田んぼの間断灌水
朝日の田んぼ
田んぼの水管理は、間断灌水を始めたところだ。間断灌水を開始するのは、花の受粉がほぼ終わったところを確認してである。受粉の時期は水を切りたくないという気持ちがある。今までこの時期に田んぼを乾かしてみたことはないので、どこまで水が必要なのかは分からないが、この時期稲が水を一番吸い上げるのではないかと見てきた。それは入水量の増加である。減水深箱の時期かなり少なくなってくる。トロトロ層も厚くなり、縦浸透も減っていると思われる。にもかかわらず、稲は盛んに水をを吸い上げ、油断をすると入水量不足になることが起こる。欠ノ上田んぼではカニが毎日必ず穴をあけるので、分りにくいところがある。それでも稲は花が咲いているときは水を使うということは感じられるほどだ。例えば、1っ個所湧水だけで2畝程の田んぼを行っている。ここは入水量は、ほとんど変わっていない。ここの湧水はあまり雨や乾燥の影響を受けないようだ。今日、明日が穂揃いである。ところがこのところ、水の溜まり具合が少ない。排水量が減少した。
間断灌水はこの水を必要とする時期を越えてから始めるようにしている。間断灌水をすべきなのかどうか、これも毎年迷うところである。今年はやることにした。稲が出来過ぎだからである。出来過ぎというのは、稲穂が出来過ぎというより、稲の株が出来過ぎである。簡単に言えば、苗床後の田んぼが窒素肥料が効きすぎて、わさわさ騒がしい感じになっている。止め葉よりも、その前の葉が大きく伸びている。その頃これは良い出来だと思ったのだが、止め葉は普通どおりであり、穂も普通である。分げつも悪くはないが、大いいとは言えない。穂だけ見れば例年とそれほど変わらない。ところが、稲株が出来過ぎの感がある。今後どうなるのだろうか。分げつが以外に取れなかったことと、出穂が1週も早かったこと。このあたりがどう影響してくるかである。
受粉が終わると、稲穂は少しづつ傾く、止め葉は立ち上がり穂が隠れ始める。この時期に間断灌水を始める。2日水を止めていると、ほぼ田んぼから水が引く。湧水が湧いているところもあるので、こういう場所は水が残っている。場所によっては田面にひびが来る。そこでまた水を入れる。全体に水が溜まるのに、1日は目いっぱいかかる。2日になる時もある。このあたりが天候と入水量次第ということになる。この管理をしばらくは続けてみる。予定では9月の20日ごろまでである。田んぼの地面を固めるということが主目的。深く緩んでしまった場所があるので、ここが固まるように持って行きたい。それでも倒れそうな気配で心配なところである。
もう一つの目的は、穂を大きく粒張りをよくしたいということがある。根の活性化である。深水を続けてきたので、根にそろそろ実を付け来年に備える必要があると合図を送る。自然の河岸の稲は、川の水の減少が起きてくることを知るのではないだろうか。この時期水の増減が必要という可能性はある。縦浸透を促し、根に変化を伝える。これを繰り返すことで、根は最後まで枯れることなく、稲穂に光合成の結果を送り貯めようとする。今まで葉に送っていたものを、葉から受け取り、実に送ろうという変化を促す。この時期に、分げつがさらに起これば、穂に行くどころか、新たな分げつに栄養分を取られてしまう。自然農法では、この分げつを抑えることが難しい。稲刈りが終わり、田んぼにどれくらい稲株が再生するかである。年によっては、穂がつくほど伸びることもある。これでは良い田んぼの状態とは言えないのではないかと、観察を続けている。稲刈りの時期と、天候による違いが大きいのだが、それを踏まえても、稲刈り後の稲の様子が、その田んぼの状態を一番表現していると思う。