トランプ大統領候補をチャンスにする

   

アメリカの共和党大統領候補にトランプ氏にほぼ決まった。とんでもない発言の連発だと思うが、その一面歓迎するところがある。トランプ氏は米軍の駐留経費をすべて日本に持てという事である。現在の日本の負担は75%という試算がある。日本から引き上げる、と脅して負担をつり上げるつもりのようだ。アメリカ軍が日本にいるのは、アメリカの為が25%だと思っていたが、トランプ氏の発想では日本の為だけらしい。日本がアメリカに帰ってくれと主張するとは想像できないらしい。軍事力以外を信じられない人間にはそういうことなる。上手く対応すれば普天間から、アメリカに帰ってもらえる可能性が出てきた。普天間米軍基地の費用は払えないので帰ってくださいだけでいい。有難い誤解をしている間に、アメリカ大統領になっていただき、日本からの撤退を実現して貰いたいものだ。米軍のアメリカへの引き上げは、軍事力による世界平和が終わることを意味している。

中国が海洋進出するのとアメリカのアジア駐留は何か違うのだろうか。アメリカは世界への影響力を高めようとして日本にいるのだ。トランプ氏のアメリカは塀で囲って閉じこもってもらいたい。何の遠慮もいらないことである。確かに、世界の警察のつもりのアメリカが居なくなれば、当面混乱はある。しかし、そのことで生まれる平和もある。世界中の軍事バランスが崩れ、当面悲惨な戦争もエスカレートするところもある。同時に今のアメリカのやり方では、永遠に世界に平和が来ないことだけは確かだ。アメリカという国がない前提で、世界を考えてみるというのも悪いことではない。さわやかなものだ。世界中が、イスラム国や、北朝鮮のことを本気で考えるようになる。国連の意味も根本から変わるだろう。日本の自動車に35%の関税をかけるとも主張している。この人は軍事音痴ばかりでなく、経済も全くわかっていない振りをしている。アメリカが世界との関係を断つというならそれもいいだろう。自分の利益だけを主張しても結局はまわりまわって自分の首を絞める。

武力による世界平和はあり得ないとするのが日本国憲法の考え方が、再認識される。いよいよ日本の出番になる。日本政府は日本国憲法に従い国の運営を行う。世界の紛争に対して、平和的手段を持って発言しなければならない。アメリカが世界に対して発言をしないなら、日本の平和外交も意味を持つはずだ。平和外交ができないのであれば、日本国憲法という宝の持ち腐れという事になる。トランプ現象を世界が変わる大きな機会にすべきだ。トランプ氏が、一貫した論理を持っているとするなら、北朝鮮の核武装も容認するという事になる。同盟国だけ核武装する根拠がない。そうなれば、イスラム国も核武装する可能性が高い。それでもアメリカが塀の中で安全のはずもない。世界全てが核軍縮をする以外に、世界が破滅から逃れる道はないのだ。次の核爆弾はアメリカで爆発する可能性が一番高いだろう。

その一国の平和のためには、世界全体の平和戦略が必要になるという事に気づくはずだ。その負担は、経済力に応じて世界各国が負担すべきだ。アメリカはそれだけ巨大であり、世界中にその利権構造を張り巡らせている。アメリカの優位な部分だけを強調したところで限界がある。経済は世界中が連携している。その連携も絶とうという事で起こる、経済不況に一番耐えられないのがアメリカ人のはずだ。トランプ氏の登場でアメリカエゴイズムの本音が、表明されたことは日本が反省する良い機会であった。トランプ氏の発想は、イスラム国や北朝鮮と類似である。相手国を思いやる気持ちがない思想は、成功するはずもない。アメリカという国は、べらぼうな善意とトランプ流の利己主義がないまぜになっている。こういうことに惑わされず、日本は日本流の平和主義を世界に打ち出す必要がある。

 

 - Peace Cafe