原発不要論

   

安倍政権は原子力発電は必要だといって、無理やり再稼働した。原発が安い電力であるという算出根拠の説明はない。日本国民の半数を超える人が再稼働を反対しているのに、川内原発はついに再稼働した。恐ろしいことにそれに合わせるように桜島が怒っている。いったいこの不安をどうしてくれるというのだろう。何より腹立たしいのは、世界では原発の展望はなくなり、ついに昨年の原発の新規建造は3基にとどまったという現実だ。当然、津波も、地震の不安が高い、日本のように安全基準のハードルの高い国では、もう原発に展望などないのだ。政府は過去に執着して原発を止められないだけだ。このことを考えると歯がゆくてならない。原発は高価な電力になっている。古い原発を使える間使っていれば、廃棄する費用が掛からないという程度の理由でへばりついている。廃棄すればそのごみの行き場さえないのが現状だ。完全に原発は行き詰まった。かろうじて再稼働で息をつこうということに過ぎない。こんな展望のない場当たり的な政策をとる政府は、電力の新展開にたいして、思考停止に陥っている。

電力の緊急性をアピールしようと、計画停電をしたが、それが単なる脅しに過ぎなかったことをこの暑い夏は証明している。台風のたびに大きな停電が起こるが、停電が命にかかわるといっていた、安倍氏はこの間何をしているのだろう。手は打ったのだろうか。すでに電気は余り始めている。理由は簡単である。無尽蔵資源である天然ガス発電が一気に拡大している。発電は天然ガスと石炭が中心で、石油はいまや9.3%程度なのだ。しかもどんどん価格が低下してきて、買い手有利な状況だ。イランがホルムズ海峡を封鎖するなど、全くの日本政府の国民への脅しに過ぎなくなっている。しかも、この間自然エネルギーも徐々に増加して、水力と合わせれば12.2%になっている。来年の4月からは電力の販売は自由化することになる。原発に依存した電力会社が立ち行かなくなることも、いよいよ現実味を帯びてきている。

この背景は企業は自家発電を始めている。企業は経済で動いているから、原発を抱えている電力会社の電気が割高になることを見越している。すでに4分の1の企業が自家発電に変わった。ソーラー発電を工場の屋根につけているところも目立つ。もちろん本格的な天然ガス発電装置を設置した工場も多くなっている。電力が自由化されれば、さらに電力会社離れが起きることだろう。来年には原発などにかかわらない、新発電会社がより安い価格の電力の販売を始めるのだ。新発電会社は、間違っても原発など作らない。割に合わないからだ。過去になろうとしている独占電力会社がなぜ、原発にこだわっているのか。政府に押し付けられているのだろうか。旧電力会社は原発の存在そのものが経営が困難に陥る可能性が高くなっている。旧電力会社が原発に固執しているうちに、世界の電力の方角は変わっている。

米100俵の我慢ができないのだ。新しい産業を構築するには痛みが伴う。我慢もいる。何よりも、今までの思考方法を否定しなければならない。原発が安全で格安という思い込みを、否定しなければ次には進めない。これが旧電力会社では難しいのだ。だから、独占企業という形態はだめだ。常に新しい発想の競争相手が現れるという環境でなければ、産業の構造というものは変わることができない。しかも、自民党政権は既得権の上にある政党だから、どうしても発想が守りになる。今ある大企業をつぶすような革新的な政策が取れない。新エネルギーについても、口先では推進を主張しながら、世界の流れから後れを取ってしまった。日本の安全保障はホルムズ海峡ではなく、新エネルギーだ。一日も早い転換が第3の矢を放つことになる。日本のような化石燃料輸入国には、新エネルギーの展開が国の展望になる。どうも、自民党政権の間は、既得権益とのせめぎあいで、第3の矢は放たれそうにもない。

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