安倍氏の経済政策

   

この人の勝利会見は、良く自民党の現状を把握していた。自民党が支持率を回復したり、評価を上げた訳ではない。民主党やその他の党が負けたのである。そして、民主党は敗北に対して今もって認識が無い。選挙をやれば民主党は無く成ると以前書いたが、今だ存在しているのが不思議なくらいである。今度の参議院選まで民主党が存在しているようでは、話にならないと思うが、まあいくらか残って行くのだろう。民主党、党首鳩山氏の理想と現実の落差には全くがっかりした。今になって、幸せで恵まれた政治家人生だったなど述べているそうだから、歴史感覚がない。自民党の経済政策はどう考えても、無理がある。いよいよ財政経済諮問会議のメンバーが決まった。民間からは東大教授、三菱ケミカル社長、東芝社長、日本総研理事長。の4名である。当初言われた竹中氏の復活はなかった。

成功した経済人が、日本経済を任されたとき何を考えるか。経営合理化である。競争にマイナスな部分の切り捨てである。そうして自分の企業の成功を収めてきた。竹中氏の競争論理は弱者切り捨てであった。それが格差社会を生んだ。その最たるものが、韓国の経済政策である。韓国の国内では、生活者としての問題が山積していることは、一般に言われるようになった。競争社会で勝ち抜くと言うことはそう言うことである。弱者切り捨てをして、一部の大企業が世界企業として勝ち抜く。その恩恵を、国民みんなで頂こうという枠組みである。この方が有利というのが競争社会である。スーパーマーケット、コンビニエンスストアーが小さな町の商店を追い込んだ。そして、コンビニはさらに、ウエッブマートと戦う事になる。こうして、地域経済が疲弊している。春闘に対する経団連の主張は賃上げ出来る状況でない、企業の体力を強めることが、労働者の利益にもなるとの相変わらずの主張。ボーナスの上乗せという形で対応する企業は出てきた。

経済の寡占化は、大企業が世界での競争に勝利するためには必要なものかもしれないが、そこで暮らす大多数の人にとっては、不幸なことになる。インフレは企業にはプラスになるだろうが、生活者は苦しく成る。今後の経済の動向を考えた時、中国の動きである。中国が膨張主義で、安い労働力と、統制国家としての有利さを持って、先進国に戦いを挑んでいる。この脅威は同じアジア人である日本人以上に、白人たちは恐怖を持っている。EUは経済的に苦しい状況にある。日本以上のものであろう。中国の成長が、白人社会を追い落とすのではないかという恐怖感を持ち始めている。日本を中国圧力の防波堤にしたいと言う事になりかねない。これは、アメリカも同様であり、ロシアも近い感覚があるだろう。その位中国の世界戦略は脅威である。つまり、北朝鮮の強盛大国が実現したような国が、中国である。しかも、経済政策的にもきわめて巧みで、尻尾をつかませない。

しかし、中国国内は多様である。しばらく時間が経てば、中国も変わらざる得ない。その為にも、日本は日本の理念を持って中国と接するべきだ。尖閣をことさらに騒ぐことは、中国の思うつぼである。日本が世界に発信できることは、平和に暮らすという事の価値である。日本という島国の中で、他国に迷惑をかけずとも、循環型社会を構築できることを示してゆくことである。これを縮小経済、経済の委縮と安倍氏は否定している。安倍氏が呼び水としている公共事業は、呼び水だけで終わるのは明らかである。建設国債が次の生産を生み出す時代は終わっている。橋を新たに作ることで、新しい動きが生まれると言うより。橋を直すためにお金が必要なだけである。橋を直しても新しい産業は生まれない。残念ながら呼び水で終わる。世界1を狙うのではダメなのだ。世界になかったものを作り出さなくては駄目だ。大企業と国家の関係を、正面から問いなおすことではないだろうか。日本という国のための企業ということはあり得ないのだろうか。

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