日本国憲法について

   



 今日は憲法記念日である。日本国憲法のことを考えたい。日本国憲法は政府に対して、政治のやり方を制限しているものだ。政府に行えることの範囲を求めるものだ。そのため自民党政権は気に入らない憲法の改定を党是としている。憲法を変えたい政党が日本では長く政権党なのだ。

 憲法を変えたいその理由はアメリカに押しつけられた憲法と言うことを主張している。アメリカは日本軍国主義が復活することをおそれて、日本に平和憲法を求めた。日本も第二次世界大戦で近隣諸国に与えた悲惨な被害を二度と繰り返さないため、その謝罪のため二度と再軍備をしないという憲法を受け入れたのだ。それは日本が敗戦したために出来た憲法であると言うことは忘れては成らない。

 しかし、そのアメリカも朝鮮戦争に際しては日本の自衛隊の派遣を望んだように、忽ちに日本の再軍備をさせようと、憲法の平和主義を撤回させようとする。占領軍のアメリカ自体が、日本に平和憲法を押しつけたにもかかわらず、すぐに軍隊を作れと方針を変える。しかし、日本国憲法に基づき、再軍備をせず、日本は経済に邁進する。

 アベ政権下憲法を変えて再軍備をするという目標で確実に憲法を拡大解釈をしてきた。それは国民がさすがに憲法改定はまずいという人の方が多く、もし平和憲法の改定を一度提案して、国民投票で敗れれば今後憲法改定が出来なくなると考えているからだ。

 そこで、平和憲法を拡大解釈してないがしろにすることが、自民党のやり方になった。内閣法制局の憲法解釈を政府を忖度させる人事を行うやり方である。これでもう平和憲法はズタズタにされてしまった。安保法制の制定がその最たるものだ。

 日本への攻撃を排除するための『必要最小限度』が武力行使の限界とされてきた。ところが安保法制後も政府は必要最小限度と表面的には言っているが、同盟国アメリカの行う外国同士の戦争に日本が加わる事が可能とする法律を作ってしまったのだから、憲法違反の法律が出来たと言うほか無い。

 安保法制では、例えばウクライナに米軍が侵攻して、その戦争に日本が参加を要請された場合、武力を持って参加をしなければならなくなると言うことが想定される。明らかに国際紛争は武力を持って解決はしないという憲法の精神からの逸脱である。

 ところが今度の岸田総理大臣は敵基地攻撃能力の保有を検討すると国会の所信表明演説で延べた。敵が日本を攻撃して来るかも知れないという場合に、敵のミサイル基地を日本が先制攻撃が出来る武力を保持するというのだ。これこそ憲法違反そのものである。

 もしそこまで行うならば、安保法制もそうであったのだが、日本国憲法を変えてから行うべき事である。これは曖昧なまま拡大解釈をして良いような問題では無い。日本の学者も政府を忖度して、政府に不都合なことは発言しないのだが、さすがに憲法学者だけは90%の人が政府は憲法を逸脱していると考えている。

 しかし、政府は学術会議の任命拒否事件を起し、政府にとって不都合な学者を学術会議には入れないしようとしている。人事で学問をゆがめようとしている。これほぼ浅はかなことは無いだろう。学問は政治から距離があるからこそ重要なものだ。

 それでもさすがに大半の憲法学者が安保法制は憲法逸脱だとしている。そしてさらに、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反はさらに深刻なことになる。その理由は日本の専守防衛の平和主義が崩れるからである。日本が攻撃できない状態であると言うことこそ、日本の平和外交の根幹である。

 日本は中国を攻めようにも攻めることが出来ない。この条件の下で中国と平和外交を行えと憲法は示している。ところが政府は平和外交は無駄だから行わない。仮想敵国中国に対して、琉球弧に自衛隊ミサイル基地を並べて、中国に攻撃可能なミサイルを並べようという戦略を進めている。

 これは米軍も共用することになる。米軍の要請に基づき行っている琉球弧の自衛隊基地列である。政府は口先では沖縄の米軍基地の軽減と言うことを主張している。そのために米軍基地を減らして、自衛隊基地を作る。そしてその基地を同盟国アメリカにも共用させるという考え方だ。

 アメリカ軍が来れば当然敵基地攻撃能力がある。沖縄の基地を飛び立ち、ベトナムまで爆撃をしていたのだ。中国にたいしても米軍の前線基地が沖縄である。米軍は中国の軍事大国化に対抗するために、韓国、琉球列島から台湾、グゥアムまで基地を配備して、アメリカへの直接攻撃を阻止したいのだ。

 日本を守ると言うよりも、アメリカを守る防人としての沖縄の位置づけである。そのことが日本が中国との間で平和外交を行うことの決定的な障害になっている。平和外交どころか、中国は今や深刻な仮想敵国になってしまった。中国の経済成長もあるが、同時にアメリカの世界戦略でもある。

 アメリカは中国を経済的にもおそれている。中国との経済競争に敗れる可能性を考え始めている。それが一国主義アメリカが反中国連携を作ろうと言うことになっている。日本はそのアメリカの変貌に翻弄されて、中国を敵国にしてしまった。

 ロシアがウクライナをネオナチだと情報戦を行ってきたように、日本政府も中国がいかに覇権主義で危険な国であるかの、情報戦略を繰り返している。そのために中国の危険性が最近日本人に焼き付いてきているのだと思う。中国はすでに途上国では無く経済大国化しているのだ。

 日本にとって中国の経済的影響が大きい。いつかアメリカ以上の経済関係になる日が来る可能性もある。アメリカがいくら自由と民主主義を重んじる同盟国だと主張しても、日本は中国との同盟関係に変わる日が来るのかも知れない。というような不安な要素をアメリカは計算しているはずだ。

 日本は方向を定める必要がある。中国と平和的な関係を模索することだ。それが日本国憲法の示す方角のはずだ。アメリカがそれを遮ろうとするだろうが、日本はアメリカとも中国とも等距離の関係を目指すべきだ。アメリカの笠の下を出ることだ。

 世界の核兵器を持たない国同士で連携をとる。日本がその連携を作り上げる。核攻撃をすれば、国連で認められた核保有国が、核攻撃した国を核攻撃するという形の抑止力を構築する。例えばウクライナでロシアが核攻撃を行えば、すぐにその他の核保有国はロシアを核攻撃するという条約である。

 そうした世界で確約された条約が無ければ、核を持たない国は北朝鮮のように核保有をしたくなる。日本も同様な動きが出てきている。日本の平和主義はそうした武力に頼らない平和外交を進めるためのものだ。今世界は平和を失いかけている。日本国憲法の平和主義だけが世界を崩壊させないものだ。 
 

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