お米の保存

   

まだまだ、新米を食べるわけにはいかない。昔の農家は古いお米から食べたそうだ。まだ去年のお米が、備蓄米として25キロほどある。これが安心の元なので、年内これを食べて、新年から、新米と言うのが、丁度いい安心量だと考えている。所が、新米の味見で食べる。採れたら、少しは新米が食べたい。さすがおいしい。そうなるとダメだ。私はまだ我慢できるのだが、おいしいものを食べるべきだ。こう言う事になる。だから、我慢して、おいしい新米を食べている。ご飯を炊く時には、新米になったら水加減を控えると言うのが、昔は常識だった。所が今は全く変わらない。新米と言っても水分量は15%。古米も15%保存。保存中に水分量が変わるなどと言う事は普通ない。古米ても味が落ちないなどとも言うが、実際の所どうなのだろう。

お米は籾状態で保存する。常温で保存するなら、当然籾状態での保存が望ましいはずだ。世間では玄米で保存する。多分置いておく場所が節約できると言う事なのだろうが。皮を剥いて、りんごを保存するようなもので、置いておく場所を特殊な環境にしない限り保存が出来ないだろう。籾摺り精米機と言うのがあるから、籾付きのお米をそのまま、精米して、すぐ食べることができる。こういうのは、作っている者ならではの喜びかもしれない。よほどの食自慢でも、お米は籾付きに限るなどと言う話は、聞いた事もない。お米の大きさは選り分けて炊く、ほどの究極の料理でも、出てこない。しかし、その違いはある。先日籾保存している友人が、1年置いた、籾の水分量が、増えていたというのだ。これには驚いた。生きているのだから、呼吸をするのだから、在り得ないことではない。

では我が家の1年保存の籾付き米の水分量は、どうなっているのだろうと。測定することにした。15.4%だった。では今年の保存の籾はどうなっているかと測定すると。15.2%だった。このお米は刈ってから、10日間ハザ掛けで天日干しした。その後、脱穀して、網の籾袋に入れたまま、風通しのいい縁側の日陰に、1週間置いてあったお米だ。この後、倉庫の茶箱に入れて積み上げておく。こうして置けば1年経っても、品質が変わらない。この保存の仕方は、種籾を保存しておく状態と同じだ。だから、発芽率でその年の保存状態がわかる。今度1年保存して、70%の発芽率だった新月刈りのお米が、発芽率がいいのは今年の実験結果だったので、このお米でやってみたい。2年保存したらどうなるか。試験して見る。100粒セルトレーに蒔いて発芽率を見ているのだ。塩水選を強くしないため、発芽率が気になっている。

保存にいいのは15%と言われている。と言っても低温倉庫での事だから、常温での保存は又別かも知れない。食べておいしいのは18%から17%のようだ。天日干しを終わった状態では15%までは行かない。17%までが普通だ。そのお米を更に、2,3日筵に広げ、さぼす。そして保存。こんな風にやっていた記憶があるので、私もそうしている。安寿の目の見えなくなったお母さんが、鳥追いをしていたのは、このさぼしていたところと考えていた。悲しくなる想像だった。今は水分計があるから、計りながらやれるので、まず間違いはない。窒素封入とか、真空パックとかで、玄米を保存する様々な方策が出ているが、籾保存が自然なやり方で、一番だ。去年のように種籾を別にしなかった間違いがあれば、食べていたお米を種籾にできるのだ。

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