防人の島にする計画である。人間の盾作戦のまさに悪魔のような計画である。

 戦争が起こるとすれば、まずミサイル基地に先制攻撃がなされるだろう。その時に先島の人間の避難方法すら計画が出来ていない。5万人はどうやってどこに行けば良いというのだろうか。飛行機で行くならば、1000便必要になる。たぶん限界を超えているかも知れないが。1日50便飛んだとしても、20日はかかる。その間に多くの住民の犠牲が出るだろう。

 船と言っても自衛隊の船は住民避難には使えない。ではどこまでどうやって逃げれば良いのだろうか。島内に避難設備など全くない。先島の住民の安全などまったく無視した、ミサイル配備が進んでいるのだ。本土とアメリカのために沖縄が犠牲になれば良いという話だ。

 石垣市長中山氏は石垣市民が命の危険にさらされる、自衛隊基地をわざわざ誘致したのだ。驚くことにその中山市長が市長に再選された。現状では自衛隊基地は市民が認めた物になっている。自分の頭にミサイルがとんでくることを石垣市長と石垣市民は望んでしまったのだ。まったく信じがたい選択である。

 腹が立つが少しは本土の人達は一安心したかも知れない。石垣島に住んでいて大丈夫ですかと笑った人まで居る。他人事なのだ。石垣島が攻撃を受けている間に逃げれば良いと考えているのだろう。そうやって時間を稼いでいれば、アメリカが反撃をしてくれるはずだ。これが岸田政権の考え方である。先島の人を除けば正解なのであろう。

 しかし、武力に対して武力で対抗できるするという考え方は必ず失敗をする。敗戦という大失敗をもう忘れてしまった。日本国憲法はその結果できた憲法である。歴史がそのことを示している。世界で起きている武力紛争や軍事侵攻が何かを解決できたかと言えば、問題を悪化したばかりである。

 ウクライナでいまも9ヶ月の長きにわたり戦闘が続いている。この戦争はクリミヤのロシア併合から始まったわけだが、そもそもはソビエト連邦の一員だったウクライナが、国家として独立したところから問題は始まっている。さらに言えば、帝政ロシアのウクライナ支配がある。根深い歴史的問題なのだ。

 その解決を武力で行うと言うことは不可能である上に、問題をより困難な状態にしている。戦争で解決できる国際問題は無い。常に問題を悪化させるのが戦争と言う武力行使である。例え勝利した国でも、必ずその恨みが帰って行くものだ。

 今日本は台湾統一問題が身近な紛争となっている。北朝鮮問題もある。分裂国家の二つが近隣諸国なのだ。これを解決することは武力によっては不可能と言うことを、大前提として考えなければならない。誰かが武力を使えば、問題はより根深い混乱した物になるばかりなのだ。

 紛争の解決のためには平和的努力以外にない。平和的努力で国際紛争を解決すると言っても、確かに実効的な方法は見当たらない。方法が見当たらないから、やらないでいいと言うことでは無いのだ。敵基地攻撃ミサイルはさらに実効性がない。中国や北朝鮮の原爆ミサイルから見れば、おもちゃのようなものだ。

 原爆には原爆で対抗しなければならないという話が必ず出てくるはずだ。武力競争が始まると言うことになる。一体これほど財政赤字の日本が中国に対抗するとなれば、北朝鮮のような国民無視の国家になると言うことだろう。こんな選択はしてはならない。

 効果が無いと見える平和外交であっても、あらゆる角度から粘り強く探求するほかないのだ。例えば、尖閣諸島を解決するために中国と外交交渉を始めるべきだ。何もやらないで、中国を非難してばかり居ても緊張関係が高まるばかりである。

 石原慎太郎がわざわざ中国との関係を緊張させるために、尖閣国有化をしたのだ。石垣市の中山市長はそれ以来の手下なのだ。ここに石垣市の土地である住所表示をした。まったく愚かな緊張を高める方法である。そうして日本を緊張させて、軍事国家を目指すという極右勢力の陰謀である。

 これだけの経済危機の中、日本は衰退の道を転げ落ちている。ここで軍事国家を目指したところで中途半端な物になるに決まっている。むしろ、日本の国防には、まず食糧確保である。食料自給率が38%の国が戦争など出来るはずもないだろう。国をしっかりした状態にするのが国防の基本だ。

 戦争などしないでも日本を締め付けることなど簡単である。中国だって食糧輸入国なのだ。中国は日本よりも輸入余力がある。まず自給率を高めることだ。現代の戦争は経済圧力から始まる。石油が輸入できなくなるのもたしかに困ることだが、食料となればそれ以上に困る。国民が餓え出せば、降伏するほかない。

 次にやるのはITの安全保障である。時に携帯電話が使えなくなっただけで、日本の社会は回らなくなる。病院のデーターが狙われて、病院が麻痺している。こんな状況なのだから、外国からITが本気で狙われたらそれだけで危ういだろう。

 そして次に怖れているのが、原発の安全性である。ロシアが盛んに原発攻撃をした。あれは恐ろしかった。原爆など落とさないでも同様な効果がある。ヤケになって原発めがけてミサイル攻撃をすれば、もう日本は終わりになるだろう。敵基地などと言っている内にすでに潜水艦から発射できるミサイルを装備しているのだ。

 ロシアを見ていると、盛んにドローン攻撃をしている。そして、病院とか、発電所とか、ダムとか、そういう生活インフラを破壊する。どこから見ても日本の防衛計画がが余りに旧態依然としたものだ。ミサイルを沢山持ったところで意味が無いと言うことを考えなくてはならない。ウクライナの武器は西側諸国が提供している。

 NATOのような友好国との幅広い連携が必要だ。小さな北欧の国でもNATOに加盟することで、ロシアに対抗しようとしている。韓国や台湾やアジア諸国と仲良くする。出来れば中国とも仲良くなる。武力で身を固める前にやるべきことはいくらでもある。

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