横浜市みどり税創設
横浜市では樹林地の買取保全のための税が創設された。「横浜みどり税条例案」2009年度から5年間、個人は900円。法人は4500円から27万円が市民税に上乗せされる。新税創設による税収見込みは年間二十四億円で、このうち約十億三千万円程度を相続などで民間が所有し切れなくなった緑地を買い取る財源に充てる。全国初の試みである。神奈川県では水源環境税の創設がされ、水源地域の保全に利用されてきている。年額 約38億円(5年間で約190億円)。納税者1人当たりの平均負担額、年額約950円(月額79円)と成っている。神奈川県ではこの他、久野地域が選定された里地里山条例の制定など、環境保全には配慮がされるようになってきている。大いに評価されなければならない。一方、それだけ急速な自然環境の後退がおきていると言う事も言える。自民も民主も賛成だが、共産党の大貫憲夫氏は「大型開発を見直せば、緑保全の予算は確保できる」無所属クラブ杉山典子氏も「導入はあまりにも拙速で時期尚早だ」として、反対する考えを示した。
環境の保全にはそこに暮らす人全員が、財政負担を含めて協力してゆかなくてはならないのは、当然の事だと思う。環境はタダではない。誰もが応分の負担をしなくては、成り立たなくなっている。このまま進めば、次の世代には、自然環境から受ける恩恵など、全てが失われていると考えなければならない。空気や水、土や全ての生き物。どうやって守っていくかは本当に深刻な所まできている。ここに暮す人間の全てが協力し合わなくては、見る間に失われてしまうと思われる。今のところ、過去の財産を食いつぶしながらも、かろうじて残っている状態だ。私が生きてきた、60年と言う日本の年限は自然環境を汚染しつくす、再生の力を失わせるような、無残な開発の歴史だった。しかし、ここに来てかろうじて、戻ろうよ。と言う声が聞こえてきている。戻ろうよと言う声が、横浜のみどり税900円。であり、神奈川県の水源税950円であろう。
小田原市でも様々な環境保全は試みられている。一番は農業者の営農を守ることこそ、小田原の環境対策であろう。小田原の大半の面積を占めているのは、山林や農地である。ここが健全に業として成り立つことが、小田原の水を守り、大地を守り、川を海を守る、ことになる。この点では、都市部とは状況が異なる。都市部であれば、僅かに残されて自然環境を、環境ボランティアと行政が協力しながら、環境保全を行うことも、可能であろう。しかし、山林の保全において、森林ボランティアも大変ありがたいことではあるが、樹木が流通に乗るようになることが、保全にとって一番のことである。林業として成立しているなら、黙っていても美しい森は形成されてゆく。農業も同じことである。里地里山の環境が保全されるためには、そこで循環してゆく暮らしが可能となることだろう。
具体的な方策としては、小田原でみどり税に当るものがあるとすれば、地場産品のブランド化であろう。小田原の農産物が、流通してゆく。このことが市民の暮らしの環境を守る上でも、重要なことだと認識することだ。先ずどれが地場産品であるか、分かり易くする。どちらにしようかと考えた時、小田原産品を選ぶことが、自分の環境を守ることであることが、自覚できるようにすることだ。美味しいから、安全だからと言って、有機の魚沼産のコシヒカリを食べて、自慢げな顔をしないことだ。
横浜では市議会の賛否が、わかる。賛成の立場から討論したのは、自民党のほか民主党、公明党、民主党ヨコハマ会。いずれも、緑保全の緊急性と現在の経済情勢をはかりに掛けた上での「苦渋の決断」と強調。「反対討論に立った伊藤大貴氏(無所属クラブ)は、「今後さらに経済状況が悪化する可能性がある」と指摘。審議も不十分とした上で「経済が回復するまでの三年間、市職員の給与や議員報酬を削減すればいい」と主張。共産党は「市民への周知不足」などを反対の理由に挙げた。共産党と無所属クラブはこの法案に反対であった。小田原では議決の賛否は公表されない。民主主義が理解されていないと言う事であろう。身近な地方議会において、議論してその議論の過程が公表される。当然賛否もわかる。このことが議会制民主主義の成長には、とても重要だと思う。