うかたま

   

「うかたま」農文協の雑誌だ。午後に取材にみえた。以前、営業で見えた女性が、今度は取材に見えた。以前営業に見えたときも、大変熱心な人で、実は驚いてたので印象に残っていた。農文協では、聞いた事も無いので解らないが、たぶん、入社すると新人を全て、全国の農家の基に派遣し、農家というものを体感してもらおうと考えているのだと、想像している。だから、若い人が、農業なんて何にも知りそうも無い若者達が、「現代農業を定期購読しませんか。」などと全国を歩いているのだと思う。これは雑誌作りの原点として、とっても大切な精神だと思う。農文協の出す、雑誌を読んでいて、そう思っているのだが、間違った想像だろうか。農家の現実を知るには、営業で歩くと言うところがいい。私もくず米をお願いしながら、農家を歩いて、あしがら地域の農家の事を知った。

「うかたま」は農文協初の若い女性向きの雑誌だ。これがいい内容なのだ。いい歳をした親父だけれど、ちょっと読んでしまう。食農教育もいいし、農文協の雑誌はレベルが高い。内容が濃い。しかし、売れるというのは又別だから心配はしていた。大き目の本屋さんに行って、売れてそうな雑誌を眺めて見ると、装丁だ。内容というより、活字の組み方や、並べ方だ。独特のなんていえばいいだろう、今風のデザインだ。これはもう別世界なのだ。紙質も凝ってる。紙は興味があるので、色々チェックはしてるが、ページでの使い分けセンスが思い切って違う。字体も進歩した。使える字体が加速度的に増加した。一字一字活字をデザインした時代とどうも違う仕組みで、字体が新しく作れるようだ。百姓関係がダサイ。という訳じゃないけど、ダイジョウブカイな。じつはJAの出している「家の光」と言う雑誌も女性向に変貌している。びっくり、おしゃれな本なのだ。

農文協とは出会いが良かったのだ。大昔渋谷で画廊をやられていた。詩人の和田敏文さんが農文協から、彫刻家木内克の本を出した。へぇー農文協から何でという話で、農文協の事を知った。おもしろい出版社だとおもう。思想があるのだ。思想があるのは、経営上大体にまずいものだろうが、続いているので、上手くやっているのだろう。現代農業の内容も随分変貌してきている。以前は農薬会社の雑誌か、といいたくなる時もあった。最近は、これで大丈夫かと心配になるぐらい、市民感覚だ。プロ農家の読者は減ってるんじゃないかな。プロ農家はそもそも本読んでる暇無いかな。

そうだ「うかたま」はなんだろうと前から思っていたので、お聞きした。どうも「食魂」ということらしい。難しい名前を付けたものだ。「浮かれたこころ」とか、「ふかふか卵ご飯」とかの方がまだ連想が近い。うかが「うく」から来ていて食すと言う事らしい。お米を食べると言う事が魂に結び付いた行為という。柳田民俗学そのもののような、まさに言霊でありがたいが、相当力が入った言葉だけに、心配は大きい。心配のもう一つは種切れだ。家の光も、内容が繰り返しが多い。今風のアプローチとなると、意外に間口が狭くなる。ファッション誌がオピニオンリーダーであるように、食に関する新しい、若々しい接近の仕方が生まれて、食の新たな展望が開かれる事を期待したい。

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