半夏生(はんげしょう)

   

鬼柳境の「メダカ田んぼ」ではハンゲショウの草が半分白くなっている。この草は沖津さんにいただいたものだ。田んぼの隅に電柱があり、そのあたりが田んぼとしては使えなくなっている。道の際の田んぼだし、ビオトープのように植物が生えるままになっている。カキツバタはいつの間にか咲かなくなったが、ハンゲショウは毎年元気に再生している。このハンゲショウが葉を半分白くする頃が、夏至から数えて11日目の半夏生という日とされていた。現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている。毎年7月2日頃にあたる。農作業にはとても意味の深い日で、この日を最後の田植えの日として、しばらく農作業を休むとされていたらしい。私は様々な時期に田植えをしてこの地域の最適な田植え時期を探って来た。その結果、久野では最適は6月初めであり、苗の補植は6月の内に終えるという結論が出た。この日がほぼ昔から言われてきた、半夏生の日に当たることは不思議。

半夏生の日以降に植えた苗は、分げつが少ない。穂も小さい。粒張りも弱い。もちろん品種にもよるのだろうが、おおよその目途になる。昔からこの日を区切りにしたのは、稲の生育の推移から来たのだと思う。田植えの時期はどんどん早まっている。昔は、この地域では6月末だったということだ。田んぼで保温資材がない状態で、苗を作るとしたら、5月初めに種まきを行い、6月末がちょうど良いころ合いになる。私たちも、ビニール資材を使うことで、これを1カ月早めている。地域のペースに合わせないと、干し田の時期が上手くゆかない。私たちの田んぼではその点問題はないのだが、苗床をいっしょに作る田んぼに、そういう水の時期を合わせないといけないところがある。また、麦を裏作で作るなら、田植えは出来るだけ遅くしたいのだろう。裏作で麦を作らなければならないということはすべてに大変だったはずだ。

今年も、実験としてこの日に最後の苗を植えてみた。どのように育つかを見たいのである。田んぼはこの日までに、縦横の田車のコロガシを終わるようにしている。田んぼの土が良くなるということと、コナギの発生を抑えるということだ。そのために、縦横きっちりとそろえて、田植えをする。田んぼによって間隔が違うが、久野は24センチ角である。水が冷たく、日照が少ないので、分げつが取りにくいのだ。18分げつを目指しているが、せいぜい良くて、16までである。今年は春先から日照に恵まれてきたので、18を達成できるかもしれない。そうすれば8俵は固いだろう。月に10キロで120キロが核家族の基本的な自給分である。後今年はもち米が6キロはあるだろう。現在はは10枚目が出ている状態。

半夏生にはタコを食べ、農作業は休む。悪い雨が降り身体に悪いとされているそうだ。たこを食べるのは、根がタコのように張るという意味と、タコのように分げつが取れるという意味があるらしい。いずれこの日までに田植えを終えて一休み。

3月20日 籾洗い。
4月21日が種まき。6週育苗で
田植えが6月2日。
そして1ヶ月が経過
この間転がしをしました。
補植は6月一杯で終わりです。

草はまずまず抑えられていると思います。
土壌の状態も悪くない。
稲の生育は1週1枚葉が出ると言われます。
5葉期で植えて、現在9から10葉期なら普通です。
分げつが既に、10を越えた株もかなりあります。
分げつは18あたりが目標です。

昨日みんなに送った報告メールです。報告メールを一年分集めれば、大体作業が見渡せるようにと考えて送っている。もちろん自分の整理でもある。今年興味深いのは、舟原田んぼの9週育苗保温なしの育苗との比較である。籾洗いは一緒で、種まきが2週早く、田植えが1周遅れ。この田んぼも例年同じくらいの収穫なので、今年どんな様子になるかである。両方の田んぼともなかなか良い状態である。毎年出るイネミズゾウムシが全く出なかった。トロトロ層はやはり、土作りを長く続けてきた舟原田んぼの方が厚い。ただし、土の粘土分はそもそも欠ノ上の方が多い。この辺の違いがどのようになるのか。欠ノ上で2畝あまり新しく田んぼに戻したところは、水が湧水だけ利用なので冷たい。全体でいえば生育は少し悪い。予測ではこの後急速に良くなるとみているのだが、どうだろうか。草はやはりほとんどでない。田んぼに戻して2年は草は出ないものだ。

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