赤色ヤケイ

   

photo by Lip Kee

酉年である。NHKテレビで幻の鳥赤色ヤケイをタイのジャングルで探す「ダーウィンが来た」という番組を放送していた。赤色ヤケイがどのように暮らしているのかには以前から興味があったので、楽しみにしてみた。何より驚いたことは耳朶、顔の横にある肉垂れが白かったことだ。しかもハート形の鮮やかな白だった。赤色ヤケイの耳朶は赤だと思い込んでいた。土佐小地鶏のイメージが強かったかもしれない。但し小地鶏の脚は黄脚である。耳朶の色は生息地域での違いなのだろうか。あるいは個体差なのだろうか。こういう研究はあるのだろうか。ネットでは赤から白までいろいろの写真が出てきた。私の昔の思い込みでは赤のはずだ。小国の耳朶は完全な赤という事になっている。東天紅は耳朶白という事だ。この違いを品種として固定することはなかなか難しい。実は、テレビに出たタイの赤色ヤケイは、飼われている人間の作り出した鶏と交雑している可能性が高い、と私は見たのだが。果たしてどういう事になっているのか。

赤色ヤケイの足の色は鉛色である。楊柳色と言える。東天紅は楊柳色であり、小国は黄脚である。小地鶏の足が楊柳色なら赤色ヤケイである。これが耳朶の色との組み合わせでなかなか揃わない。他はすべて良いのに、耳朶だけは白が差す小国ということになる。長年の割り切れない想いが、すっきりとした。つまり赤色ヤケイの耳朶は赤もあれば、白もあることになったという事だ。原種の赤色ヤケイの耳朶の色にこのような変化があるのでは、作られた鶏の固定の困難さも当然のことである。脚の色はどこから黄脚が出たのだろうか。これも不思議な変化だ。黄脚のヤケイというものが、いまではいるのだろうか。しかし赤色ヤケイは幻の鳥というほどの希少種ではない。テレビ的にはそうなるのだろうが。なかなか見ることが難しいという程度の事である。ブキサールというインドネシアの品種は、赤色ヤケイと交雑させるという事が行われているらしい。鳴き声を競技するため、つまりジャングルに響き渡る声を良しとするので、ヤケイとの交雑をする。これも一例だが、闘鶏の為の交雑などもある。結果ヤケイ自体が家禽の影響を受けた可能性がある。

赤色ヤケイがかなり高い木の上で寝ていた。相当に飛ぶ。日本キジ程度には飛ぶという事だ。夜寝る時には高いところに寝るということは分かるが、メスが卵を抱く場所は地上のはずだ。ダーウィンが来たでも、写っていたのはオスだけである。メスはどこかで抱卵している可能性が高い。見つからなかったのだろうか。テレビ映像ではオスが一羽だけだったが、本来単独でオスだけがいるというのは、少し不自然な気がした。地上で抱卵しなければならないので、メスは地味な保護色だ。抱卵していなければ、雄と一緒に高い木にとまって寝ているはずだ。メスは複数いる群れで生活をしているはずだ。この辺ももう少し取材してもらいたかった。

鶏やヤケイの遺伝子の調査というものは進んでいるようだ。家禽に関する調査では、家禽というものの交雑は複雑で、品種というものの整理が遺伝子的には明確にならないもののようだ。それがどうもヤケイの遺伝子解析でも似たようなことがあるようで、調査個体が少ないためなのか、家禽と4つのヤケイの関係も明確とまでは言えない。昔から、鶏の祖先は赤色ヤケイのみだと言われているが、交雑という意味では、どのヤケイとも可能なのだから、いろいろのことが起きていると考えた方が良いのかもしれない。私は子供の頃、高麗キジとバンタムとの交配を行った。死もごりではあったが有精卵は取れた。ヤケイはすでに家禽との交雑の影響を受けているのではないだろうか。ここに書いたことは、全く素人の感想にすぎないのだが、赤色ヤケイのNHKの映像について、専門家の人の助言はなかったのだろうか。赤色ヤケイとしてどの程度の信頼性がある映像なのだろうか。

 

 

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