アースバックハウス・土嚢袋の家
三津浜からの富士 10号 この風景から、富士山のイコンが取り出せるのではないかと思っている。
以前から自分で作る家づくりには興味がある。発泡スティロールの家というのに何か簡単そうで興味があった。販売されている発泡スティロールの家は工場で作って、置くだけで済むような感じがとても簡便で良い。一度泊まってみたいと考えていた。そこで今回、福島の方に行く機会に宿泊してみた。扉を開けたとたん、これはダメだと思った。空間としてはドーム型でも何の苦痛もない。これはこれで柔らかな良さがある。問題は、湿気である。眼鏡が曇るほどの湿気があるのだ。だから、宿泊施設としては除湿機をかけっぱなしだ。除湿機をかけ続けているということは、音がうるさい。生活の中でこんな音がしているのでは、不愉快でたまらない。すぐ消した。消して、外から戻ると、眼鏡が曇る。外は良い天気である。問題は素材としての遮断性だ。まるでビニールハウスの中に居るような状態である。翌朝には、クシャミハナ水である。もしかしたら、カビの様なものが増殖していたのかもしれない。
使ってみなければ、この素材の弱点も長所も良く分らないかった。長所は意外にしっかりしているということだ。20年ぐらいでは素材の劣化はほとんどなさそうだ。もしこの家を改良して利用するとしたら、先ず土台を高くして、その上に載せることにする。天井の明かり取りのドームは、浮かせて、風の流れを作りたい。土台を高くするのは、土嚢袋で積み上げても良い。このドームをあくまで天井として利用する。大きなドーム状の天井を作るというのは、なかなか困難なことだ。アースバックハウスと組み合わせれば相当大きな建物が、楽に可能になるのではないか。教会のように十字架上の土台の建物を作り、その十字架の交点にドームを乗せる。一部屋は入り口の部屋、一部屋は寝室、一部屋は水回り、一部屋は仕事部屋、そして中央のドームの部分が居間。構造的な問題はどうなのだろう。あくまで自分で作る家である。安定したものなら、自分でも試してみることができる。しかし、家というものを思い切って見直せば、土嚢袋の利用は土塀作りに生かされるべきだ。
以前、建築審査課で聞いたところによると、家というものの概念は屋根が固定されているということらしい。どんなしっかりしたものでも、壁だけであれば塀ということになると言われていた。それなら屋根のない家づくりは、どこでも合法で出来ることになる。作る前にもう一度聞いてみたい所だ。むしろ良い壁さえあれば、良い家は可能なのかもしれない。壁が外界と遮断していれば、その中は砦のようであり、安心感がある。屋根について考えると、雨を防ぐ機能ということはあるが、上部が葡萄棚の様であれば、とても心地良い空間が作れるともいえる。寒さについていえば、床下にオンドルを作る。熱源はロケットストーブだ。中央に囲炉裏を作るのも良い。泥で積み上げたベットを作る。煙道がベットの下を抜けるようにする。ベットの上だけ軒を付ければ良い。傾斜地に作る方が魅力があるだろう。床は雨でぬれても、水が流れてしまうような、レンガか、タイルの床が良い。タイルやさんにはいくらでもいらないタイルがある。
思い切って塀だけの空間の広場づくり。雨も入ってくる囲まれた空間。空間というものの心地良さを突き詰めるのはおもしろ。沖縄のグスクの城壁である。柔らかな形の石積みで囲まれた空間の心地良さ。天気の良い時だけ使う空間の価値もある。広場というものの役割と、家という役割との中間的なもの。家が個人的であれば、広場は公共性がある。この中間的なもの。焚き火が出来る空間。窓で風景が縁取られた空間。囲まれた空間なのだが、高い位置に登れば、そこから外部を見渡すことができる。いわば、内庭の様なものをもう少し部屋感覚を高めた空間。床が雨でぬれても、水はけが良くすぐ乾くものにしてあれば自由度が広がる。一時雨宿りできる軒先が少しあればいい。本降りになってきたら車に逃げ込む。一度こういう空間を実際に作ってみたいものだ。