真空保存:パックン
箱根の眺望 5号 足柄平野のどこから眺めても、箱根が西側に立てた屏風のように、ある。その裾模様が私の住んでいる舟原あたりである。
昨年のお茶の分配会の時に、パックンという真空保存機を貸してくれた人がいた。これでお茶を全部保存した。そうして冷凍庫に入れて置いた。その結果がとても良かった。すぐにパックンを購入した。特に種をこれで空気を抜いて、保存している。真空というほどではないが、空気がかなり吸い出され、その後ビニールから入ってゆくことがほとんどない。一年くらいの保存では、充分使える。最近では大麦の種を1,4キロパッキングして、冷蔵庫に入れた。こうしておけばほぼ完ぺきな状態で、種子保存ができる。小麦も、大豆も、お米も、パックンで空気を抜いておけば、虫が湧くようなことはない。小麦などは粉にしてしまい、それをパックンで保存する。こうして置けば、劣化することが防げる。結局保存のための冷蔵庫や冷凍庫が必要になるのだが、パックンで包装して、茶箱に入れておくだけでも、かなりの鮮度が保てる。いくつか問題もない訳ではないが、ともかく自給生活では重宝している。こうした機械を使った保存は感心しないと考える人もいるのだろうが、私の考える自給は、江戸時代を参考にして、現代の技術を充分に活用するという考えだ。
まず、お米の保存である。思考錯誤していた。籾保存をすることで、ある程度解決を見ていたのだが、籾保存には2つの問題があった。かさばるということと、機械小屋まで行って籾擦りを頻繁にやるのが、結構面倒くさかった。そこで玄米にする所までは、秋に採れた時にしてしまう。それをパックンで保存することにした。広げて安定した玄米を、7,8キロづつパックンで真空パッキングして、茶箱に入れておく。つまり、60キロぐらいの量を保存する。それ以外の玄米は普通の紙袋に入れて、茶箱に入れておく。茶箱に入れて置くのはネズミと猫よけである。今の時期すでにパックン保存のお米を食べているのだが、まるで新米と変わらない美味しさである。交換のビニールが特殊な空気を通さない、熱圧着出来るビニールで、5mで500円はする。一袋が50センチとして、50円になる。3回使用して問題はない。
玄米にしたら、広げて乾燥をする。ハザ掛けで満遍なく乾いていれば、問題がないが、ハザ掛けでは下になった籾は結構水分が残っている。表面のお米が理想の水分量の15、5%まで乾いていても、中の方のお米が19%ぐらいあることが普通だ。だからハザ掛けでは、途中で掛け直しをする人もいる。しかし雨が一度も降らないことなどめったにないのだから、脱穀したお米の乾燥にムラがあるのは普通のことだ。そこで玄米にしてから広げて、最低でも一日は風通しの良い日陰で干してから保存する。今年のお米はカビ臭いなどと、不平を言う人の多くは広げて干せと言ってもできない人の場合がある。ついでだから書いておけば、お米を天日干しにするのは、太陽の力で熟成のような何かを進めていると考えた方がいい。天日干しの干物と同じで、お米の風味が増す気がする。乾いたお米を50センチに切ったビニール袋に入れて、パックンで真空圧着する。これで7,8キロある。一年経っても何ら変化はない。同じ袋を再利用しても問題ない。
小麦の場合は、製粉所でまず粉にしてもらう。これを2キロづつパックン袋に詰めて、保存しておく。小麦は粉にするのが大変なことで、自分で粉にしながら使うというのも良いのだろうが、なかなか手頃な製粉機が見当たらないので、今は粉にしてもらいパックン包装する。大麦の場合も同じだ。30キロはあるんで、5キロ袋で6つほどにして茶箱に入れた。醤油に使う分夏越ししなければならない。今年は、麦みそも作ってみたいと考えている。大豆はそういうことはしていないのだが、来年は種の分だけはパックン保存したいと思っている。いずれにしても種物はすべて、パックン保存すれば、虫が出ない。特に夏越しするものは、かなりの効果ではないかとおもう。パックン包装したものを冷蔵なり、冷凍なりした場合は、空けるときに常温にしてから開けるということだ。そうしないと湿度を吸ってしまう。