イネの苗1本植と2本植の違い
今年のイネ作りでは苗の植え付け数で稲がどう変わるのかを観測している。1本植の田んぼ、2本植の田んぼ、3本植の田んぼ、一つの田んぼで、半分1本植で半分が2本植というところもある。7月21日の計測では分げつ数や稲の背丈はほぼ似たような状態になってきていた。今年は田植え以来、晴天続きである。日照不足と低水温が影響しやすい久野の田んぼだが、暑さと晴天続きによって、そうしたマイナス面は全くなくなっている。天候の条件が悪い時に、植え付け本数がどう影響するのかについては、今年は参考にならない。多分もう低水温の問題は無くなるとみている。一番気になる分げつ数は7月21日の時点20本は超えていなければと考えているが、平均で22本だった。この後24本平均になれば何とかなるだろう。峰の雪糯はすでに走り穂が出始めている。驚くほど速い。1本植の方より、2本植の方が穂が早く出ている。これは他の条件もあるので、何とも言えない。峰の雪糯は穂が実に大きなイネである。加えて葉の緑の極端に濃い種類だ。穂が出ていながら、これほど濃いイネは初めてである。
今回分かりやすく比較して気づいたことは、1本植の苗はイネの緑色のさめ時期が遅くなる。黄色に変わる時期が遅くなるという事だ。この理由はなかなか難しい。慣行農法の発想で言えば、窒素分が多いいところが、緑がいつまでも濃いと考える。ところが、同じ田んぼにおいて、明らかに1本植の方が緑が何時までも濃いという事が分かった。理由をどのように見るかであるが、今のところ、1本植の方が根が活性化しているとみている。簡単に言えば、イネが元気なのではないだろうか。根の窒素の吸収能力が高まっているから、緑の色が濃いのではないだろうか。1本植では分げつのしない株がある。理由は遺伝的なもので、そのイネの素質として、分げつが少ないタイプなのだろう。こういう株が無くなれば、すべてを1本植にできるが、選抜を続ければ、そうした悪い遺伝性質のイネが無くなるのかどうかも疑問がある。とすると今のところ実践としては、2本植にするのが、無難と考えている。
病気の問題がある。3本植の所が早くから、葉が茂っていた。しかし、現状では過繁茂というほどではなく、収まってきた。3本植えれば分げつが多くなる言うほどのことは見られない。ほぼ1本植と変わらなくなってきている。蒸れなどで病気が出ないかを注意していたが、今のところはそういう兆候はない。植え付け本数で倒伏にはどういう影響が出るかが今後の問題である。根が1本植の方が活性化しているとすれば、3本の方が倒れやすいという事になる。現状では間断灌水で土壌を少しづつ固めている。と言ってなかなか固まらない。2度代かきした田んぼはかなり固めないとならないのだろう。問題最も水を必要とする、出穂期前後の2週間8月前半から穂揃いの8月20日前後どう土壌を固めるかである。昨年は8月後半の台風で倒れた株が出た。倒伏はさせたくないが、水がなければ穂の充実がが悪くなる不安。
神奈川県の生育状況を見ると、平年より悪いという事である。分げつも少なく、色も早く落ちているという事だ。稲の生育自体は例年より早くなっているらしい。生育は進んでいるが、イネが活性はしていないのだろう。暑すぎるという気候の影響が悪い方に出ているのだろう。土壌がこの天候で早く分解を進めた気がする。その為に化学肥料での通常の管理であれば、肥料切れになっている可能性がある。しかし、自然栽培ではこの天候のお陰で、土壌の活性化が進んで肥料分が生産されている。むしろ良い結果になっているのかもしれない。これほどの過去とは異なる天候の場合、現状をよく観察して、それに応じた判断をしなくてはならないのだろう。私は田んぼを冷やすようにしている。流し水管理である。幸い川からの水の取り入れが自由になる田んぼであり、今のところ久野川には水もある。7日箱根には相当の雨が降った。その影響が久野川ではまだ残っているのだろう。何とか、8月20日まで水が充分にあって欲しい。幸い久野では、7月26日の夜58ミリの雨が降った。この雨はかなり偏在した雨だった。小田原の中でも100ミリを超えた所と0ミリの所もある。箱根はまったく降らなかった。イネはここからが水が必要な時期なのだ。ここで水が無くなると収量には影響が出る。