トロトロ層の続続編

   

代理で、ブログの掲載をお願いしています。この日は中国にいるはずです。
田んぼでトロトロ層ほど興味深いものはない。しかし、明確に意味が確定されていない。トロトロ層とは何か。繰り返し考えている。トロトロ層は田植え後出来て、1ヶ月ぐらで治まるものの様だ。トロトロ層形成と収量の関係。などという調査研究はない。トロトロ層が規定されていないのだから、当然の事である。岩渕成紀氏の伊豆沼周辺の田んぼの記録が、トロトロ層の形成と生き物の関係が一番良く記録されている。ユスリカの幼虫とイトミミズの形成する土壌が、トロトロ層として形成される経過がよく分かる。冬水田んぼにおいて、トロトロ層の形成が盛んなことは、冬乾田化する農法においても、参考になる事である。冬水田んぼも万能という訳ではなく、クログワイ、セリの繁茂の手を焼く所が多いい。冬季農地を利用できない。あるいは冬水が来ないという意味の問題点もある。冬は冬で田んぼを利用する。しかも、トロトロ層を作り出す手法の研究も意味深いものがあろう。

一般化しなければ意味が少ないとはいえ、現在は個別のトロトロ層の形成の観察を集積してゆく事が、重要であろう。今年、見て歩いている、足柄平野一帯の有機農法15箇所の田んぼの内、トロトロ層らしきものが、形成されたのは舟原田んぼのみである。トロトロ層は簡単には出来ないものである。トロトロ層が出来ると、草が少ない。これも確かな事である。トロトロ層の姿を分かる範囲で表現すれば、トロトロ層は地表5ミリぐらいのものである。話によると、10ミリを越えるものもあるらしいが、見たことはない。トロトロ層にも2段階あり、上層のふわふわ層と、その下層のねとねと層がある。私が重視したいのはトロトロというより、ふわふわである。触ると、埃のように水中に舞い上がる。トロトロの中にじゃりっとする砂が混じる。これは土壌にもよるが、その下のねとねと層はさらにじゃりっとした土が混ざる。想像では代かきにより、上層にねとねと層らしきものが出来る。そこに存在した休眠中の生き物が、目覚めて生活を活発化して、ふわふわ層を糞として作り出す。

このふわふわ層は、推定では全て微生物・小生物の糞のような気がする。大量の生き物が水が入る事で一斉に増殖を始める。生き物は、発生から消滅、休眠までのサイクルがあって、同じものが長く存在する訳ではない。ステージを見極める必要がある。土中で眠っていた、生き物が、暖かさと、水分と、たんぱく質などで、一斉に増殖を始める。ユスリカ、イトミミズ、ミジンコ、などが第1ステージの生き物である。先ず重要な事は、どうやって、その1種でいいので、発生させられるか。冬の間の土壌管理の重要度。冬の休眠状態の良し悪し。又、発生に適する水温。冬に緑肥作物を作ることは重要である。稲藁を田んぼに戻す事も重要である。どちらも腐食質を土壌に増やし、生き物が休眠する環境を整える。充分な腐食成分が存在し、それが腐敗しない形で、土壌にすき込まれること。青いままではどうもよくないらしい。土壌の微生物の傾向、量も、影響するらしい。

休眠したミジンコ、イトミミズにエサとなるものがなければならない。それが、米ぬかなどである。ソバカスもいい。大豆カス。オカラなども似た効果になる。エサがきっかけとなって微生物の大爆発的増殖が起こる。20度以下では微生物は増えない。初期水温を上げる事は、稲の活着や、分けつ、にも重要であるが、微生物の増殖には絶対の条件になる。高ければ、30度あればより良い。第1ステージが成功すれば、後は、成り行きに従って生き物が増えてゆく。ここでも水温は高い方がいい。生き物が居ないのに、トロトロ層と近いものが出来ている田んぼもあるが、それは、ねとねと層だけである。

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