尖閣諸島のロシアと中国艦船
突然尖閣諸島の接続海域にロシアの艦船と中国の艦船が侵入した。このことをNHKニュースでは正確に報道していた。ところが政府や他のテレビでは中国の軍艦が尖閣諸島に初めて侵入したというような見方を中心に示している。こうした意図的な扱いの裏に仮想敵国中国を感ずる。民放テレビは押しなべて、中国の脅威に着目している。それは知恵が足りないという事と同時に、政府の意向を汲んでのことであろう。今のところ大したことはないと甘く見ない方が良い、これが独裁の第一歩の姿である。尖閣諸島に先にロシア艦船が侵入し5時間もかけて通過した。それを追うように中国艦船が入ってきたのが事実である。ロシアも中国も間違えて侵入する訳がない。しめし合わせている可能性もある。理由を正確に見る必要がある。政府は真夜中に外務省を通して中国大使に慌てて抗議をした。ロシアに対しては抗議もしない。しかもロシアの行動を批判する報道もない。何か気持ちが悪い。
日本はロシアとの平和条約が残されているとして、欧米が制裁をしている機会に、あえて接近を計ろうとしている。何とかプーチンに来てもらおうと、アベ氏は何度もお願いをしている。その意図をロシアは見たいのである。わざわざ尖閣諸島の接続海域の通過をしたのだ。日本政府は中国の侵入をこれ幸いと、大騒ぎして緊急事態だと騒いだ。日本の安全が犯されたと国防会議の招集までした。にもかかわらず先に侵入した、ロシアに対しては一言の抗議もない。これが日本政府の原則のない弱腰外交だとロシアは見たに違いない。ロシアは漁夫の利を計ろうとしている。にもかかわらず日本政府はロシアは間違えて通過したことにして、中国は尖閣を占領しようとしてきたという事を流布したいのだ。この幼稚さが本音であるとすれば、日本は間違った道に進むことになる。
中国は尖閣を自国領土として、艦船で監視をしている。ロシア艦船が侵入してきたので、早速ロシア艦船に接近し、警告した可能性だ。ロシアは日本よりも中国の軍事強化に注目している。アメリカが沖縄から中国を監視しているのと同じことだろう。いずれにしてもこのことによって多くの日本人が、日本の軍事化を希望することだろう。沖縄のアメリカ軍の存在を評価し、八重山への自衛隊の配備を望むこともある。確かにロシアにも、中国にも、覇権主義がある。それは帝国主義的野望ともいえるような、前近代的な軍国主義を感じる。その背景に有るものを想像すると、経済的、あるいは国民の操作である。日本政府が、仮想敵国中国を持ち出す原因は日本人の国家意識のようなものを目覚めさしたいという誘導がある。同じくロシアもロシア国内の苦しい状況から目をそらしたいのだ。出来れば尖閣諸島問題に割って入りたいのかもしれない。アメリカが南沙諸島問題に割って入って、アジアへの影響力を維持しようとするのと同じかもしれない。
いずれにしても、領土問題こそ話し合いで解決すべきものだ。竹島は韓国の軍隊が常駐している。竹島を日本から奪い守っているという、国民の意識の反映。経済的に見れば負担以外の何物でもない。歯舞も色丹も同じことである。ロシアは国土を維持する負担を増やしているに過ぎない。同じことが尖閣にもある。中間地帯の領土は、国際管理にするとか、両国の共有地にするとか、第3の道を模索すべき問題だ。日本の固有の領土であるとしても、それは国というものが出来てからの話だ。そもそも土地は誰のものでもない。人間だけのものでもない。そういう観点に立てば、領土問題で戦争をすることがいかにくだらないことかになる。近海で漁をしていた収益と、その領土を守る費用とくらべてみれば、採算的に馬鹿馬鹿しいという事がすぐわかる。一日も早く紛争の火種をなくすべきだ。