田んぼ研究会

   

毎年行っている田んぼめぐりを行った。昨年は有機の里の事業として行い少し変則で、研究とはいかなかった。今回は農の会の田んぼめぐりである。何故やるかと言えば、稲作を深めたいからだ。少しでも良くしたいからだという思いだ。いつも、来年こその田んぼである。少しでも良くしたいという思いは強い。またそうして、少しづつ良くなってきた。農の会は市民中心の活動と、新規就農者の活動であるから、どうしてもいい加減に農業をやっているのだろう、という先入観で見られる。これを払拭するためには、地域の平均以上の田んぼをやらなければならない。それは結果としての収量である。どう言い訳がましく主張しても、まずは採れないことにな、農家の方の納得は得られない。農家の人に認められなくては、農の会の活動は成立しない。朝6時に志村さんの田んぼに集まった。10数名の人がいた。中原さん家族と私だけの年もあった。

1、志村さんの田んぼは6反が続いている。若干生育が良くなかった。草はチェーン除草を行いかなり、昨年以上に克服している。生育の良く無い部分があった。トラックタ―の代かきアラオコシの問題。一番は稲藁のすきこみの問題。秋起こしの必要性。
2、梅の里は全体では2,5反。4枚。素晴らしい出来。足柄平野では有機農法でこれほどの田んぼを見せていただいたのは初めて。私が理想としている株姿。巨大な株となっている。しかも、2,5畝どこの部分をとっても出来がいい。苗もこの田んぼで自作したというから、すべてに何か会得しているものを感じる。ケーキ屋さんの「いまやさん」がやっているので、ケーキ作りの緻密さのような、きちっとしたものが反映している。
3、長塚田んぼ1.5反がすべて黒米。例年暴れがちの田んぼが、今年は完全にコントロールされている。とても状態が良い。収量が多いという感じではないのだが。問題部分が無い。不耕起で長く10年続けている少ない田んぼ。田植え後活着まで水をためなかったそうだ。アゾラが一面を覆っている。
4、新長塚田んぼ。さすが中原さんの管理で、草管理が徹底している。苗が小さかった影響が今も残っている感じがある。しかし、例年とても速い出穂が今年は少し遅れて、充実するような気がする。株の姿がどうも、この後穂の充実につながりそうで、案外例年の株はすごいのだが、8俵というのとは違う展開になるかもしれない。無肥料で行っている。
5、メダカ田んぼ。草にやられている。管理が不足している。土も悪く、これでは収量はほとんどないのではないだろうか。この田んぼは条件が特殊で、よほどコントロールしないと出来ない。昨年行った私が、余裕が無く協力できなかったことがまずかった。
6、ポチ田んぼ。3年不耕起でやっていた田んぼ。宿根草が繁茂する部分が出来て、今年はアラオコシ、代かきを行った。株姿は昨年より良い。いつも8俵取るという田んぼ。しかし代かきの結果、草取りが大変だった。手間をかけない範囲で、草を取りつくすということは考えていない。中干しは3回
7、牛島たんぼ。生育は順調、その後の経過も素晴らしい。これだけの田んぼは少ない。おしいのは、大型の草が目立つこと。近いうちに一度草取りをしたい。水管理が少しおかしい。水位の管理をもう少し徹底すれば、草も違う。突然草が出たのは、水管理が原因ではないか。
8、循環田んぼ。いい出来である。とても工夫している。広く、畑をやっているので、田んぼは大変だと思うが、4反を良くコントロールしている。全体に、株姿が若い。田植えが遅いという訳でもないので、ゆっくり成長が魅力だ。いただいた西瓜の美味しいこと。西瓜を作る技術も素晴らしいものがある。年々農業技術が増してゆくのが素晴らしい。
9、そらやさんの田んぼ。そらやさんは野菜を広くされていて、田んぼがいつも草に押される。それでも、株姿は立派で草負けしている感じはない。今回もそらやさんの加藤さんが田んぼ回りの、解説役をしてくれたのだが、要所要所での発言はさすがに勉強している。そらやさんの田んぼの知識は相当のものがある。わからないことがあったら、私は聞くことにしている。回答がそこにある訳ではないが、何時も短い言葉でいいヒントをくれる。今回も、とても大切なコメントを出してくていた。
10、山北田んぼ。苗が寒波でこじれたこともあって、ビニールトンネルなど使い、苦労されていたのだが、さすがにいい田んぼにした。とても強い干しを入れていた。理由はよくわからないのだが、中野さんからの伝承技術らしい。中野さんも干しで栽培をコントロールした。なにしろ歩いて、まったく足跡がつかない田んぼ。草の無い管理が良くされた独特の美しさのある田んぼ。
11、千田田んぼ。キヌヒカリを2反一枚の田んぼで、素晴らしい作りである。独特の複雑な管理法で出来上がっている。菜の花から、蓮華に変えたそうだ。6反の田んぼを完全に草を抑えているのがすごい。田んぼに点滴をしていた。いつもムラの無いのが、千田田んぼの特徴で、一見慣行農法の田んぼを思わせる。今年は、土を動かしたため少し、色ムラが出たそうだ。藻が例年以上に発生していて、藻の厚さがすごい。この藻がこの田んぼの大きな要素だと思う。独特の栽培と藻の発生との関連。アミミドロ農法とでもいうべきか。
12、舟原田んぼ、他をぐるっと回ってきて、舟原をみると問題点、またその特徴が良く分かる。3枚の棚田である良さが生かされ切ってはいない。もう少しくっきりと上中下を生かした方がいい。土は他よりも良いと言ってもいいが、三枚目の排水口が悪く淀み部分が出来ている。改善したいが、地主さんの了解なく行えない。棚田はこの後の粘りの水管理が肝心。目標の7俵にもうひと頑張り状態か。
13、欠けの上田んぼ、岩越さんの熱意が徹底している。株の出来は整っており。完全に管理しきっている。やりすぎか。やりすぎは無いか。今年初めて、客土してできた田んぼをここまでもってゆくのは、信じがたいものがある。稲は土より水か。水のコントロールには苦労しているようだが、長年の田んぼの知識の水土技術の集大成。この田んぼ複田の姿は記録に残る価値がある。
14、坊所田んぼ。とてもいい出来である。月の波長に合わせて、耕作をしている。みんなが今までの坊所で一番いい出来であると、感心していた。良く考えると私の管理時代を超えているということで、うれしいやら、悔しいやら。正直超えている。一言加えれば、自然農法はた正しい方角を定め、10年を超えて成果が出始める。
15、最後に石綿顧問の田んぼに伺う。毎年の姿だ。収量を目指さない田んぼ。稲の力に任せている田んぼ。一枚目と2枚目の出来が違う。下の田んぼがいい。棚田の宿命。上の田んぼの解決はあるのか。
追加
16、親子田んぼ。最初の一覧になかったもので抜け落ちました。親子田んぼは、今年で不耕起を止めようかということでした。案外草が出るようになったことと、(ポチ田んぼでも言われていました。)収量が低いことでした。しかし、田んぼの様子は、とても良く管理されていました。苗が早く芽が出たことがかえって災いして、寒さに当たりいじけてしまいました。その小さい苗でよくぞ、回復したという点が、驚きでした。

それにしても、すごい一日であった。全精力を使いきった。暑いということもあったが、それ以上に農の会の多様な田んぼのそれぞれの思いが。ドドーと押し寄せてきた。すべて中まで入らせてもらった。同じ土の田んぼは無い。足が感じる土の状態が一番わかると思っている。皆さんありがとうございました。特にそらやさんには忙しい中、本当にお礼の言葉もありません。

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