田植後一か月の管理

   

右から3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、奥に12番、その上が2番

田植え一か月後でその年の稲作は定まる。この時の田んぼの土壌の状態で、その後の管理が決めればいいと考えている。田んぼ中を歩いてみる。土を握り触ってみる。その感覚でその年の土壌の状態が分かるように感覚を磨く努力をする。1、歩いて見て田んぼの深さはどこまで深くなっているか。2、泥の粘着度はどうか。3、表層のトロトロ層はどうなっているか。4、泡の沸き具合いはどの程度か。泡の匂いは。5、土の匂いはどうか。6、水口と、水尻のちがいはあるか。7、草の生えるところはどういうところか。8、藻が出るとすればどんな条件の所か。9、生育の良いところ、例年との違い。10、葉色の淡い変化でおかしなところがあれば、土壌の確認。

田んぼごとに違うのだと思うが、自分の田んぼではどういう時に良いお米が出来たかを記憶する。そして、その良い土壌のできる条件を覚えておく。

手前が11番の冬水田んぼ、その上が里地里山の10番田んぼ奥に9番と、8番と7番。さらに奥が12番と2番 田植え直後が13番、14番の岡本田んぼ

田植え一ヵ月までが停滞気味であるか、順調な生育であるかを判断する。苗が良かったのに、停滞気味であれば、土壌に土壌分析でわかるような問題がある場合も多いい。リン不足の経験が多いい。冬の間の土壌の管理状態の是非を再考する。今年は田植え3週前にソバカスを撒いた。これが初期生育に好結果となっている。良い生育であれば、その理由を考えてみる。秋起こし、藁の状態、緑肥、堆肥、天候。苗が重要という事は一か月後によく表れてくる。1か月後に分げつが充分でない理由は、水温、日照、肥料分、が苗に直接的に作用している。水温が低ければ、水尻は良いはずだ。日照不足であれば、全体的に生育の遅れが生じている。肥料分が足りなければ、葉色が浅い。いずれにしても株をよく触ってみる。握って硬さを確認する。葉が厚ければ、握ってゴワゴワする。シナシナするようではすべてに良くない。有機栽培であれば、初期生育が遅れるという事が言われるが、そういうことは全くない。苗作りが失敗しているか、土壌が悪いかである。そもそも有機農業だから収量が少ないなどという事は、全くない。

冬水田んぼ、田植え直後とは水の状態がまるで変ってきている。

有機農業技術は自然に従い、判断してゆく、柔軟さと研究が必要という点で、体験的な蓄積が必要。有機農業の方が、手間がかかることは確かだ。水管理もその日その日で変えてゆくほどの細やかさが必要になる。そして天候の影響を強く受ける。その年の天候の読みも必要になる。1月目の稲は分げつが平均で10本に達していれば安心である。あと3週間で6月20日で20本分げつを目指す。葉は9枚目前後が出ている。分げつも3回目が出始めたころだ。その株が、扇のように広がり開帳型であってほしい。握ってすすきのような硬いイネであってほしい。田んぼを歩けば根が切れるようなブチブチ感がある。根が田んぼ全体に広がり始めている。この時期にはヒエが出るなら出始める。見つけ次第取り除く。今は一本のヒエも出ていない。取り除くことは可能な雑草だ。コナギに集中するようにしなければ、性格の違うコナギの駆除ができない。コナギの性質が分かれば対応ができるのだが。これがなかなか手ごわい。

里地里山の田んぼ 一本植が、右側の4本植に近づいてきている。左奥の白く見えるところは陥没して土嚢袋で補修。

コナギが無くなれば1俵増える。草が無くなれば、田んぼ作業の労働時間が半分になる。草取りを頑張るより、草を出さない努力をする。その方が作業時間は半減する。1か月までのコロガシである。コロガシを縦横2回行えば、かなりのコナギは取りさることができる。残ったコナギは7月中の拾い草程度で何とかなる。この後の課題はは穂肥をどうするかである。倒伏させずに畝取りするのが目標になる。今まで倒伏が心配だから、追肥は控えてきた。肥料と言っても糠を使う位しかないのだが、糠の緩やかな肥料の効き方が、稲の丈を伸ばしてしまい、倒伏に繋がる不安がある。しかし、穂肥を与えない栽培では最後の穂の大きさ、粒の張り具合に物足らないものがある。多分穂肥と、干し田は組み合わせ技術なのだろう。干して倒さないという事と、穂肥を与えられる土壌作り。ここからが重要な管理となる。

 

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