中帰連ー撫順の奇跡を受け継ぐ会の絵鳩さんのお話。

   

小田原の本立寺で、絵鳩さんのお話を聞かせていただいた。お寺の講堂に、溢れんばかりの人で、176人の参加だと伺った。聞いている皆さんの集中した空気は、皆さんの意識が少し変化してきているのかと、感じるところがあった。

中国帰還者連絡会の活動については、私が知る範囲は、申し訳ないことだったが、洗脳の問題としてだった。洗脳された人として、報道されていた。日本軍の中国での残虐行為の真偽についても、その辺りから、云々される事に何か意図を感じていた。

日本人であれ、何人であれ、人間と言うものは、そうした極限状況に置かれれば、残虐行為をするものだと、私は考えている。今パレスチナでも、アフガンでも、イラクでも、日々あることだ。どんな残虐を語られても、驚かないし、だからそのことでどうだとも考えない。非人情な考え方かもしれないが、戦争がいけないのは、人が殺されると言うことで判断はしない。戦争は何も解決しない。問題を悪化させるばかりだから、考えてはいけないことだ、と思っている。

残虐行為の真偽を、洗脳と言う事につなげて、想像し論議するなど、愚かと言うより意図があるとしか思えない。意図は神国日本と言うような、日本人は人間ではないから、残虐行為などしないと言う、現実を直視しないものの見方だ。悲惨な事件が日々ある。親の子供に対する虐待など、まさに鬼のような行為だが、これは日本の現実だ。戦時中の日本軍が、何を行ったかなどは、普通の常識のある人間の想像力で、充分わかることだ。

親が子供を虐待する理由は、日本の現実の中にある。自殺者が、3万人を越えるような社会状況の中にある。明治期以来の富国強兵の国の経営が、日本帝国主義を生み出し、15年戦争に到った。このことが、日本軍の侵略につながり、残虐行為も行われた。

絵鳩さんは93歳になろうとしている。お声も、考え方も衰えた感じが全くなく。日本軍の行った残虐行為について語られた。自らの行った事も語られた。やはり生の声として伺うのは、辛いことだが、耳をふさぐわけには行かないことだと思う。むしろ不思議だったのは「信じがたい話で、衝撃を受けた。」と言う感想だった。これが挨拶のようなもので無いとすると、すでにこういう集まりに参加する日本人の大半が、普通の想像力を失っているとしか思えなかった。本当に想像できない事なのだろうか。不思議だ。

こんな辛い話を、176人が真剣に話を伺う姿は、少し状況に変化が現れたのかもしれない。安倍次期総理は5年で新憲法を制定すると断言している。教育基本法はすぐにでも改定すると、既定路線のように発言している。これは実は、日本国民にとって、大変な選択になる。その深刻さが、徐々に国民に伝わってきているのかもしれない。以前なら、こんなには集まらない内容の集会だった。

もちろん、小田原での開催を懸命に努力した皆さんのお陰も大きかったと思う。あらゆる角度から、あらゆる力を結集して、このことに当らないとならない。

 - Peace Cafe