年収300万円以下が50%
2009年度の経済財政白書では、日本経済の深刻な状態が指摘されている。企業内失業者が607万人いるそうだ。労働者数が6,412万人。完全失業者数は5月時点で347万人だから、働くべき仕事がない人が、954万人と言う膨大な数である。農業者数が500万人、販売農家数で179万戸。どれほど失業者がいるかがわかる。働きたい人の16%が仕事がない。企業内失業者と言うのは、給与は出ているのだから、それでも、企業は経営が続けられるのもすごい。企業の農業進出は、無給で出来るのにやらないという事になる。高給取りの社員が、仕事がないので工場の庭の芝生の草むしりをしていると言う話があった。それぐらいなら畑をやればいいのにと思うが、それでも農業はやらないほうがいいと考えている。いずれにしろ、働く人の10人に1人は仕事をしていない状態。そんな話は何時までも続く訳がない。どこかで企業にも限界が来る。
格差の方も当然広がっている。年収300万円以下の人が50%を超えた。企業は非正規雇用を切り捨て解雇しているが、あいかわらず、雇用者数では非正規雇用の比率は増大している。企業の中に余剰人員があふれている状況で、正規雇用はとても出来ないというところだろう。一方、最低賃金を上げるそうだ。農業分野での雇用はいよいよ困難が増す。困難が増すだけでなく、国際競争力は遠のくばかりである。農業は一次産業で、労賃が直接生産品に結びつく、産業である。コストが直であるから、企業のように余剰人員を大量にかかえるなど考えられない仕事である。国が考えるべきは、農業分野の雇用労働者でなく、自営する農業者を育てる方法である。当面は農業法人での雇用には、現在補助金制度がある。この補助金と言うのが案外曲者で、どこのどの農業法人でも、気軽に簡単に利用できるようにはなっていないらしい。と言うのは、すこし読んでみたが、面倒くさいので考えない事にした。
自然養鶏業が企業経営として成り立つか。成り立つなら、どこかの企業がやりそうなものだ。私は、この点では何度も相談を受けている。実際に始めた所も2箇所あった。しかし、正確な所は知らないが、その後止めたらしい。現在、ワタミが私と同じような規模でやっているぐらいである。そのワタミも北海道せたな町では撤退したとある。農業生産法人の経営を支援する「日本農業再生パートナーズ」が23日発足した。農業経営の現実は厳しく、農業生産法人の経営破綻(はたん)や予備軍が増えているという。発起人には整理回収機構(RCC)の奥野善彦前社長やワタミの渡辺美樹会長のほか、農林水産省の事務次官経験者や農業生産法人の代表ら16人が名を連ねている。農業生産法人や農家から、年間百数十件の支援要請や相談があるという。大型ハウスで順調にトマト栽培を続けている農業生産法人でも数億円に及ぶ初期投資が経営を圧迫している例や、飼料用トウモロコシが高騰し何億円ものエサ代が焦げ付く寸前といったところもある。ぜひともワタミの渡辺さんには成功例を見せてほしいものだ。
にもかかわらず、景気は回復傾向にあると、又以前の繁栄にもどる。こう言う幻影を作り上げている。その幻影が、954万人の働けない人を生み出している。企業は又以前のようになるから、我慢して、雇用を続ける。失業者も景気が良くなれば、以前のような割の良い仕事があると考えている。そう言う形の再生はないという事を、政府はきちっと表現すべきだ。経済白書では輸出の予想外の落ち込みが、こうした緊急事態を生み出したとしている。その上で、経済の再生を輸出の回復に期待している。アメリカや中国経済回復が全てである。もう、海外に依存した産業の構造から、脱するべきではないか。貧しくとも、自立した国家を目指すべきではないか。100%が年収300万円の国になれば、格差はない。それの方がよほど健全だと思う。