「コロナ接触確認アプリ」と「マイナンバーカード」
政府が進めようとしている「コロナ接触確認アプリ」と「マイナンバーカード」はいずれも広がらないとみているが、果たしてどうだろうか。政府は肝心な点で配慮が欠けている。国民が登録情報漏洩に不安を感じていることは分かるだろう。その上に、政府が情報を悪用するのでは無いかとも考えているのだ。
日本人は不思議なところで、権力に対していつも不安を抱いている。それは自民党に投票する人でも同じである。お国のためにと言った戦時中でも、お国には帝国主義日本ではなかった気がする。たぶん歴史的なDNAに組み込まれたような性格に感じられる。
アベ氏はコロナ給付金は、緊急性を重視して性善説で進めます。と記者会見で発言していた。つまり、政府の方も性善説で見て欲しいと言うことだろう。政府を性善説で見たらダメだ。何しろその給付金の業務は政府が行うのではなく、電通やパソナに丸投げしていただけだ。民間委託すると言うことは情報漏れの可能性は増大する。しかも、孫請け、ひ孫請けと続くのだ。
情報がこうしてダダ漏れで大丈夫なのかという点に、国民の多くは不安を抱いている。孫請けの会社の臨時社員になりすました某国のスパイが情報を持ち逃げすることだって想定できないわけではない。何でも外部委託する行政に対して、性善説というわけにはいかない。日本人として恥ずかしいくらいIT後進国化している。
情報は集まれば漏れる。必ず漏洩する。だから、情報を政府が集める場合、政府が悪用したくとも出来ない仕組みを、作り示さなければならない。当たり前のことだが、政府が仕組みを作るときには、現政府が野党になったときにも安心な情報管理の仕組みを考えなければならない。
来年春からマイナンバーカードを健康保健証とを連携すると言われている。それはいいことだと思うが。その時医療情報がどう管理されるのかと新たに不安になる。もし医療情報が漏れるとすれば、これは人権侵害に繋がりかねないだろう。
マイナンバーカードをどれほど有利なものにしても、問題は銀行口座と紐付けするという考えがある以上、登録者は増えない。国民の所得が完全把握されるのである。こうなるとタンス貯金と言うことになるのか。あるいはマイナンバーカードとは紐付けられない、海外貯金とか。
アベ氏も病気で総理大臣を辞めた経験がある。政敵に医療情報が漏れることは、政治家としては致命傷になるだろう。こう言う情報を集めるのが、独裁政権のやり方である。政敵の弱点を押さえておくのだ。遺伝的な疾患や精神疾患に対して、人間淘汰が行うと言う、独裁政権も過去にはあった。
政府がやるべき情報管理の大前提は、情報が限りなく安全に管理されていて、どんなことがあっても漏れ出るようなことはあり得ないという証明である。又漏れ出た場合、どのような補償が行われるか。どのように政府が責任をとるのか。どのような形で情報管理して行くかをわかりやすく説明することだ。それが出来ない間はマイナンバーカードは気持ち悪いものである。まして医療情報は不安が増す。
個人情報は憲法に定めた人権に及ぶ問題である。マイナンバーカードでは、そうした人権に関する説明を受けたことがない。だから普及しないのだ。政府は性悪説で考えなければ成り立たないものなのだ。悪い独裁者が登場したとしても、情報収集が出来ないようにしておく必要がある。
納税では納税者番号として、利用されている。つまり、国民の収入の把握のための番号なのだ。この番号事態は漏れても問題は無い。小田原市役所の納税課にいた友人が、ふとした会話の中で、私の市税の納付額を知っているなと感じたことがある。それはそうだろうと思うが、気持ちは良くないことだった。
どの段階で情報が漏れ出すのかは分からないが、ともかく内部の職員が情報を持ち出す事件は後を絶たない。ひどい事例では、行政のパソコンの記憶装置が廃棄されて、外部業者に処理を依頼した。その記憶装置がオークションで販売されていた。そんな事件さえある。この場合情報はどこまで漏れたか分からずじまいだった。
マイナンバーカードの情報流出は起きている。政府機関や自治体からマイナンバーを含むデーターの処理を請け負った業者が、許諾を受けずに再委託した。その結果、流出したマイナンバーの情報が少なくとも約233万6,100件にものぼることが、マイナンバー違憲訴訟神奈川・弁護団の調査で明らかになったと掲載されていた。
東京都江戸川区では、A社が委託を受け、そのA社がB社に再委託、そのB社がC社に再々委託をしていた。許諾を受けない違法再々委託によって本人や家族の12桁のマイナンバー、氏名、住所、給与、年金、住民税の額などの秘匿性の高い個人情報が流出していたとのことだ。
神奈川県内だけで13の国の機関や自治体が違法流出していたことから、全国的規模になると一体どのくらいの違法委託がされ、情報が流出しているのか分からないほどだ。結局の所行政改革で、外部委託が増加しただけなのだ。これでは情報管理は出来ないに等しい。
マイナンバーが盗まれることはまだしも。マイナンバーカードはICチップが埋め込まれていて、実印の役割も果たすことになっている。今度は健康保険証も兼ねる。もしカードを紛失して、悪用されたとしたら被害は実に大きなものになる可能性がある。すぐに効力を消滅できるのだろうか。
もちろんマイナンバーカードを盗まれたとしても、ナンバー情報さえ漏洩していないければ大丈夫だ。しかし、ナンバーは様々なところで記載はしている。どこかで漏れていない共限らない。このあたりの安全性をどういう方法で担保するか。これが普及の鍵である。
こうしたことが、こんどは医療情報にまで広がる可能性がある。正直どういう形でどう漏れてくるのか分からないのだが、政府はどうやっても情報漏れが起きないような仕組みを考える方が先だろう。この先、IT化が遅れる国が後進国と言うことになるのだろう。
世界最先端のIT国家、エストニアの事例ではIT国家が完成しているらしい。エストニアは北欧にあるソビエトから独立した小国である。国の方向をIT国家として方向付けて、世界で始めて、インターネット投票を行った国である。よほど情報管理に安心があるのだろう。
誰でもが知っているのは大相撲の元大関バルトである。立派な大関で横綱なるかと思ったが、残念なことにケガで大関を陥落してした。バルトの名前はバルト海に面した、バルト3国のエストニア出身という意味であった。バルトの故郷に帰る映像でエストニアの美しい風景を見た人も多いいのではないか。バルトは今はエストニアの議員である。
ーーー2007年には、総選挙でオンライン投票を可能にした最初の国となりました。エストニアは世界最速レベルのブロードバンド回線と、1人当たりの起業率が非常に高い国として知られています。市民は、自分の携帯電話から駐車料金を支払い、すべての個人の健康医療データはクラウドに保存されています。約95%の人がオンラインで行う税申請は、5分ほどしかかかりません。
エストニアはITセキュリティーでも世界一なのだそうだ。国が武力攻撃を受けて、国土を失ったとしても、エストニアのITは失われず、国家はITとして存続し国民はそこに登録をしているというのだ。だから、エストニア人には日本人も登録できると言うらしい。そこで3000人もの日本人が登録しているそうだ。国民が情報漏洩がないという安心の上に、国が成立している。
今度はコロナの接触アプリである。これで行動が完全に把握される。まあすでにそうなっているのだが。情報管理が一元化されることになる。これがマイナンバーカードや様々なカード情報を総合化されているのだろう。私自身も忘れているようなことが多い、私の行動が、国の管理者にはいちいちに明らかになり得る。今後は、いつどこに行ったのかは政府に聞けばいいと言うことになるのだろうか。