ビジョン21
ビジョン21の皆さんが、8人で来てくださった。10月7日にスペースオルタの「地域が変われば、世界が変わる」をテーマにしたシンポジュームで、遺伝子組み換え作物の問題点を、安田節子さんが詳細に話してくれた。実に話し込まれた、という感じの力の入った講演だった。アメリカによる、食料世界支配の構造の話だった。
その時私は、遺伝子組み換えによる、食料支配の構造以前に、養鶏ではすでに、種の企業による世界支配が、終わっているという話しをした。短時間だったので、もう少しその話を、という事で、皆さんでわざわざいらしてくださった。これは自由競争が、実は行き着くところは、能力支配に至る。という事が、経済原理のとおりだ、という話。
産卵鶏は卵をよく産むと言う能力を競って、改良が進んだ。他の能力が、いびつであれ、飼い方のほうで補う事にして、ともかく、よく産む鶏、エサを食べない鶏、を改良してきた。効率がいい。採算性が高い。という事が、企業が養鶏を行う際の、当然の大前提になる。その結果、日本の種鶏会社は、独自の作出鶏を持たなくなった。何処の鶏も大差の無い、系統的には同じものだろうな、と言う、産卵鶏一種になった。
そうなってしまったときに、大切なはずの、3000種と言われる。世界各地にいたその土地の鶏は、消えていっている。経済効率の前には、飼いやすいとか、病気に強いとか、性格がいいとか。美しいとか。声が良いとか。様々な特徴を持った鶏種は負けていった。
鶏は全て「赤色野鶏」1種の原種に始まる。人間が暮らしの中で、徐々に自分たちに適合するものを、作出してきたのだ。これには、何万年という年月がのみ作り出せる、貴重な要素があったはずだ。日本でも、縄文の遺跡から、鶏の骨が出たらしいと言うので、日本人とも古い付き合いだ。土佐の小地鶏と言われる鶏は、見た目は赤色野鶏と変わらない。青森や秋田にも地鶏が居るわけで、熱帯の鶏が気候に順応しながら、改良されていったのだろう。
それが、明治以来徐々に、そして、戦後一気に消えていった。この流れは世界中に起こった。アメリカ式養鶏が、農村に持ち込まれる。今までより、倍も卵を産んで、これはすごい。こっちにしようと始まった。そのちょっとした転換が、金のかかる養鶏になる。ほったらかしという訳に行かない。手の掛かる養鶏になる。そして、農家が庭先に飼うようなものではなくなる。農家規模の、専業養鶏に変わった。そして、企業的な養鶏だけが生き残れるように進んでいる。気付いた時には、家で孵化するような、養鶏はなくなっていた。それに向いた鶏も居なくなっていた。
自分らしい暮らしを求めるならば、その暮らしに適合する。鶏は必要だ。それは日本の伝統の中で、選抜作出された、貴重な鶏の中にあるはずだ。そう考えて、作出してきたのが、笹鶏2種だ。個人的な、努力ではどうにもならないことだが、少しづつでもやろうと言う事で、やっている。