検察人事に介入するアベ政権の本音

   



  2月7日で定年退官する予定だった東京高検の黒川弘務検事長(62)の定年を8月まで半年ほど延長する異例の人事を政府が31日の閣議で決めた。政府関係者によると、検察トップの検事総長に黒川氏を充てるためとみられ、「異例の手続き」という。
 森雅子法相は31日の会見で「業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させる」と説明。政府関係者によると、業務遂行上の必要性とは、保釈中に逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の事件の捜査を指すとみられる。ーー朝日新聞

 黒川氏に関するブログで興味深い指摘があった。何故、アベ政権が黒川氏に固執するかの不思議な理由である。アベ政権が一番重視しているのは、アベ政権に対する功労による人事評価である。アベ政権に貢献した者には人事で必ず見返りを与える。世間的には異様なことでも、あえて行う。例えば、公文書書き換え指示者の佐川氏がそうであった。河井法務大臣就任も汚い選挙をしての奥さんの参議院当選の見返りである。

 これがアベ一族という政治屋の世界で育ち獲得した臭覚である。ボンボンの悪知恵である。政治家も官僚も上級国民が一番に望むものは栄誉と言うことなのだ。その本性を見抜いている。

 出世をエサにすれば、アベ政権に忠誠を誓い忖度して危ない橋を渡り、進めてくれる。このこざかしい知恵が、アベ氏の持ち味である。これは日本人の醜悪なところの権現と言えるだろう。それだからこそ私がアベ氏を嫌悪するのかもしれない。私の中のアベに対する憎しみだ。

 だから、どれほどアベ政権が悪政を行おうが、支持者には関係が無い。むしろ、大衆にとって悪政であればこそ、ありがたい恩恵をいただこうと期待がまして行く。有象無象の恩恵が存在するのだ。日本人の情けなさだ。わたしの中の情けなさも否定できない。

 アベ政権が自民党で一切の異論を抑えてきた汚いやり方は、この人事管理方法である。出世以外には興味の無い人種の世界である、官僚や政治家に成り上がろうという有能と言われる人達がいる。アベに逆らえば、冷や飯。アベを忖度すれば露骨な出世が待っている。

 この手法で官僚も政治家も黙ってアベ政権に従うポチになった。庶民だって従っていれば、桜を見る会に招待してもらえるかもしれない。官僚も政治家もそれなりに社会や国の事も関心はある。しかし、自分の出世と比べればそんなことはどこかへふっ飛んで行ってしまう。

 そうしたニンジンを吊された馬のような人間操縦術が、アベ政権のやり口である。アベ氏の習い性である。だから、黒川氏が批判されればされるほど、検事総長にしてやることで、後々の効果が波及してくるのだ。黒川氏を検事総長にすれば、次に忖度をする官僚や政治家のニンジンになるのだ。忖度の見せしめだ。

 発端は口頭で確認されただけという。公文書は当然無い。アベ政権らしい何気ない得意技だ。法務大臣の森氏も明らか何も知らなかった。誰も気付かないうちにやれると考えたのだろう。ところが、山尾志桜里氏がそれに気づき国会で質問したのだ。

 「定年延長」を決めた国家公務員法改正案の審議で、「検察官には適用されない」との政府答弁が、39年前の衆議院内閣委員会でなされていた。これを山尾志桜里議員が見つけて指摘したのだ。優秀な人だ。森法務大臣のしどろもどろの答弁はひどいものだった。

 ここまで書いたのは15日の朝である。15日中に法務委員会において、強行採決されると言われている。19日頃に伸びたとけさの新聞にはあった。アベ政権の悪政の数々の中でも、いかにもアベ氏の本質が表された案件である。いずれにしても近いうちに強行採決されるとみている。問題はそれでもアベ政権の支持率が下がらないかである。

 自民党の中からも大分反対が出てきた。こういうことは久しぶりのことだ。反アベ議員が結集を始めた匂いもかすかにする。いよいよアベ後の政界の変化を考えてのことだろう。アベ政権を引き継ごうとする勢力と、反アベの中で覆そうという勢力の争いなのだろう。

 自民党の中では次の勝ち馬は誰なのか、必死に探る動きだろう。そしてポチの群れは誰かにひっついて行くのだろう。こう言うときに以前の河野太郎なら、自分の意見が言えた。ところがダメになった河野太郎はコバンザメに過ぎないのか。小泉進次郎も静かである。

 今回のように国民の関心が集中したときに、おかしいことをおかしいと言えないような政治家では、期待はできない。今からでも遅くはない。後出しじゃんけんと思われてもいいから、閣外に出て自分の主張を言わなければならないときだろう。多くの国民がそれを待っているはずだ。

  コロナウイルス感染拡大で非常事態が続いている。このどさくさ紛れに、三権分立に関わる重要な法案が、どさくさ紛れで審議されていいのか。公明党は与党であるなら、党首である山口氏は弁護士として、この問題を説明する義務がある。日弁連は反対声明を出している。説明を自民党に求めるのは筋違いである。みずから説明できないのであれば、反対すべきでは無いか。賛成は自己矛盾だ。

 公明党の存在が本当に日本の政治をダメにしている。創価学会の現世利益というものがどれほど政治を悪くするかだろうか。公明党は日本人の劣化の象徴に見える。創価学会も身分制度の厳しい、忖度組織と言われている。

 コロナの世界的流行は日本の方角を変える大きな機会になりうる。これから、厳しい経済運営が待っている。たぶん日本経済は抜本的な組織替えをしなければならなくなるはずだ。その政治を誰が引っ張って行くのか。

 アベ後の政治は今後100年の日本の方角決めることになる。これが出来るような政治家は今のところ見当たらない。山尾志桜里氏ぐらいだろうか。その力もまだ未知数かもしれない。アベに操作されているような人物では到底期待できない。待っているだけではさらに悪くなると言うことなのだろうか。
  アベ政権はついに、これまでの方針を変更し今の国会での成立を見送る方針を固めました。5月18日5時

 - Peace Cafe