スーダンPKO弾薬提供
井川1佐は、陸自が23日に国連を通じて小銃弾1万発を韓国隊に提供した際、韓国隊の隊長から「周りは敵(の反政府勢力)だらけで弾薬が不足している」などと切迫した要請があったことを明らかにした。
韓国国防省の報道官は24日の記者会見で、派遣部隊の予備弾薬が不足したわけではなく、あくまで緊急事態に備えた措置だと主張。日韓の主張の違いが浮き彫りになっている。
井川1佐などによると、日本時間の22日未明、ジョングレイ州のボルで活動する韓国隊の隊長から、「ボルの活動拠点内には1万5000人の避難民がいる。敵については北から増援も確認。1万発の小銃弾を貸してほしい」と電話で要請があった。日本側が小銃弾を引き渡したところ、23日夜、韓国隊から「ボルの宿営地と避難民を守るために使う。本当にありがとうございました」と連絡があったという。
スーダンの自衛隊部隊が、韓国軍に銃弾を1万発提供したということである。事実が確認できない状況だ。政府の発表では韓国軍の要請が緊急事態だったので、武器輸出三原則の例外措置として、弾薬を提供したということである。つまり、政府の吹聴する、積極的平和主義の実例ということになる。信じがたいのは、緊急性である。国家安全保障会議は議事録がなく、こういう時に検証することが困難である。韓国軍の緊急の弾薬不足が本当とは思えないからだ。韓国軍が激しい銃撃戦をしている状態ではない。仮に、韓国軍が銃弾を使いつくすほどの戦闘を繰り返している地域に自衛隊が存在しているなら、自衛隊は即刻引き揚げるべきだ。自衛隊は戦闘行為は行わないという前提で、スーダンに派遣されている。自衛隊のスーダンでの任務は、道路建設などのインフラ整備とされている。自衛隊が、国会での承認なしに、戦闘に参加して、緊急事態であったためでは済まされない。戦争というものは常に、こういう出先部隊の都合で始まる。
韓国軍が1万発の予備の銃弾程度を持たないで、PKOに参加しているとすれば、驚くべき装備の準備不足である。韓国軍がそれほど間抜けなものだろうか。何か不思議な事情があるはずだ。自衛隊も韓国軍も300名ほどが居るらしいから、一人、33発程度である。武器のことは分らないが、連射する銃だろうから、この量では忽ちに無くなるだろう。どうも説明が異なる不自然な事態である。既成事実を出先機関同士で作り上げようとしているのではないか。急激に戦闘状況が迫ったという、認識をもつことはある。それでも、自衛隊には武器を提供できない国内法がある。その位のことは韓国軍に認識がないはずがない。他の国の軍等に希望を出さないのはなぜか。韓国の本国政府にしてみれば、スーダンの韓国軍が、日本の支援を受けるなどということは、国内世論が我慢できないだろう。あまりにおかしなことだ。何か、不思議な関係を出先機関同士で作り上げていないか。
緊急性、人道的見地から、武器輸出3原則の例外として、韓国軍に銃弾を提供したというのが公式見解である。これが作られた話であって、なし崩しに法解釈を崩す手段ではないか。いずれにしても自衛隊が巻き込まれて行くことが一番恐ろしいことだ。事実を出来る限り公表し、韓国との食い違いを正してもらいたい。南スーダンの現状も、国民に正確に伝えてもらいたい。現在自衛隊は、PKO本体業務以外の道路建設等を担当する施設部隊が首都ジェバに駐留している。どうも首都付近に居る自衛隊も安全とは言えないようだ。早急に引き上げるべきだ。南スーダンの内戦について、自衛隊が出来ることは何もない。道路工事が出来ない状況なら、一日も早く、引き上げるべきだ。何もできないのに、スーダンに居ることが、積極的平和主義とは言えないはずである。安倍政権は既成事実を作り、法解釈を広げようとしている。そのために今回の事件を、拡大解釈して利用しようとしたのだろう。