アメリカンピットブルテリア

   

今は犬と2匹と暮している。子供の頃から犬が好きで、飼える状態なら、必ず飼ってきた。今居る犬は、雌の一頭はブルドックとブルテリアの雑種だ。名前は「ドンチャン」鈍に、ちゃんが、ついたのではなく、ドンチャン騒ぎをするせいだ。もう1頭の雄はアメリカンピットブルテリアと言う犬種だ。こちらは「雷田」相撲の雷電とは一字違いだ。丁度、田んぼに雷があり、雷があると豊作になるという、話を聞いたことがあるので、付けることにした。

アメリカン・ピットブルテリア、はちょっと不幸な犬種で、日本の犬の登録団体JKCでは犬種として承認されていない。この犬はいわゆる闘犬として成立した。アメリカでは非合法に今でも闘犬が行われていて、これが又、殺しあうような闘犬で、とても日本の土佐犬の闘いとは違うらしい。それ故に、この犬種を飼う事はちょっとはばかれる空気がある。この犬種を無くしてしまおうと言う考えの人も居る。

ブルドックもイギリスで牛と戦わせる、ブルバイティング用の犬種として成立した。父の叔父が、横須賀で、大津ブルドックケンネルと言うものを明治から、大正にかけてやっていた。そのときに子供だった父も、ブルドックを飼っていて、家には、ブルドックの彫金による絵の彫られた、銀のトロフィーがあった。キングウエアーパッセイーという、すばらしかった、ブルの名犬の話がいつも聞かされていたので、子供の私もブルドックを飼うようになった。しかし、ブルドックは虚弱な体質で、健康に長生きすることは難しかった。

山北に住んで、すぐ飼ったのはラブラドル・レトリバーの雄雌だ。昔飼った時最も飼いやすい犬だったからだ。単独で犬を飼うのは私は好きでないので、いつも2匹以上の犬を飼う。盲導犬協会から来た犬で、長生きしてくれたのだが、相次いでなく亡くなった。私の年齢からして、最後に飼える犬として、丈夫なブルドックを飼いたいと考えた。何故、ブルにこだわるかと言えば、犬は犬種によって性格が全く違う。逆に言えば犬種によっておおよそ性格は決まっている。ブルドックの性格が好きなんだ。しかし、弱い。そこで、ブルテリアとの交配は居ないか探した。雑種は丈夫だ。そこはネットのお陰で、和歌山でそうした交配をした人がいて、分けていただいた。

1頭では寂しかろうと、相棒を探して、見つけたのが、アメリカンピットだ。ブルと、ブルテリアの交配を固定した犬種と言ってもいい。そして、すばらしいブリーダーに出合った。この不幸な犬種を、何とか認知させることに生涯をかけている。グローリタッズさんだ。闘犬として生まれたが、今はショウタイプとして、すばらしい性格に固定されている。交配をしないという約束で分けていただいた。

随分たくさんの犬を、飼ってきたが、アメリカン・ピット、これほどすばらしい性格の犬に、出会ったことがなかった。体質も極めて強健だ。子供の頃からそうだったのだが、生き方を犬から教えられることが多かった。彼らのまじめさ、一途さ、辛抱強さ、誇り高さ。今も雷田から、教えられることがある。彼は全てを受け入れる。しかし、高い誇りが揺らぐ事がない。

ふたりとも3歳を越えた。少なくとも、あと10年は生きるのだから、その間は私も死ぬわけには行かないと思っている。

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