カネボウ白斑事件
カネボウ化粧品は31日、肌がまだらに白くなる白斑(はくはん)の被害が相次いだ美白化粧品について、4千人もの利用者から症状を確認したと発表した。まだ増えることだろう。化粧品を使うにあたり、自分の肌に合うものかどうか、顔に塗る前に試してみるくらいしないというのも驚くべき感覚である。私でも石鹸を使うことはあるが、銭湯備え付けのものは使わないぐらいの用心はしている。この事件は4つの問題がある。まず一つ目は、何故こんな健康被害のあるものが、認可されたのかである。肌自体が変化する美白効果をうたう以上化粧品というより、医薬部外品扱いとなる。化粧品ならば、塗って白く見えるという範囲だろう。美白で厚生労働省の認可を受けた成分は9種類ある。効果が99、1%の人にあれば、0,1%の人には被害が起こる。かなりの人に美白効果があったとも想像される。薬とは必ずそういうものと考えるべきだろう。薬を使ってまで白くなる理由は何もない。
二つ目は使った人から、白斑の苦情があったにもかかわらず、対応が遅いということだ。最初の問い合わせは2011年にあったという。医師からの報告に対して、面会するまでに2週間かかっている。カネボウが隠そうとした訳ではないようだが、健康被害が起こる訳がないという思い込みがあった事は、社長が認めている。これは医薬部外品を扱う会社として、極めてまずいことだろう。被害が明らかになった後の、調査や救済対応も遅すぎる。
三つ目が、厚生省の検査機関の体制不備である。先日もノバルティスファーマ社員の白橋伸雄氏が降圧剤バルサルタンの臨床研究(臨床試験)の統計解析に関与していことが判明した。京都府立医医科大学の調査委員会は「バルサルタンに効果が出るように解析データが操作されていた」とする内部調査結果を公表した。東京慈恵会医科大学の調査委員会は、「患者カルテと論文データを照合した結果、本学研究チームが関与しない統計解析段階において、血圧値の一部に人為的なデータ操作があった。」と発表した。こうした医薬品のデーター操作が見破れない、厚生労働省の体制に問題があると言える。医薬品ですらこんなことが起こるのだから、医薬部外品であればなおさらだろう。
四つ目は、白が美しいという間違えである。化粧品会社の戦略に乗せられているだけだ。白がなぜ美しいのかである。これは中国での美意識でも顕著で、白が美の基準となる。アジア人種は真っ白からかなりの黒い人まで存在する。日本人に於いてもそういうことがいえる。色の背景に、人種差別的なにおいも感じられる。白の背景に白人へのあこがれのようなものがあるとしたら、民族として情けない。と同時に、職業差別的な色合いもある。野外で働いていれば、当然色は黒くなる。肉体労働者に対する差別。中国の纏足の慣習も同じようなことだろう。白が美しいという意識は無くさなければならない性格のものだ。
ありのままが一番である。ありのままであることは素晴らしいことである。ありのままであることが評価できる文化を育てるべきだ。あの髪の毛を染める習慣も嫌なものだ。金やら銀に染めて、醜いばかりである。若者が突っ張って染めると言うぐらいならまだわかるが、良い年をした普通の人とが、何が悲しくて髪の毛を染めるのだろう。やせ薬なども盛んに売り出されているが、太るということは何かの信号なのだ。それを薬で対応するという考え方が間違っている。太ることが即悪いことと考えることもおかしい。アンチエイジングということも化粧品では良く言われるが、おかしいことだ。そのままであるといこと以外ない。そのままで評価しない社会がおかしい。就職試験のための美容整形などというのがあるらしいから、とんでもない世の中である。こういう不自然なことを助長しているのが、コマーシャリズムだ。売れることが良いことになる価値観。商業主義が作り出す幻想に対して、しっかりした意識で対応しないとうっかり乗せられるということになる。