臨時国会の開催拒否

   

政府は臨時国会の開催を拒否した。これは憲法違反ではないか。一日だけ休会中の予算委員会が開かれたが、政府の答弁は全く物足りないものであった。共産党の赤嶺氏が辺野古移転に対して、筋の通った質問を行った。2点である。環境影響評価の委員が工事業者から寄付行為を受けていたので、公正な審査が行われていない可能性がある。審議の内容の公表をすべきではないか。もう一点は沖縄県知事の工事差し止めに対する判断を、政府自身が行ったが、これでは中立公正な判断が行われたと言えないのではないか。2点とも全く持って正しい指摘である。政府の回答は中途半端で要を得なかった。何を答えているのかわからないものであった。臨時国会を開催して、徹底した議論を行うべきところだろう。国が県と裁判を行うなどということは、どう考えても健全なことではない。国は辺野古以外にない理由を示すべきだ。中国に近いでは根拠にならない。そのうえで十分な議論が必要なことではないか。

安倍氏は常日頃、十分な議論を行うということを力説している。政府の説明責任ということも述べる。ここでも自分の発言した言葉を自分で守らなかった。まさに2枚舌である。木偶人形であるから、セリフを覚えただけなのだろうか。国民全体という意味では、大半のことで意見が違うのは当然のことだ。だからこそ、議論を行い問題点を明確にする。そのうえで仕方がないところで結論を出す。これが国会の役目である。その意味では、大臣の香典の問題などくだらな過ぎる。野党もこういう末梢の問題で時間をつぶしている場合ではない。辺野古ではすでに工事が強行されている。政府は相変わらず回答と言えば、普天間飛行場の危険除去だけだ。それは当然のことなのだから、飛行場をまず使用禁止にすればいいのだ。そのうえで、移転先を探すのがまっとうな進め方だ。これは私の考えで、政府には政府の考えがあるはずだと思いたい。それをわかりやすく、正直に述べることが議論の出発点だ。

もうこれ以上沖縄に米軍基地はいらないという沖縄の声は、多数派になっている。当然のことだと思う。それでもどうしても沖縄周辺に置きたい。それでなければ、日本の安全が守れないという根拠があるのであれば、沖縄の無人島に作ればいい。それが嫌だというのは、海兵隊だけであろう。我慢をするか、沖縄を離れるかはアメリカに考えてもらえばいい。このところに日本政府は毅然とした態度を持つべきではないか。もちろん、韓国でもフィリピンでも受け入れてくれるならそちらに行けばいいのだ。今回、台湾が中国と首脳会談を行った。東アジアも少し様子が変わり始めている。中国と仲良くなることこそ日本の安全保障の根本である。中国と対立を深めるのは、日本政府がアメリカとの同盟を強め、戦争のできる普通の国という軍国主義から来ている。国民の意識を変えるための一連の政策なのだ。これこそ、安保法案が戦争法案と言われるゆえんである。東アジアの共同体を模索することこそ、日本の未来の枠組みである。それが平和憲法を持つ日本の方角だ。

世界はテロの時代に突入している。日本は愚かにもその真っただ中に割り込んだ。本来であれば、中立的立場をとって、つまりアメリカとは距離を置くことで、テロのリスクは下げられたはずだ。ところがアメリカに押し切られたのか、戦争のできる普通の国になりたいという、自民党保守派の長年の願望のせいか。極めて危険な立場に立った。日本国内でテロが起きないように外交的努力をしなければならない場面だろう。中国との対立を強めることは日本の安全保障から言えば、良いことは何もない。テロ国家が次々と生まれる要因は、武力主義にある。競争主義の結果である。資本主義経済の能力主義が世界にどうしようもない格差を生んでいる。勝つものの正義は努力したのだから権利だと主張するが、負けた者としては、悪条件に固定化されたままでいることに我慢が出来ない。恨みを募らせ暴力に爆発する。武力をもって押さえつけるだけでは、テロの連鎖は広がるばかりである。

 - Peace Cafe