農家の心

   

全国の耕作放棄地は2005年の時点で39万ヘクタールに達している。10年前よりも15万ヘクタール増えた。耕地面積で言えば、10年間で504万ヘクタールから2005年には469万ヘクタールに減少した。耕作放棄地とは、耕作する予定であり、かつ、耕作可能であるが現在利用していない農地の事である。15万ヘクタール耕作放棄地が増える間に、耕作地の方は、35万ヘクタール減少している。本当に深刻なのは、耕作地が減少していることだ。ところが、農水省の統計では、耕作放棄地が数字の上で増えることを嫌い、もう農地ではないと見切った所を増やしている。そして、その土地に関しては、責任が無いとしている。しかし、農業の本質的な問題としては、耕地面積の減少にある。背景にあるのは、農業者数の減少である。失業者はどんどん増えているにもかかわらず、農業者人口が減少してゆく姿、日本社会の構造的問題であると同時に、心の問題ではないかと。

世界的食糧危機は起きないという指摘がある。総量としての世界での食糧生産量と、必要量という意味では、そうした推定も確かに出来る。そうした、楽観的な予測をする人であっても、確実に予測しているのは、世界の食糧生産の偏在が深刻化すると言う事。政治的理由による、飢餓。このことは現実に世界人口60億人のうちおよそ8億3000万人の人々が栄養不足で、そのうち7億9100万人は発展途上国に暮らしている。つまり、世界の7人に1人、発展途上国では5人に1人が、飢餓状態にある。国内総人口の35%以上の人たちが栄養不足の国が27カ国ありますがそのうち、21カ国がアフリカに集中している。飢餓の理由は政治的混乱が大きな要因となっている。アジア:5億8,300万人 サハラ砂漠以南のアフリカ諸国:2億3,600万人 ラテンアメリカ・カリブ諸国:5,400万人 中近東・北アフリカ諸国:4,500万人。と統計されている。

政治的理由が原因となる、経済的混乱。昨年の穀物相場の高騰。投機的資金による価格操作。金融危機。相次ぐ経済混乱は、発展途上国の食糧状況を深刻に悪化させている。飢餓への警鐘が鳴っているのにもかかわらず、世界からの食糧支援は2001年の1,100万トンから2004年の750万トンへと減少している。昨年の金融危機以降、先進各国の経済状況から推定するに、近年の食糧支援はさらに困難になっていると思われる。日本の水田を全て復田すれば、750万トンを越える食糧生産が出来る。これを支援に回せば、少なくとも8億人の内1億人の飢餓は救済できる。607万人という企業内失業者が居るという。この2割程度が、農業に従事すれば労働力は確保できる。完全失業者の半分が農業を行えば、労働力は確保できる。政府が農地を強制的に借り上げ、失業者の対策にすることは出来ないか。生産物は全て、食糧援助に回す。これが平和憲法の道ではないか。

転作、休耕、補助金、大規模化、これらの政策が農家の心を蝕んできた。農家こそ心を膨らませながら、生きている人間である。農業が誇りある「お百姓さんありがとう」という世界から、余分なお荷物になった。そういう道を歩まざる得なかった苦悩。輸出中心の経済政策があった。豊かさという意味が、経済にだけに偏ってしまったのではないか。田んぼでお米を作って、得る収入。その数百倍にもなる、土地の投機的値上がり。何もしないで所有する事での資産価値の上昇が、お米の収入を惨めなものに感じさせたしまった。駐車場にした方が、賢い選択である。アパートに出来たら最善というような、社会的な仕組み。目先の要領よいものだけが得をする社会。このことは明らかなに間違っている。地道に、愚直に田んぼを続けているものが、馬鹿を見るような社会は健全とは言えない。日本人の日本人らしい勤勉を作り上げた、たんぼ。この田んぼをやってはいけないという国家。

昨日の自給作業:鶏糞とり、1時間草刈1時間 累計時間:13時間

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