麻生副総理のナチス発言

   

「憲法改定をナチスがやったようにやれ。」これが麻生副総理が、ジャーナリストの桜井よしこ氏が理事長を務める「国家基本問題研究所」主催のイベントで演説した、発言内容である。朝日新聞にある詳細の発言を読んでみると、すごい内容である。これが自民党の本音と考えざる得ない深刻な内容である。自民党憲法草案の根源はこんな考え方でできていたのだ。当選2回ぐらいの若い議員まで、長老と対等に意見を述べたという事を自慢している。当たり前の民主的感覚が自民党にはないことが良くわかる。当選2回どころか、自民党党員であれば、対等に意見を述べる権利があるはずだろう。選挙に勝つようになって、またあの悪い体質が溢れ出てきている。こんな人たちに、いつまでも日本を牛耳られたらおしまいである。今回の発言は確信的なものだ。麻生氏は総理大臣だった時もひどい発言をしていた。発言は撤回したが、失言とか、誤解という性格のことではない。a href="http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013080202000155.html">撤回のコメント。実に悪質なコメントだ。全く逆の説明をしている。

麻生氏の発言を、ワイマール憲法が当時の欧州でいかに「進歩的」だったか、その憲法下でナチス政権が誕生した。良い憲法のもとでさえ、こうしたことが起こると言いたかったのかと思っていた。ところがそのようには到底読めない。ナチスを賛美している訳ではないと、弁明するだろうが、それは通らないレベルの発言である。これがヨーロッパの副首相の発言であれば、犯罪者として告発される内容である。ナチスが静かにワイマール憲法の改正を行ったという認識自体、歴史に対する無知というか、間違いである。静かどころか、大変な騒動の中でヒットラーが憲法を無視して独裁政権を作った。全権委任法は「だれも気づかないで変わった」のではなく、ヒトラーが国会放火事件を口実にして共産党を拘束するなど、強権を振って制定した。ヒットラーの登場は最初から武力的な登場で、彼は武力テロを行い投獄されている。そしてついにナチス党以外を非合法化したのだ。

麻生氏は、20代30代の人は、憲法改定の必要性を認識しているかのようにも発言している。我々50代、60代世代が一番良くないという認識のようだ。こうした分析自体が異論を許さない体質を感じる。確かに日本は、近隣諸国に経済でも武力でも脅かされ始めている。これは当然の成り行きである。どこの国もそれぞれに頑張っているのだ。日本一人勝ちなどあり得ないことだ。国内には日本の未来に対する不安がある。その不安はこれから、この国で生活を作り上げ、生きてゆく若い人たちの間により強いと思われる。その不安から、強い国家を望む傾向が生まれるということは、ありえることだ。しかし、それとナチスと結びつけるなど論外である。ヒットラーは「問題は卓越したドイツ民族にあるのではなく、ベルサイユ条約やユダヤ人のために起こされているのだ。」と、外部に責任を転化して行く。ヒットラーは経済政策で成果もあげる。これが選挙を通し、女性や若者に人気を爆発させることになる。

安倍氏の本音も同じようなところにあるのではないだろうか。アメリカの安倍政権冷遇は、アメリカの諜報機関はそういうところまで把握しているということだろうか。石原氏は、尖閣列島問題を棚からおろして国政に復帰した。安倍氏がどう動いて、憲法改定を進めるための、国民の敵を作るのか。最近中国に対して、好戦的態度を強めている気がする。国民の反応を見計らっているような気がする。しかし、先日は高市政調会長も簡単に発言を撤回した。麻生副総理もすぐに発言を撤回した。両者とも失言としてごまかせる範囲のものではない。撤回しても心の中の本音は変わらないだろう。自民党の安倍内閣の本音は自民党憲法草案にあるとおりだ。国民は自分たちの考える道徳を守り、従えばそれでいいものと考えている。

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