田んぼ穂揃い期
田んぼは穂揃い期まで来た。18日を1番、2番、4番、5番、7番、8番、9番、10番、11番。穂揃い日とする。田んぼもいよいよ最高潮である。穂揃い期とは稲穂が、出そろった時期のことである。穂が出ていることは誰でもわかる当たり前の姿だろう。簡単に判断できそうだが、これが案外にばらつきがある。一本植えの苗では最初に穂が出てから、10日は穂が出るのに時間がかかる。その上に、出穂が遅れる水口から、最初に穂が出る水尻まで穂が出ることにも10日の差がある。だから、2週間近く出穂から穂揃いまで時間がかかる。このばらつきをどのように見るかは人によって判断が異なるようだ。私は出穂期も厳密に半分穂が出た時期とする。そして穂揃い期も穂がだいたいではなく、完全に出たなというところで見ている。これは毎年自分で同じ基準で決めれば良いことである。毎年のことで、同じ基準で稲の生長が判断できれば、田んぼの作業の適切な時期が決められる。
穂揃いを決めるという事が出来れば、水をどこで落とすのが最善かが判断できる。田んぼのイネを倒さない管理が見えてくる。出穂から穂揃い10日後までは水は切れない。稲が穂を作る時期は水が必要になる。走り穂の頃から、深水管理を終わり、徐々に間断灌水に入る。間断灌水をするという事は、田んぼの隅々まで新鮮な水を行き渡らせるという事だ。夏の田んぼでは水がよどんでいれば、すぐ死に水になる。だから流し水をする訳だが、流していても、田んぼの水がすべて変わる訳ではない。淀んでしまう場所がどうしてもある。そこで水を一度落しては、再度入れるという間断灌水を繰り返してゆく。一度水を抜くという事で、土壌もいくらかは固まる。土を固めながらも、十分な水で大きな穂を育てる。この少し矛盾した管理をが重要になる。徐々に水を切る間隔を広げてゆく。田面に軽くひびが入る所まで水を抜くことができるようになるんが、穂揃い10日後である。
穂揃い10日後は例年8月末になる。ここまで来ればかなり田んぼを乾かすことができる。それでも干田にするほど乾かし過ぎる十分膨らんだ穂にはならない。粒張りの良い穂は最後まで水のある田んぼのイネである。そこで、水はあるが田んぼが固まってゆくという気持ちで水を落としてゆくのが、田んぼ後半の水管理になる。この矛盾した状態を自分の田んぼのやり方という事で、確立したい。しかし、上手く行きそうだと思えば、豪雨がきたり、台風がきたりして、すべてが水泡に帰すことがままある。今年は果たしてどうなるのであろうか。
今年は田んぼの草がすさまじかった。初期段階で、徹底したコロガシをしなかったところは草が出た。コロガシはやはり4回は必ずやらなければならない。草がなさそうだからやらないというのでは、後で大変なことになる。草を見ずして草をとる。転がしをやった後に草が出たあたりでは、拾い草が必要であった。拾い草をやらなかった田んぼでは、今すざましい勢いでコナギが生育をしている。イネの分げつを半減させるほど抑えている。穂も小さくなっている。この時期になって草取りをやると、数倍の時間がかかる。また稲の痛みも出る。初期段階のコロガシならば、稲を痛めるどころか、稲の生育にプラスになる。4回やっても10時間で済む。ところが、これを手抜きすると、20時間でも草は取り切れなくなる。しかも稲の生育は疎外されてしまう。やるべき時期にやるべきことをしなければ、良い稲作は出来ない。
草取りをして乱れた田んぼ