農作業とバナナ

   



 農作業のおやつにはバナナが一番である。手が汚れていても食べることが出来る。それなりにお腹の足しになる。熱中症予防にもなる。価格も安い。団塊の世代には、高級品だったバナナには憧れの食べ物の記憶もある。バナナは、安いのに私にはいまだに舶来品の味がする。

 黒バナナ健康法という本がある。黒くなったバナナは実は腐っているのではなく、発酵しているのだという本である。昔から黒バナナを食べてきた私は健康である。人体実験の経過では、黒バナナでお腹を壊した経験は一度もない。相当にぐちゃぐちゃの酸っぱくなったようなものさえ好んで食べる。

 鶴見 隆史 という医師の方が「黒バナナ健康法」を書かれている。この人は朝食抜き健康法なども書かれている。ちょっと逆向き発想のお医者さんのようだ。最近、一般とは違ったことを主張するという傾向を[逆張り]というらしい。

 なんとなくネット用語のような印象があるが、感覚的にはわかる。一般に健康のためには朝食をとりましょうと言えば、保健士さんの健全な発言である。余りに普通で誰も気にも留めてくれない。それをあえて、朝食抜きが健康だと言えば、ネットでは注目されやすいという事になる。

 それはナチだから危険だ!とレッテルを張るのがプーチンならば、ナチも良いことをしたと言って、注目を浴びようとする人が結構いる。茶々を入れたがるのは人の常。日本は韓国を植民地化したと書けば、そんなことはない。というコメントがよくある。3%の人はいつも全体とは違って当たり前である。

 バナナは健康に良いという事が最近は一般化した。するとバナナは健康に悪いという逆張りが出てくる。ネットではそう書けば注目を浴びる。こんな傾向はネットで誰もが発言できるようになった結果だ。逆張りを利用した炎上商法というものがある。炎上議員という訳の分からない女性議員さえいる。忘れられるとまた火をつける。

 注目を浴びるという事がネットで表現する目的の人は多いだろう。私の中にもないとは言えない。昔なら新聞に出たというようなことが、新聞に出るほどの事件の犯人である悪自慢にさえなった。注目を浴びたいから何でもする人は居る。それがネット逆張りの炎上にはある。ネットではその上に、注目度でお金になる方法があるらしい。

 アクセス数が商売につながるらしい。どうやればそういう事があるのかはわからないが、ネット広告との関連。あるいはそのサイトから転送された人が、購入をしたとかいう事なのだろう。バナナは健康に悪いと書いた人のサイトから、黒バナナ健康法の本の購入に繋がれば、商売になるのかもしれない。それが逆張りの商法なのかもしれない。そんなことはないと思うが。

 バナナに戻る。一般に果物は青い内や固い内に収穫して出荷する。完熟して柔らかければ輸送できないからだ。特にバナナは東南アジアから、青い未熟の内に収穫され、船倉に産み込まれそこで追熟されながら、日本にやってきていた。日本につくとバナナに虫がいないか調べて、燻蒸処理をされることになる。

 新しいデーターが見つからないが、半分くらいは燻蒸されているとみていいだろう。青酸ガスくん蒸は表面にカイガラムシが見つかった時に行う。これは残留はしない。臭化メチルくん蒸はバナナの内部に入りこんだ虫を対象として行われる処理であるため、バナナの果肉部への残留影響が考えられる。本当にバナナの中に入った虫などチェックできるのだろうか。有機バナナと表示されていれば、燻蒸されていないバナナだ。もちろんこちらの方がいい。

 畑に行くときにバナナを持って行くことが多い。バナナは疲労回復になる。汗をかいた時には特に有効である。バナナはカリュームが多く、食物繊維も多い。石垣に居れば、島バナナが必ず買ってある。毎日1本ぐらい食べない日はない。島バナナは普通のバナナより甘酸っぱさが強く、好みである。

 石垣島でも、石垣で作られている普通のバナナよりも価格は高い。と言って1本100円ぐらいだ。今度のぼたん農園には30本植えたので、十分食べれるようになるはずだ。大抵は大きな房で売られている物を買う。農家の方から頂くことも多い。それを保存しておき食べる。当然黒くなる。黒くなれば甘みが増す。健康にも良い、はずである。

 甘すぎるので、青い内に食べるという人もいるが、私は少し茶色く透明になり始めた状態で食べたい。これはバナナが過熟になった状態。つまり糖分が発酵を始めたのだ。この甘酸っぱい腐りかけたような味が好きという事もあるが、発酵食品好きだからだ。美味しいうえに健康にも良いので言う事なし。

 バナナから酵母菌を取り出し、パンの発酵に使う人もいるくらいで、バナナは発酵しやすい果物だ。バナナを発酵させないで食べてしまえば、もったいないとぐらいに思っている。一番おいしいのは発酵黒バナナを自家製ヨーグルトに混ぜて食べると甘みと酸味がほど良い。そこに蜂蜜を入れれば、最高のデザートである。

 バナナは1本100gのもので85カロリー、3本でご飯1杯。栄養バランスが万全。消化もいいし、ミネラル分が豊富で、完全栄養食品というほどの食品である。バナナは糖分は確かに多いが果糖であるから、問題はいくらか少ない。黒くなるにしたがって糖分が強くなるから、その点では注意がいるかもしれな
い。

 特に汗をかくような運動時には、ぜひとも取りたい。運動中でも楽に消化吸収されて体に負担が来ないから、マラソンランナーでも競技中に食べる人もいる。ああ黒くなってないとつい思ってしまう。ミネラルをいろいろ含んでいる。カリウム、マグネシウム、銅、マンガンが豊富な点では汗で出る分の補給になるので、農作業には向いている。

 石垣島に旅行に行ったら是非とも、島バナナを食べてもらいたい。もともとは小笠原諸島で栽培されていたと言われている島バナナ。それが明治21年頃に沖縄へ渡ったといわれている。タコノキも小笠原島から沖縄に来たと言われている。石垣島では自宅の庭先などで島バナナを育てている家を見かける 。風に弱いので背丈の低い選抜種もある。

 島バナナは大きさのわりに高い。通常のバナナの価格を思えば数倍になる。しかし、その栽培はなかなか手がかかり、難しいものがある。高いといつても1本100円程度だから、ぜひとも石垣島に来たら食べてみて欲しい。そして、熟成の程度を変えながら食べてもらいたい。

 青い内は青い味がする。黄色くなれば上品な酸味と甘みのバランス。そして黒くなればその甘酸っぱさとトロケル甘味は他にない微妙な味になる。しかも、健康のためには欠かせないものになる、と私は思っている。

 島バナナは皮が薄く黒くなるまでおいておくと、腹が割れて中の果肉が見えてくる。別に悪くなったわけではないので、これが食べごろだ。できるだけ木で完熟したものがいいので、現地で食べるほかない。熱帯果樹は石垣島の魅力の一つだと思う。

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