中国蔑視と国粋主義

   

尖閣諸島に中国船が領海侵犯すると騒いでいる。なぜ日本政府が国際司法裁判所に提訴しないのかがり化できない。わざわざ問題の火種を作ろうとしているとしか思えない。東シナ海の基地化問題では国際司法裁判所の判決に従えと主張している姿に矛盾がある。明治期の文明開化は脱亜入欧であった。これが中国と日本との関係を変えることになった。日本は中国を通して、ありとあらゆるものを学び、日本という国を育んできた。明治政府は機械文明に後れを取ったことに焦りを感じ、どうやってヨーロッパに追いつくかだけを考えた。過去の文化を含めた全否定である。江戸時代を否定すると同時に、その根底にあった、中国の影響も否定した。それが日中戦争になり、中国蔑視になっている。それは南北の朝鮮に対しても同じものがある。今でも、国粋主義と中国、朝鮮の悪口は同じ人が主張することが多い。中国はこれから成長を続け、日本をはるかにしのぐ経済先進国になる。経済を考えれば当たり前過ぎる予測である。

日本とは何か。このことを明確にしなくてはならない。現代の国粋主義であろうアベ氏集団の考えている「日本」とは何なのか。実はこれがよく分からない。一番参考になるだろう物は、自民党憲法草案である。ここでは確かに国家主義はうかがえる。個人を抑えても国を優先するという思想がある。天皇は元首。それでも現行憲法にあるような、純粋過ぎる平和理念のような明確な思想に変わる日本は見えてこない。特にこれからの世界の変貌を踏まえた上で、日本観を提案するものではない。安倍氏のかつて主張した瑞穂の国美しい日本は標語に過ぎなかったようだ。日本とは日本企業のことのように見える。田母神氏や石原氏の国粋主義は中国に対する批判の中に、武力主義への夢想がある。経済崩壊への不安から湧き上がっているのがせいぜいの日本主義。中国批判以外で、垣間見る日本は靖国神社という事になる。靖国神社と日本の伝統的神社信仰とは相反するものである。

靖国神社に祭られるのは戦争で死んだ軍関係者だ。靖国神社は軍人の死者を祭ることが趣旨である。日本の伝統的神道とは距離がある。伝統的な神社信仰とは一線を画す特殊な神社なのだ。靖国思想で問題になるのは、過去の軍人を崇めることを通して、日本をまた軍人が守り支配する国にすべきという思想に通じているという事だ。軍国主義では武力で守るべきものをどのようなものと考えているのだろうか。日本人の命を守るという一般論はあるが、実際には進出企業の権益を守るという事のようだ。世界企業が世界経済を支配する方角がますます進む中で、軍隊と経済と国家の三者関係は明確でない。武力主義というものが根底にある。自分の存在を守るためには、暴力をいとわない思想である。暴力が個人の尊厳を守るものだと考えている。銃所持が普通の社会アメリカが好例である。アメリカという国家は何かと見渡しても、これは特にない。あえて言えるのは金持ち文化。成功するという事は、富豪になるという事に繋がる文化。

アベ政権下の日本はアメリカの影響下でリトルアメリカを目標にしている。アベ政権の先にある国はアメリカの配下である日本。アメリカもアベ政権を日本主義政権として、当初は警戒したが、実は配下を目指していると気づき歓迎することになる。日本の右翼の間違いやすいいつもの隷属の姿である。それがTPPである。経済でアメリカの支配下に入れてもらういう事だ。アメリカのお先棒になって、中国批判を展開している。アメリカの配下は良くて、中国の配下は我慢できない日本の国粋主義。中国は崩壊すると空騒ぎをしているが、中国はそれほどやわな国ではない。中国人は極めて優秀な商人である。アメリカに匹敵する、あるいは超える、経済大国になるとみたほうがいい。確かに今の中国は問題が多すぎる。態度も悪い。それは日本の高度成長期の2倍速で成長している結果である。落ち着くまではまだ相当かかるだろうが、中国は日本の5,6倍のGNPの国になるはずだ。その時になって日本の自称国主義者と拝金主義者は中国の配下になろうとして、慌てふためくのだろうか。

 

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