安藤ニキさんの個展を見る
11月初めに水彩人展がある。毎回絵葉書を作るので、その写真をいそいでいる。すぐにもやらないと少し焦っている。期限を過ぎているのだが、まだとれないでいる。出す絵はほぼ終わっているのだが、写真を取ると手を入れられなくなるので、それはまだという気持ちで、延び延びになっている。3点出すので、10枚ぐらいの中から選んでいる。選んで組み合わせを考えたりして。それも延びる理由である。そんな中、農の会の仲間の安藤さんのお嬢さんが個展をされているというので、見せていただいた。明後日で終わりというので、まだ間に合ったということ。その詳細については、安藤さんのホームページに詳しいので、そちらを見ていただくと良いのだが。開催は24日までだったので、案内を書くとしては遅いが。場所は箱根湯本である。平賀敬さんのお住まいが、今は美術館になっている。そこである。良い場所を得て初めての個展は、幸運である。平賀さんが生きていればなあと思う。
玉子の配達をしばらくさせてもらった。老舗旅館のそばだった。平賀敬さんとは東京でお顔は見たというぐらいの関係で、その時箱根に居て、あんたもあっちだったね。というので紹介されたことがあった。しかし、暮らしているそばの人と知り合いたくないこともあって、絵もだいぶ違うということもあったので距離を置いた。亡くなられてから出来た、平賀敬さんの個人美術館も、この機会が初めてだった。絵の保存には最悪だな。というのが外からの印象であった。湿度がとても溜まるような地形だ。すべてが苔むしている。家は、国の有形文化財だそうだ。萬翠楼「福住」所有と書いてある。古い箱根の旅館のことだ。平賀さんのアナーキな雰囲気の絵とは距離がある。絵から見て、箱根に住まわれているというと、別荘地のモダンなアトリエ。ということだが、ご本人の印象は、明治時代に出来た家に住んでいるという方がしっくりくる方だった。どうせ不思議な絵だから、それでいいのだろう。
安藤ニキさんは初めての個展だそうだ。若い人の初めての個展。それだけでも、一見の価値はある。美術学校の卒業制作展というのは、面白いもので、がらくた市のような、掘り出し物がある。若い人の絵に、年寄りが先輩ぶってあれこれ言うのも、良い姿ではないので、論評は避ける。なにしろ、絵を描く以上若いも、年寄りもないし、知り合いのお嬢さんであっても、同じことになる。見せていただき、いただけるものはいただく。私自身は個展というものは止めにしてしまったし、東京まで個展を見に行くということも、めったにない。簡単にいえば得るものが無いからである。自分の何かになるなら、何をおいても行ってみたいが。付き合いで見に行くというようなことは、今更しないで置きたい。不義理であるが、仕方がない。水彩人展の仲間が三人も個展をやっていたのに。許しがたい失礼な奴である。
水彩人展は今、建て替えている東京都美術館が新装になると、そこで開催される。まだ、場所や期日は決まっていないが、やらしてもらえることにはなった。水彩人展の活動趣旨と活動内容からいえば、当然のことだと思う。東京都美術館は建物を新装するにあたり、従来の公募展を一新したい意欲があるようだ。美術に対し公が口は挟めないが、新しい美術の展開を求めているようだ。送られてくる書類にそういう空気が満ち溢れている。いずれ、しばらく発表の場を確保できた。水彩連盟展を退会させられたことが、結局新しい水彩の第三の展覧会が生まれることになった。巡り合わせなのだろう。どちらがまともであるかは、歴史が証明することになるだろう。金曜日までであるが、安藤ニキさんの個展はお薦めである。