石原慎太郎記者会見
石原慎太郎記者会見を見た。痛々しいような、哀れなような気がして責める気にはなれなかった。84歳だったか。こういう年齢の人をつるし上げるという事自体が、見るに堪えなかった。これは本人が希望した記者会見なのだから、仕方がないことかもしれないが。冒頭の発言によると、家の前に報道陣が陣取って、警察に来てもらうような大騒動になっているので、記者会見をして身の潔白を主張するという事だった。同時、洗いざらい述べて困る人も出るだろうが仕方がないという、思わせぶりの前宣伝までしていた。会見の内容は、想像の範囲で目新しいことはなにもなかった。何故か、自分が素人であり、建築や、汚染対策に知見がないことは当然のことであると強調していた。いまさらそんな弁解はいらない。本来知事であれば、知見がないから、その道の専門家にお願いして調査してもらうべきだったという事だろう。これは新銀行東京の時も同じで、経済の専門家ではないから、破たんを予測できなかったのは仕方がない、という事になる。
では当時石原氏は何をしていたかと言えば、国政である。衆議院議員を辞めて都知事になってからも、都庁には出向かず、都政に専念するというより、国政にしか興味ないように見えた。石原氏自身国政の専門家のつもりだったはずだ。明治帝国日本を再構築したいと考えて政治を志した人だ。国政で総理大臣にはなれなかったので、都知事になったという感じだったのではないか。この人の都政は正直めちゃくちゃだった。私は日の出の最終処分場の問題で、裁判闘争までしていたので、実にその上の空の素人ぶりにはあきれ果てていた。しかし、都民の人気は絶大で何でも許されてしまったではないか。今のアベ政権と似ている。何故か暴君的キャラクターでも人気がある人はいる。論理を超えて何でも進められてしまうところがある。独裁者というのはそういうタイプなのだろう。そして何故か、尖閣の所有権の買取を東京都が提案するという珍事。こんな異常が通ったのだ。そして寄付金が集まったのだ。
石原氏が記者会見で述べたことは実は正しい。いまからでも遅くはない、豊洲は止めればいい。私が以前ブログに書いた考えと同じであったのには驚いた。生鮮食料品の市場は内陸部の、インターのそばに移転すべきだという考えだ。流通と食品の衛生管理を考えれば、当然の発想である。都知事石原氏もそう主張したが、それは独裁者のような都知事でも相手にもされなかったという。築地の市場関係者やその周辺の既得権益が抵抗勢力になるのだろう。東京都の部局が豊洲移転の方向で固まっていて、内陸部移転は論外だったという。本来政治というものは、その間違った方向を正しい方向に向けるのが都知事の役目であろう。その役割を果たせなかったことが、都知事としての力量不足という事であろうが、その自覚はなかった。その結果、汚染土壌対策に予想外の対策費が生じることになる。内陸部であれば、800億などという膨大な費用はいらなかった。
では小池氏はどうだろうか。土壌調査の結果を待つと繰り返し述べている。なぜこんなに土壌調査に時間がかかるのだ。慎重にやるのはいいが、これでは時間稼ぎにしか見えない。築地市場の土壌も汚染されているという話が出てきた。それを小池氏はずいぶん前から認識している。しかし、公表は避けてきた。誰が持ち出したのか知らないが、築地市場はコンクリートでおおわれているから安全だという小池氏の答弁にも、あきれた見当違いでびっくりする。それなら、豊洲もコンクリートで覆えば安全ではないか。小池氏の場合は、豊洲であろうと、オリンピックで在ろうと、ボランティアの制服であろうと、小池新党の政治勢力を拡張するために持ち出して利用しているようにしか見えない。都議会の100条委員会はいまさら何をするのだ。自分たちが無能で、石原都政時代何もできなかったことを忘れたのか。いつの間にか、何もしない都議会になっていたではないか。政務調査費が足りなかったのか。腹が立つ。