国連気候変動枠組み条約第二十五回締約国会議(COP25)

   

最後のササドリ
 COP25合意文書は、現在各国が掲げる温暖化ガス削減目標と、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で採択された気温上昇を抑える目標の間に「大きな差」があることを認識しつつも、その差を縮めることが「急務だ」と言及するにとどめた。

 日本は2度目の化石賞を受賞した。これは褒められたのでは無くて、批判されたのだ。どうも小泉環境大臣はトンチンカンなことを言っていた。あえて批判されて日本の方向を変えようという逆説的手法だという人も居たが、どうだろうか。
 
 COP25は停滞したまま終わった。その責任はアメリカのパリ協定離脱。排出大国中国、インドの非協力。そして日本の化石化。深刻に受け止めていない国が多いが、日本はその中でもダントツである。確かにあと30年先に私はいない。だからいいのかもしれない。しかし、グレタさんが言うとおり、若い人には地獄のような世界が見えている。

 今なら、まだ間に合う。世界はその危機を認識しながら、手を打つことができない。今日が良ければ、先のことなど思い悩んでも仕方が無いと言うことなのだろう。しかし、この気候の変化は農業をやるものとしては、この気候の変化はもう明日のことでは無くなっている。昨年の稲作は極端な日照不足と、大雨で深刻な影響を受けた。

 大型台風の影響は深刻なことだった。河岸の田んぼは2カ所で崖崩れが起きて、未だ直すことができていない。来年の植え付けができない田んぼがありそうだ。水路も土砂で埋まったままで、このままでは水が引けない。春までにはなんとかしなければ、ならないが。この水路は小田原市の管轄であるのに、小田原市はやってくれるのだろうか。

 それは全国的なことだろう。日本は深刻な気候変動の中にある。都会で冷房の中でだけ暮らしている人にはこの深刻さが分からないのだろう。一度、夏の国会でノークラー日を設けてみたらどうか。東京オリンピックのマラソンと同じ事になり、夏の国会は札幌にして、早朝開催にしようと言うことになる。

 地球はギリギリの所に来ている。トランプのように、温暖化はフェークニュースでおわらせる人も居る。この神経がすごい。今起きている現実を理解しようとしない世界のリーダーが居る。アベ氏の場合は自分の考えは示したことが無い。多分アベ氏の理解の外のことなのだろう。原発だけにすがって、何の手も打とうともしない。

 アベ政権が打つ手と言えば、原発再稼働ぐらいだ。既得権益からの圧力で動いている。エネルギー計画を再生エネルギーに方向転換をすべきだ。アベ氏の目指した原発輸出などすべてが実現できなかったでは無いか。無駄なことをしている余裕は無い。
 温暖化対策のような、負担増を避けて当面の既得権益確保に追われている。その結果企業はお金を貯め込みながら、新しい産業開発をできないで居る。企業の再生エネルギー技術の開発に税制優遇を思い切ってすべきだろう。

 企業はお金を貯め込みながら、新しい産業への転換を目指す勢いが無い。本田宗一郎氏も松下幸之助氏も現われない。日産の混乱を見ていると日本の企業の実像が見えてくる。外国人に助けて貰いながらも、自分の利益にキュウキュウとしている哀れな社長像。

 再生エネルギー分野でも中国の方が先進的展開をしている。斯うして日本が技術先進国から、化石国に落ちて行く姿が哀れで情けない。この意欲の欠如はどこに原因があるのか。やはり拝金主義の蔓延にあるのか。実業では無く、お金を動かして儲ければいいというように、腐り始めているのか。

 蓄電池技術ではりチュームイオン電池の企業研究者の吉野彰先生がノーベル賞を受賞した。過去にはこうした先進的技術を日本人が切り開いていたのだ。現状では先端技術の研究力が落ちてきているのでは無いかと見える。だから再生エネルギーの技術が日本から出現しないのではないか。
 アメリカはひどい国ではあるが、バイオエネルギーなど再生エネルギー開発でも世界をリードしている。中国もそうだ。中国の再生エネルギー開発は完全に日本を凌駕した。

 貧しくとも、未来に希望があれば頑張れる。希望があれば苦しい努力も喜びが伴う。福島の原発事故を持って原発依存を止める覚悟が必要だった。原発事故はつらいことであったが、再エネ技術国に転換する契機でもあった。それができなかった。残念な日本。

 原発を止めて生活水準を下げても、と言うことができない国になっている。太陽光発電だけではだめで、当然蓄電池の開発である。吉野先生のように蓄電池の分野で、さらに新しい展開があれば、原発は廃止できるのだ。

 今の現状では日本に期待するより、再エネ技術では中国に期待した方がいいのかと思えるほどである。ここが情けないというか、残念なところである。なぜこうなったのかと言えば、人間の劣化。教育の劣化。民主主義の後退。社会の保守化。拝金主義。階層化された社会。希望の衰退。いろいろの原因が考えられる。

 どうすればいいかと言えば、食べるものからやり直すほか無いと思う。小学校で英語教育など馬鹿げている。やるべきはイネ作りの授業である。肉体労働を伴う一次産業を知らない人間では、新しい発見はできない。これは極端ではあるが、個人的には絵を描くためにはイネ作りが必要だと思いやってきた。

 感じる力、観察する力、身体を動かす力、論理的に考える力、自然を見る力、そして協働する力。イネ作りはこうした人間の基本的な能力を育ててくれる。それらのものを総合する力が無ければ、イネは十分には育たない。絵も同じもののようだ。

 日本はCOP25の会議において、何も示すことができなかった。温暖化による自然災害の影響は日本では年々顕著になっている。世界は化石燃料に依存する日本に対して、対応を迫っている。日本は自分自身に影響の大きい温暖化問題に対応ができない。

 国民の生活水準を落としてもと言うことができないのだ。利己主義である。未来のための我慢ができないことになっている。選挙制度も悪い。その結果選ばれる安部政権は化石化していると世界が言うとおりだ。
 リベラリズムが軽視され始めている。リベラリズムが結果を生み出せなかったと批判されている。確かに、リベラリズムではヒットラーのように世界を動かすことはできない。リベラル的歯がゆい停滞したかに見える議論を根気よく続けるほか無い。



 - 環境関連