河合元法務大臣夫妻の選挙違反事件
命を救ったアカショウビンの写真である。道路の傍で100匹ものカラスにもてあそばれていた。車をあわてて戻して、死んでいるにしてもカラスの餌食にはしまいと拾った。そしてこの場所に静かにおいて、見えないようにしておいた。そばで絵を描いていた。二時間後にはいなくなっていた。好きなアカショウビンの命を救えたかもしれない。
河合夫妻の選挙違反事件は、日本の選挙がどれほど金権選挙であるかを表している。現金ばらまきをしたことが確かであっても、選挙違反になるかどうかは微妙なところなのだ。河合夫妻は96人に及ぶ関係者に現金を配ったことは認めている。その配布データーがパソコンに残されていて、復元された。それでも、これは通常の選挙に伴う行為で、買収ではないとしているのだ。驚くべき自民党の通常の選挙の姿である。
黒川検事をあれほど検事総長にしようとしたのは、どうも河合選挙汚職が関連していたと考えるとつじつまが合う。黒川検事には検事総長にするので、逮捕は見送れとアベ政権の間に密約があったのではないだろか。いつものやり方からしてそう考えるのが自然だ。
しかし世論の圧力で黒川検事が退職した。その後河合夫妻は逮捕されるに至った。黒川検事が常習賭博であったにもかかわらず、異例の軽微な処分で退職したことも、結局の所、忖度が働いたのではないか。想像もしたくないことだが、話が見えてくる。
自民党本部から、始めて立候補した河合杏里氏に1億五千万もの多額な選挙資金が与えられている。それは、総裁か幹事長の判断によるものとされている。そしてアベ氏も応援に出かけたし、アベ秘書は張り付いて動いていたという。現金配布の指示もその当たりから出ているのではないか。選挙資金はその大半を印刷関係で使ったとしている。確かに印刷屋の領収書はあるらしい。
しかし、もう播かれてしまった印刷物の実際は確認できない。何枚印刷してどう使ったかは闇の中である。よく考えられている。これがうまく出来た通常の自民党の選挙のやり方なのだろう。印刷屋とはあうんの呼吸が出来ていると思われる。長年のもたれ合いがありそうだ。これが何故選挙違反なのか、それならみんな同罪だというのが、河合氏の本音であろう。そうも主張している。
そのお金は一部は印刷に消えた可能性もあるが、一部が県会議員等の選挙応援のお願いに使ったこともまちがいないことだ。はっきりしただけで、2700万円と言われている。陣中見舞いというのか、選挙に伴う慣例と言うことらしい。なんと汚い選挙が慣例として行われているのだろうか。要するに票を金で買うという姿の典型例だ。これが当たり前のことだから逮捕できないと言われていた。
河合夫妻のことはともかく、こうした選挙で関係者にお金を渡すことを正当化する慣行をを止める必要がある。それでなければ、国民が国会議員の選挙のために税金を出している政党助成金の意味が歪んでしまう。政党助成金を止めると今度は財界のお抱えの自民党になるというのだろうか。日本の政治はお金にまとわりつかれている。
アベ氏は渡したお金1億5千万円には明確な領収書がある。公認会計士の監査も明確にされている。買収のようなそんな使われ方をしていないことははっきりしていると説明した。しかし、印刷屋の領収書はごまかせるだろう。確かにその闇を証明はできないと言うだけのことだ。ウグイス嬢の倍額払いも公認会計士は見逃したのではないか。ごまかそうと思えば出来る仕組みなのだ。
自民党関係者の選挙であれば、こう言うお金が動いて当たり前のようだ。これが小選挙区制の悪弊の一つとして、アベ一強の中で広がったものではなかろうか。金を出す方も、金を貰う方も、又こんな候補者に投票する有権者にもあきれたものだ。民主主義というものはいつもこう言う混乱が起こる。
小選挙区では地域の党員から支持をされなければ、選挙に出ることすら出来ない。そこで地域で選ばれるための理由が必要になる。河合氏には支持を得るためにはお金を配る以外思いつかなかったのだろう。小選挙区制は一日も早く止めるべきだ。ところが、小選挙区制が既得権になり、廃止が出来ない状態なのだろう。誰も止めると言わない。
間違えを間違えとして修正して行けるのが民主主義ではないか。アベ政権が余りに長期にわたり支配したことに、こうした露骨な弊害が噴出してきたのではないだろうか。様々な疑惑が起きても、有効な民主主義的な反応が起こらない状態になった。これが金権選挙の一般化の原因である。今回こそなんとしても、アベ政権を終わりにしなければ、さらに悪いことが起こるだろう。頼りない他の総裁候補のようだが、同じ人が長くやるよりは良いこともある。
自民党ではお金で人を動かすことだけが有効ということだ。お金を挨拶として渡さなければ、選挙で非協力な態度をとられる不安がある。嫌らしい議員の世界だ。この裏には既得権の固定化がある。議員という立場が既得権化されているのだ。議員になれば、これだけの恩恵がある。その立場を守るというのが、今の自民党議員の姿勢になっているのだろう。
だから、自民党内から強い反発が起きない。予算委員会の開催も拒否している。自民党としての説明責任を果たそうとしていない。こう言う金権選挙を一掃しようという意志が見えない。自民党議員の多くが後ろめたいところが、あるに違いない。そうでないなら、国会できちっと1億5千万円が何故、河合杏里に渡されたのかを説明して欲しい。
アベ氏は河合法務大臣を任命した責任は痛感すると。いつもの聞き飽きた弁明をした。普通の人間は責任を感じたら止めるのだ。ところがアベ氏は責任を感じたから、これから一層頑張ると言うのだ。これは詭弁だ。もし責任を感じて一層頑張るなら、この事件をとことんあからさまにすることが、当事者の責任だろう。
自分の秘書が河合杏里選挙でどんな役割をしたのか、明白にして貰いたい。何故、河合氏を法務大臣に任命したのかも、明白にして貰いたい。「安倍総理、あなたは疑惑の総合商社だ。」ちがうか、「安倍総理、あなたは疑惑のガレッジセールだ。」「安倍総理、あなたは疑惑の断捨離だ。」もう終わりの時が来たのだ。潔く退陣だ。
議員の立場を既得権として守っているのが自民党だ。そして、その恩恵をおこぼれとしていただく、有権者の集団がいる。これが桜の会の参加者である。ホテルのパーティーで接待して貰える人達だ。並んだ写真を撮影できて、営業や宣伝に使える人達だ。
桜の会が社会の功労者へ対する純粋な慰労の会であるならば、その名簿を破棄するなどあるわけもない。名誉としてむしろ長く残して置くことだろう。名簿を破棄するには理由がある。招待者に対する政治家の関与があったと言うことで、名簿を残せないことになったのだ。実は私の父はこう言う世界の人だった。それでおおよその感じは知っている。これは自慢ではなく、恥の暴露である。
金権選挙という妙な慣習が生まれたのは、日本人の一番情けない習い性だ。私の中にもこう言う嫌なところがないとは言えない。議員は公務員である。お金を貰って動くのではおかしいだろう。後援会は利権集団なのか。この機会にこうした悪習を一掃しなければならない。そのためにも河合夫妻のやったことを厳罰に処す必要がある。
もし河合夫妻の起訴が出来ないで終われば、今度は河合金ばらまき基準が出来てしまう。黒川賭博基準のように、この程度のことまでは許されるとなってしまう。さすがにそんな選挙では民主主義が公正に行われているとは言えないだろう。