農家数34万5000戸

   

65歳未満の農業従事者がいて、所得の過半が農業所得である「主業農家」の数が2009年で34万5000戸(2月1日現在)となった。1年間で2万戸(5.5%)減ったそうだ。このわけ方だと私は主業農家ではない。販売農家数は1年間で5万1000戸減り、169万9000戸。ここに入るようだ。これだけの失業時代に成っても、農業従事者は相変わらずの減少である。特に、農政が力を入れている、大きな農家の育成が目だって進まない状況が見える。総人口の1%の主業農家で、つまり100人を1人で食べさせようと言うのが日本の農政の方向である。「一人の食糧は1時間の労働と100坪の土地で可能」と言う私の体験からすると、一人が毎日100時間働いて、1万坪、耕作しなければならない。どんなに大型機械を使い合理化したとしても、日本の食糧自給は日に日に困難になっている姿が見える。

格差社会、派遣切り、生活保護世帯の増加。色々言われていても、主業農家になれる人間が現れない。それだけ農業が、展望のない、困難な職業になっているのだろう。私のような農業好きから見ると、やる人が増えようがない現実は、哀しい事である。若い頃三菱エレベーターの孫受け会社で1年余り、現場の労働者として働いた事がある。較べれば農業の方がはるかに身体は楽な仕事だ。結局若者にとって、農業に抵抗があるのは、展望が持てないという事に尽きるだろう。肉体労働であっても、お金になると言う保障はあるなら、農業者は増えてゆく。農業は働いても、お金にならないかもしれない。全てが徒労に終わるかもしれないような、不安定な仕事に見える。さらに困るのは、始めるにあたってはとてもハードルが高い。やりたいと考えただけでは、始められない。技術がなければどうしようもない。農地が使えなければ始めようがない。アパート暮らしでの農業は難しい。

この失業時代に、2万戸もの減少というのは、老齢化である。農業は60歳代が主力のような状態である。一年経てば、2万人が65歳を超えるのだろう。この流れでは10年経てば、団塊の世代がいなくなる。半減するのは間違いがない。農業者が新しく育つのは、容易な事ではない。最低でも3年はかかる。集落営農を支えらる主力農家となれば、10年の経験は必要だろう。減少をくいとめる為には早急な手を打つ必要があるが、新しい農業者を育てる仕組みはない。政府が食糧の自給を真剣に考えている様子がない。他の産業と同等に農業を考えて、国際競争力のある農業を育てる。こう言う方向違いを主張している。他の産業は生産効率が大いに改善されて、世界との賃金差を乗り越える技術革新も出来る。しかし、農業は近代化したと言っても、江戸時代の2倍程度の生産性しかない。アメリカの近代農法と、江戸時代の農業を較べても、どちらが永続性のある、大きな効率から見た場合優れた技術か分からないような産業だ。結局は労賃が大きく生産費を占める。農業は他の産業とは別物と考えなくては解決策はない。

農業の国営化も考える必要があるかも知れない。農業には会社に入社するような仕組みがない。もし、国営農場があり公務員が農業をするようになって、安定した職業であるとなれば、若者も就職するだろう。食糧を作ると言う仕事が、病院や、学校や、消防署と同じ、公営という方向も考えざる得ないかもしれない。上手く行くとも思えない。農業好きには辛い考えでもある。やる人がいないのなら、そう言う事になる。昨日とてもしっかりした考えをもった、養豚や養鶏をやって見たいという女性が、見学に見えた。IT系の仕事をされてきた方だそうだ。是否やってもらいたいと思う。どうすればこの方が、農業者になれるのだろうか。農の会には3人の独身女性の農業者がいる。みんなさん自立心が強く、しっかりした考えを持って、営農を続けている。頭が下がる思いだ。やりたい者が居て、普通以上に努力している。大変でも良いから農業を続けて行ける国になってほしい。

昨日の自給作業:畑の片付け1時間 累計時間:7時間

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