増長横綱白鵬

   

日本古来の文化の中の相撲にはとても愛着がある。現代のスポーツ相撲もテレビでくぎ付けになる。今回、日馬富士は横綱の名を貶めたという自らの暴力行為によって、自ら大相撲を引退するという事になった。自ら判断したことは良いことである。その理由は暴力行為ではなく、横綱の品格を傷つけた為と日馬富士は語った。それでは一体横綱というものはどのように特別なものなのであろうか。心・技・体を完成させた人間という事が言われる。その先にあるものは神と通ずることのできる力士という事になる。神の化身という意味かもしれない。横綱の言葉通り、綱を締めることの許された一番強い大関力士。綱とは神域を示すしめ縄と同じである。神社、おみこし、など神がおらす神域を表す。相撲取りにしめ縄をつけるという感覚は、村の奉納相撲の感覚を芸能に洗練させたと考えていいのだろう。江戸時代の人々には人間を神域とする不思議な行いに違和感がなかった。大相撲が江戸時代隆盛を極めた意識が見える。江戸時代には、観光旅行がお伊勢参りや大山参りという形で、寺社仏閣にお参りする、宗教的行為ということで許された。お遍路などもお寺参りである。相撲も神事であるという形で、幕府に許されようとした。

暴力は犯罪であり、教育的暴力も許されない行為だ。横綱だから引退するというような理由はいらない。引退ではなく、解雇をしなければならない。下位力士に非があろうがあるまいが、全く関係がない。横綱の品格問題は白鵬にある。横綱の品位を汚している。さらに悪いことには何が横綱の品位かなどという事すら理解を捨ててしまい。恥ずかしい行いが目立っている。白鵬は日馬富士とは違う意味で私には許せない。自分が立ち合いを失敗して、待ったをしようとした。ところが行司は軍配を返し、ハッケイヨイの声がかかっている。待ったが成立しなかったのだ。そのまま押し出された。ところがそれから、審判団に対して抗議が始まった。不服顔をして手を上げた。土俵に上がらず抗議を続けた。そして不服顔のまま土俵を去ったのだ。負けたらば潔く、引き下がるのが相撲取りの姿だ。まして横綱が何という見苦しさか。それでも、白鵬は優勝をした。ところが観客に対して萬歳の唱和を呼びかけたのだ。何故、優勝力士が万歳を観客に要求するのか。とんでもない見苦しさだ。観客が自然に発したものならともかく、こうした驕る姿こそ横綱の品格を失わせる。観客は萬歳もしたし、讃えた。私ならやめろと怒鳴り出すところだ。

白鵬はここまでひどい態度をとっている自覚がない。良くないふるまいだという事が理解できない。桁外れに強い自分が王者だという驕りで、常軌を逸しているように見える。さらに白鵬は「貴乃花親方が巡業部長なら、巡業には行きたくない」という発言をしている。自分で大相撲の世界をさえているような傲慢さが見えてきている。この姿は横綱の品格から遠く外れる。ここに大相撲の日本の古来よりの文化を効き継ぐの意味が問われる。日馬富士の暴力行為以上に問題なのは、横綱としての白鵬である。この白鵬に対して、引退勧告をするのが、横綱審議委員ではないのか。厳重注意で済むような話ではない。白鵬は注意をしても理解できていないのだ。何年も横綱をやっている内に、すっかり横綱の意味を忘れてしまったのだろう。それなら引退してもらえばいい。それだけである。どれほど強いとしても、自然という大きな神の前では小さな存在である。それは、序の口の力士も大横綱も同じく小さい存在であるという意識ではなかろうか。ここで白鵬を引退させられないとすると、これからの大相撲は忖度スポーツに成り下がることだろう。

貴乃花は一切の、不正が許せない人間なのだ。神の前にいるつもりで、向こう側に飛んでしまった人だ。だから大けがをしてしまったのだ。多分、稀勢の里も同じである。しかし、その素晴らしさを見ることのできる観客がいてのことだろう。簡単にいえば、忖度に関係しない人がいる。人間よりも神前の行為を意識しているから、忖度がないのだ。安倍氏のように白々しく、1月20日まで知らなかったなどと、平然と言い放ち、実は忖度を要求する人間とは異質なのだ。モンゴル力士同志の忖度がどうもうかがえる。今年初場所で、結果的に稀勢の里の「優勝」と「横綱昇進」になった貴ノ岩の白鵬に対する14日目の大金星は忖度不足と見られた。この相撲は誰が勝つべきか、ここで譲れば、次はお返しが貰える。モンゴルの横綱には忖度しなくてはならない空気感。そうすればいつまでも上位力士でいられる。ところが、貴乃花の弟子である、貴ノ岩は忖度がないのである。モンゴル互助会の親睦会に出ることも親方は許さなかった。そして白鵬に勝ってしまった。その為に可愛がり事件が起きたと思えて仕方がない。日馬富士はむしろ仲裁に入り、割を食ったのだ。安倍総理と同様に、忖度には証拠がない。証拠はないが、見ていればそれ以外に考えられないということもある。この状態を作り出しているのは、相撲協会である。そして、アベ忖度政権を作り出しているのは選挙民である。

 

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