自然農法国際研究開発センター
あしがら農の会の研修旅行で松本の自然農法国際研究開発センターに行く。以前から、石綿研究員には指導いただいてきた。3年間かこちらに来ていただいて指導いただいた。今度は、こちらから、出向いて農場を見せてもらうことを希望していた。石渡研究員は農業の天才と言っていい。頭の中に水土が入っている。水土のことを研究開発センターでは「土」と呼び、科学用語では、「耕地生態系」が近いと書かれている。このことは現代農業の8月号に自農センターの岩石真嗣氏が書かれている。岩石氏は研究開発センターの方で以前から、田んぼでの自然農法による、雑草抑制技術を発表されている。田んぼの土壌の耕耘の方法で草を抑制する。春に土壌を還元状態にしない。この田んぼの実際を見る事が、一番の目的である。あれこれ疑問点はある。
「二山耕起で草が生えない」現代農業2008年3月から7月の連載。そのほか、岩石さんの書かれているものを、読みとおしてみると、余分の肥料と、稲の吸収できる養分という考えがある。いずれも、稲藁の田んぼへ戻す技術として、展開されている。稲藁を田んぼに戻してはもったいない。それでは、なにをその分田んぼに戻せばいいか。「土ぼかし」と書かれている。もちろんたい肥を戻すということでもある。土ぼかしとは、土と有機物を合わせて発酵させ、微生物の作りだした養分を土に吸着させ、田んぼの代かきの際にあわせて入れて、即効的に効果を上げる。肥料ではなく肥沃な土壌を作ること。まだよくわからないのは、雑草がなぜ発芽せず、稲の生育だけ良くなるかである。コナギの発芽を抑制する作用と稲の根が生育する環境との違い。この微妙な違いをどう選択するのか。やはり技のようなもので技術ではないのか。いずれも寒い地方での技術である。暖かい地方での冬雑草をどう考えればいいのか。など違う問題がある。
暖かい地方では、むしろ還元化を狙った抑草技術が展開されている。菜の花すきこみの抑草技術が代表的。米ぬか除草法もその流れにあるのだろう。蓮華のすき込み抑草技術。松本あるいは青森では、冬の田んぼは寒い。暖かい地方では、冬作をどうするかという違う問題がある。麦を作る。あるいは菜種を栽培する。不思議に土壌を還元化することで抑草をする技術と、土壌を還元化しないことで、コナギを減らす技術が、対極でありながら、並立している。面白いことに、両者が南北に分かれていることである。当然小田原は、気候的には南に属する。南に属するが、田んぼが乾かないということはある。暖かい地方の田んぼの冬の管理。基本は裏作をどうするかにある。だからら稲藁を漉きこむ云々は、我々の問題とは違う。
ついに、田んぼの様子を見た。正直小田原でいえば収量のない田んぼの姿である。自然農法らしいと今まで考えていた田んぼから見ると、慣行農法の田んぼの様子は変わらない。3本での機械田植え。と言われていたが、5,6本は植えていると見える。細い分ケツ15から20本が密集している。14センチピッチ植えか。平米32本と言われていたか。葉色が浅く、葉幅も細い。いわゆる開帳型の姿からすると、よわよわしい稲の姿。秋の姿を確認するしかない。何かがどこかで変わるのだろう。後から良くなるということが、どこでどのような経過で、起こるのかはとても興味深い。草が出ないということは納得がいった。おとなしい田んぼである。こういう田は機械除草をすれば、草はない。溜め水で、ガスはかなり沸いている。還元させないということだが、ガス量はすごい。土も独特のにおいがあった。入水温度は15度ということだ。この温度を上げるために、土の透水性を改善して、減水深20ミリとのこと。