石垣島県会議員選挙の分析

   

石垣島は八重山選挙区にあり、県会議員の定員2名の選挙区である。今回も保革一人づつが当選した。前回もそうであった。然しその内容は大きく違う。前回は保守系候補が2名立候補し、議席の独占を目指した。今回は革新系議員が2名立候補し、議席の独占を目指した。砂川氏が自民党候補で、前回も当選している。その得票数は保守が危機感から1名にしぼったにもかかわず、砂川氏は得票を減らしている。前回、8358票で、今回は7992票である。前回の保守票は2人合わせて16262票。つまり保守票が半減よりさらに下がっている。一方、今回の革新候補は票を倍増し13534票余り。保守の砂川氏陣営は中山市長をはじめ、与党市議14名が陣営を固めた。盤石の選挙態勢に見えたが、実は内実はどうせ当選するというゆるみと、自衛隊配備を争点にしないという作戦が裏目に出たようだ。若者票が、若い革新候補に集中したとみられている。

この選挙で石垣島の自衛隊基地誘致派と、基地配備反対派の力関係は明らかになってきた。住民投票をやれば間違いなく、基地配備反対が優勢の状況が明確になってきた。中山市長が市長になった要因は尖閣列島の所属問題があったようだ。石原元都知事が尖閣を寄付を集めて都有地にするという、奇策を推進した。その提案から、棚上げされていた尖閣問題が、一気に日中関係の中心課題にのし上がった。領土問題を取り上げるときには、たいていはその裏に思惑がある。中国脅威論を盛り上げて、憲法を改定し、軍隊を持とうという事が目的だろう。中国脅威論がけたたましく騒がれるために、一時八重山諸島全体に不安が広がった。このために自衛隊誘致の空気が生まれたと思われる。その流れで中山市長が誕生し、自衛隊基地の誘致まで行ったといわれている。そんなことはみじんもないというのが、中山市長の正式見解であるが。

国は防衛構想の中で、中国を仮想敵国として、八重山を防衛の空白地域として、与那国、石垣、宮古に自衛隊基地を配備する方針を進めている。アベ政権の姿勢からは当然出てくる構想である。軍事力で国を守る以外に国は守れないと考えている。そして、近隣諸国は経済力が急成長し、軍事力の増強も目立つ状況だ。北朝鮮に至っては、核保有してアメリカに対抗しようとしている。当然八重山の自衛隊基地は、アメリカと共用するという事になるだろう。そもそも、ミサイル基地を八重山に作ったところで、北朝鮮からの核弾頭を完全に防御することは出来ない。となると必要に応じて、先制攻撃を行うという事が出てくる。すでに自民党では核武装も先制攻撃も議論に挙がっている。石垣の3分の2の人たちが、むしろ自衛隊基地があった方が攻撃を受けて危険だと判断をしたようだ。基地がなければ何も石垣島に攻めてくるようなことはないだろう。通過するという判断である。本土の為の犠牲になるのは沢山だという気持ちだろう。

私にはこの軍事的状況を武力でコントロールできるとは思えないのだ。日本が北朝鮮に対して、あるいは中国に対して、核攻撃を行いそうだという事で、先制攻撃ができるであろうか。どこまでその攻撃を把握できるだろうか。武力が抑止力として機能するのは、自爆主義国家に対しては無理だ。国民がどう悲惨な状況になっても構わないというような冒険主義の国が相手では、日本のミサイル攻撃などお構いなしであろう。日本もまさか、一般市民を攻撃するような先制攻撃は出来ない。となると、もう武力よる平和な世界は無理だと考えた方が良い。ひたすらの平和外交である。大方がそんな夢物語で国を守れるか。国民の命は大切なのだ。という事を主張するきがする。しかし、武力による平和もいかにも空論に過ぎない。力関係に大差がない相手に対して、軍事力による防御など出来るはずもない。多分八重山の人たちは、自衛隊の配備が決まってから、どちらがより安全かを考えたのだろう。それが選挙結果に表れたのだろう。

 - Peace Cafe