畑の土壌調査
有機の里作り協議会で、畑の土壌調査を行った。本格的な土壌調査という物を一度は行ってみようと言う試みである。いつも行う土壌調査と、どこが違うのかが注目点である。曽我丘陵の尾根に近い場所にあるキューイ畑で行った。一本松と言う所に近いジョイファームのメンバーの畑である。その畑に入ったとたん全員がその素晴しい、畑に息を呑んだ。立派なキューイがたわわに、まさに他に言葉がないほど、たわわに実っていた。畑の明るさに驚く。ジョイファームのレベルの高さに感銘を受けた。何しろ1反2,5トンのキューイを安定して収穫しているそうだ。これほど実らせて、充分に肥大している事がすごい。有機農業の本当の可能性を感じることが出来た。有機農業で高収入を上げてゆく実際の圃場を始めて見たのかもしれない。
土壌調査した畑は江川到(えがわいたる)氏のキューイ畑であった。下中という曽我山の東側にある集落の方である。江川氏はジョイファームでも技術的に頂点の一人である。この方の背景にある技術の集積がすごいことだろう。いかにもスポーツマンと言う感じで、快活で爽やかな方だ。ともかくこの組織の方は率直である。他所の畑の事でも遠慮なく話す。これが技術向上には不可欠だと感じた。よほど互いを認め合う信頼関係が成立しているのだろう。ジョイファームにはこうした生産者が、100人以上居られるというのだから何とも素晴しい。それだけ、キューイと言う産物が小田原が適地でもあるということなのだろう。中心に長谷川さんと言う、実に信頼出来る親分のような社長がでんと存在する。率直であり、しかも簡単に結論を求めない強靭さ、小田原人気質のようなものがジョイファームに行くと感じられる。これが小田原有機の里作り協議会につながれば、その可能性は大きい。
土壌調査は先ず畑の中央で深い穴を掘った。そして畑の断面の観察を行った。側面の土の固さを測定。耕作土と真土両方とも調べる。20ミリ以下であれば根が入れると言われていた。真土でも柔らかかった。耕作土が33センチ平均。これは厚い。その下が赤土の土壌。33センチの耕作土は長年の耕作と、草の根と、緑肥の堆積からできてきたものと言われていた。4台この畑を耕作されてきた事がわかっているそうだ。33センチの団粒かした土壌の歴史と蓄積。普通この辺りでは、表土までも赤土の畑も多い。さらに畑の特徴が出ている、5箇所から土壌を採取した。表層は20センチの土壌採取。それより深い真土からも採取。5箇所を混合して、日陰干にするそうだ。それから科学的な分析。やってくれるのは自然農法研究センターの組織。
調査の間。江川氏から畑の考え方など聞く事が出来た。ゆるやかな東南傾斜地なのだが、その土は動かした事がないそうだ。ゆるやかに全体がうねっている。その傾斜の加減と僅かな地形の変化が、キューイに与える影響が強いそうだ。畑の淵と中央部分の違いもあり、全体の水の移動が重要だそうだ。地面をテラス状に平らにして植える場合と、傾斜のまま植える場合の違い。木の枝が山の上に向って上ろうとする性質。様々なキューイの特性に配慮しながら、畑全体をとらえているようだ。キューイは肥料を増やすと、潰瘍病が出る。肥料を少なくしての多収穫技術。土壌の作り方。土壌の分析が出て、これまでの事と今後の事が、専門家から分析が出る。そこでもう一度勉強会が予定されている。この後、10箇所の圃場で土壌採取、分析が行われる。有機農業を行う上で、今の状態の把握が、一番重要になる。土壌分析は常に行ってゆく必要がある。