合併浄化槽の設置
合併浄化槽を設置した。前から浄化槽はあったのだが、トイレだけの浄化槽で、生活排水はそのまま久野川に流していた。まずいと思いながら、越して来た時のままだった。極力洗剤は使わない。出来る限り水は汚さないように暮らしてきた。汚染している水を流してきたつもりはない。私の家の排水が、田んぼに入るのだから、当然そういう気持ちで水を使ってきた。しかし、いつか排水そのものを出さない暮らしをしたいと考えてきた。それは筑波大学教授が自宅で、そういう実証実験をされていた家を、見学に出掛けたときからの考えであった。オリザ農園の窪川さんと良くその話をしていたのだから、30年前からの考えだ。雨水でも、糞尿でも、ごみでも一切のものを外に出さない暮らしが理想だと考えた。大変なことのようだが、簡単に言えば、昔の暮らしである。水については、合併浄化槽を付けて、その排水を畑に利用しようという考えである。
一度書いたのだが、浄化槽の管理には、一定の保守点検の条件がある。この文章の通りで、何も専門の業者に管理を委託する必要はない。年一回の法定11条検査は、義務付けられているが、現状では30%程度の実施率のようだ。これは自分の浄化槽がうまく機能しているかの確認になるので、受けた方がいい。1回5〇〇〇円。管理業者より、私の方が浄化槽の仕組みから、発酵のメカニズムまで、詳しいと思う。業者に委託すると、簡単に殺菌剤や、殺虫剤を使う可能性がある。そのために、農薬を使わない畑が汚染されたら大変だと思う。自分の畑に流れてゆく水であれば、より良い状態を常に観察することが必要になる。今のところ、良い発酵が進んでいる。暖かい季節ということもあるかもしれない。最初の2週間ほどは確かに匂いがしたが、今は全く匂いもない。浄化槽からの水が、そのまま畑の間を流れて、地中にしみ込んでしまうのが一番いい。水路を作り、浄化槽からの水と、雨水を集めて、畑の方に流れてゆくようにするつもりだ。これも少し涼しくなったら取り掛かる。
浄化槽の仕組みは、先ず、嫌気性の状態を作り、時間をかけて熟成を行う。下から押し出されてゆくように、嫌気ろ材槽を2槽設け、有機物などの腐敗を進める。十分熟成したところで、ブロアーで空気を送り込むのが3番目の槽である。ここで空気と攪拌されることで一気に分解される。好気性の微生物によって、分解が進む。ここでほぼ浄化された状態になる。最後に浄化された水が出てくるのだが、一般にここで、殺菌殺虫を行う。良く管理された浄化槽なら必要はない。あらゆる菌を死滅するという発想で、自然界の状態を考えれば、おかしな方法である。生きものは微生物と共存しているのである。人間自体が持っている微生物の総数は、自分の細胞数より大いいほどである。浄化槽三槽で十分浄化したものをさらに、殺虫殺菌する意味があるとすれば、浄化の仕組みが不十分なのである。
現在の合併浄化槽は、浄化能力が高く、きちっと管理されていれば相当の浄化能力がある。浄化槽は適正の大きさが良い。家の大きさから、20人槽の設置が義務ずけられたとしても、1人暮らしなら、材料が不足して良い浄化は行えない。浄化槽のメンテナンスの前に、流すものの種類によって状態が変わってくる。例えば塩素系消毒薬などでトイレを掃除すれば、細菌が死んでしまう。抗生物質を飲んでいる人がいれば、それで浄化槽はバランスがおかしくなる。洗剤も問題で、化学合成洗剤は、浄化槽の微生物を殺すので、使わない方がいい。除菌剤とか、風呂がま洗いの洗剤なども、吟味しないとならない。糞尿は定期的に適正量が必要である。2人暮らしなので材料不足にならないように、浄化槽を適正に管理する。そのためにも、排水が見える形になっていることが大切である。