北朝鮮:先制軍事攻撃論

   

北朝鮮への対応をどうしたらいいのか、日本人一人一人の命にかかわるような深刻な事態が迫っている。こうして脅かされ続けることがすでに犯罪的行為だ。アベ政権は北朝鮮が話し合いに応じなければ危ういと感じるところまで、経済封鎖、軍事的圧力で追い込まなければならないと主張している。今回の選挙でも経済政策以上に、北朝鮮の危機に対応できるのは自民党であると叫んでいる。先日、友人と久しぶりに会ってこの話になった、その友人は北朝鮮に対し軍事攻撃までしなければだめだと主張した。このまま時間が経過すれば日本の危険は増すばかりだというのだ。確かに、多くの日本人が北朝鮮が暴発する前に、抑え込んでほしいという空気が強まってきた。日本に攻撃力がない以上、アメリカにやってもらうしかないという考えに繋がる。その為には選挙で安倍政権に勝利してもらわなければならないというような、話になる。アベ政権はその筋書きをチャンスとして、急な解散をしたのだろう。対外緊張が高まると与党保守政権に有利という事になる。

北朝朝鮮への先制軍事攻撃を行い、何が起こるのか想像しなければならない。北朝鮮の核施設を空爆するという事になるだろう。それ自体は成功する可能性は高い。そして、同時に金正恩が潜んでいる可能性のある建物を破壊するという事だろう。これも建物の破壊は成功するだろうが、金正恩を消滅出来る可能性は低いとしなければならない。イラクのフセイン大統領に対する攻撃の時を想像しなければならない。当然、アメリカや韓国が把握している、北朝鮮軍の基地も同時に空爆することになる。現実には、どのような空爆の規模であれ、北側の施設の全てを一気に壊滅は不可能である。反撃を断つところまでやるという事にしなければならない以上、地上軍が行かなければならなくなることは目に見えている。地上戦には中国やロシアも黙ってはいないだろう。猫の尻尾を踏むようになる可能性がでてくる。

北朝鮮が米軍の空爆を予想して、対応の作戦を立てているのは当然のことだ。10発ぐらいの核ミサイルは、韓国や日本の米軍基地に向けて一気に発射されてしまう可能性がある。そのうち半分は迎撃できたとしても、いくつかの核爆弾が日本で炸裂することになる事も想像できる。それは、広島長崎の原爆よりもはるかに大きなものと考えなければならない。数百万人の命が失われる可能性もある。もしそれが日本の原発に向けてであれば、日本という国が存亡の危機に見舞われるだろう。北朝鮮への先制攻撃とは、当然日本へのリスクも考えた上で行われるだろう。しかし、アメリカにとっては今やることの方が望ましいという考えになる。日本や韓国が壊滅しても、アメリカ本土にまで核ミサイルが飛ばせない間に、先制攻撃した方が良いと考えているはずだ。その恐ろしい判断を後押ししているのが、日本の安倍政権である。こういう現実を想像しても、北朝鮮に軍事的、経済的圧力を高める戦術だけでよいかという事である。

もし北朝鮮で地上軍が送られるようになれば、日本の自衛隊は参戦せざる得なくなる。それが日米同盟だと安倍政権は叫んでいる。あの安保法制はその為に強行採決された。確かに北朝鮮と平和外交をするなど不可能に見える。しかし、日本がアメリカと同類であると見られていることを避けることは出来る可能性はある。少なくともアメリカに対して核軍縮をしろと日本は迫る必要がある。北朝鮮向けのポーズととられても良い。日本は攻撃しないでおこうと思うような、汚い戦略である。汚くとも日本に核ミサイルが落ちるよりはましだ。そして、北朝鮮の生存権を保証する具体案を提案できる可能性はある。日本がもしかしたら、仲介役に成れるかもしれないと思わせることが出来るかもしれない。ただ圧力をかけるだけでは、必ず戦争に発展する。戦争はあまりに無力だ。解決どころか、多くの人間が死ぬのだ。弱腰と言われようとも、汚い国日本と言われようとも、戦争をするよりはましだ。

 - Peace Cafe