北朝鮮の核実験

   

北朝鮮は核実験を行った。さらに続けて行おうとしている。こうした無謀な挑戦が何をもたらすのか。日本の国会は全会一致で非難決議をしている。経済制裁を強化すると言っている。残念ながら、有効な手段ではない。それはアメリカも同様で、今や世界中が中国頼みと言う事になった。北の経済はソビエト崩壊後の最悪の事態は、中国の支援で立ち直っている。日本では期待を込めて、北朝鮮の疲弊をいい募る向きもあるが、見てきたわけではないが、私の調べた範囲では経済は改善方向のようだ。韓国の太陽政策の影響もあったが、現状ては中国の経済支援と、協働事業による。中国政府は北朝鮮政府の崩壊による難民の流出を恐れているというようなことを、支援の要因に挙げて考える論評もあるが、私は純粋に国際情勢の中で、中国の立場を強化するために、北朝鮮を利用していると考える。その意味で、世界が中国に北朝鮮の核実験阻止を要望した際、一応北朝鮮に対し、中止の圧力を掛けるポーズは取った。しかし、北朝鮮は実行した。

中国は本気で中止させようとしなかったということである。北朝鮮と言う国との付き合いは中国は長い。4000年である。北朝鮮がどのような国であるかを知り尽くしている。誇り高い民族である。能力も高い民族である。中国にも、そう一筋縄では行かないのは、そうした歴史の中で生まれた周辺国すべてが同じである。北朝鮮が核武装した時のリスクは中国も同様である。これを止めることが出来ない以上、その矛先を中国に向けさせない政策なのではないか。世界に対しては、北朝鮮に圧力をかけている姿勢は見せる。しかし、経済の支援は続ける。国際的な理由は、混乱による難民の流出は迷惑だとする。この状況は、中国の存在を高めることでもある。アメリカも中国にお願いをする以外道が無いということである。この間、アメリカは北朝鮮との直接交渉を続けていた。そして成果を上げることが出来なかったのだ。中国としては中止が出来ないなら、内に抱え込むことを選ぶ。

イランの場合も、北朝鮮の場合も、核保有大国が存在しながら、自分たち以外には持たせないという国連の政策が正当性があるかと言えば、大いに疑問だ。すべての核保有国家が核廃絶に向けて進むという大前提があれば、新たな国による核開発を止める根拠にはなる。核大国だけが所有を許される根拠が不明である。強者の論理ではないか。その為に、インド、パキスタン、イスラエルは核保有をしてしまった。何のペンルティーもない。日本が核保有しようとしても、許されないはずである。経済関係が重視される状況。しかし、核保有国が自国の利益を優先し、行動を起こさないとは限らない。例えば尖閣や北方4島の主張の為に、核の圧力は無いと言えるのだろうか。自国の権利擁護の為に、一方的にならず者国家と決めつけ、軍事的圧力を加えることもある。イラク侵攻の根拠は結果的には間違えであった。しかもその結果世界は安定化したとも言えない。

だから、日本も核武装を進めると言うのは間違っている。空しいようでも、すべての国家が核廃絶に向かうために努力をするのが、日本の役割ではないのだろうか。日本は被爆国として、世界に対して核廃絶を訴える義務があると言える。福島原発事故で世界に放射能を蒔き散らし、悲惨な結果を起こした国として、核廃絶を訴える義務がある。まずは、核燃料のリサイクル事業は中止すること。次に原子力発電所をすべて廃棄することだ。中国は北朝鮮がやることは、阻止できないという態度を取り続け、自国の防人にしている。中国に対しては経済制裁どころか、取引を拡大したいと言うのが、世界である。結局はならず者国家も大きくなりすぎれば許されると言うのが、今の世界状況である。こんな世界情勢の中理想論は馬鹿げている。核廃絶政策が現実的でない事はわかる。しかし、核廃絶に向かわない限り、世界に待っているのは核戦争である。そのリスクは刻々高まっている。

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