中国の大旱魃

   

中国では近年、旱魃が繰り返し起きている。国務院(政府)が設置した対策指揮本部によると、北京市のほか河南省、安徽省など12の省・自治区・直轄市。昨年10月下旬以降、一帯にまとまった雨が降らず、作付面積にして約1030万ヘクタールの範囲で、冬小麦が枯れたり成長しないなどの被害が出始めた。429万人と家畜207万頭分の飲料水が不足し、指揮本部は「小麦生産地を襲った50年来の干ばつ」と指摘する。黄河の水が海に流れ込まない状態である。以前から、南にある長江から、巨大な導管で北に水を送り込む計画が進められている。しかし、南の長江も水位が極端に下がり、私が見たときは5メートルほど、以前より水位が下がったと言っていた。水質汚染が、限界を超えている。洞庭湖の富栄養化がすすみ、緑藻が繁茂した状態となっている。洞庭湖自体が年々小さくなり、今や中国一の湖水ではなくなっている。

中国から連日黄砂が飛んで来ている。九州の農地では土壌の酸性化深刻な状態で、毎年ペーハー調整が必要と、先日、赤嶺氏の講演では話されていた。今日は小田原でも黄砂の観測がされる可能性があるそうだ。黄砂も砂漠の砂だけならいいのだが、中国で環境汚染された化学物質が、大量に押し寄せることになる。日本海側のほうが、疫学的に乳がんの発生が高いと言う記事を読んだこともある。旱魃で恐いのは、汚れた水を農業に使わざる得ないことだ。日本の化学肥料、および化学農薬の単位面積当たりの使用量は、世界一である。この深刻な状況を日本では、雨がかろうじて救ってくれている。土壌に蓄積せず、水に流してくれている。しかし、旱魃の中国と成ると、全ては土壌に残留することになる。この化学物質が土壌を砂漠化してゆく。文明は繁栄した、果てに、砂漠化する。

中国のうなぎは、イメージとして食べることができない。その養殖池の状態が、日本で言う池とはそもそも違うのだ。淀んだ死に水になる。水と言うものが流れないし、浸透をしない。その死に水にかろうじて、酸素を送り込んで、養殖をするしかない。「命の水」中国はこの貴重な水を軽んじてきた。水が汚れると言う事に、感覚的に日本人とは違うものがあった。水は高きから低きへ流れる。このイメージが無い大陸。田んぼを作っても、入水口と排水口は地形から、決まってくる日本の地勢。水への信仰は、稲と共に日本人の成り立ちに関わる。今旱魃にあっている小麦は6月に収穫される。中国の主要食糧である。中国政府が改めて、食糧危機にはならないと、声明を出すほどだから、よほど深刻な状況と考えなければならない。4大輸出国の一つオーストラリアが、よほどの異常気象だ。世界の食糧状況も楽観はできない。

私の小さな畑の小麦は順調な生育だ。30坪作っている。近くには湘南小麦プロジェクトと言うものがある。「ブノワトン」パン屋さんの高橋氏が提唱している。以下、現代農業の記事から。「30キロ6000円で小麦を購入している。自分で製粉してパンにするようだ。平塚の転作小麦農家、加藤忠秋氏と市川氏。30キロ4000円までなら、と考えていたが、補助金がなくなり、2000円以下になる。これでは作る気にならない。神奈川県の小麦生産量は95t。湘南エリアでは18トンをこのお二人が作る。」小麦がキロ200円なら作る。1ha作って、100万円。これでは生活ができない。圃場の条件が北海道とは違う。オーストラリアとは違う。私の作った経験では、キロ500円以下では作れない。しかし、自分で食べる分には、幾らであろうが、かまわないのだが。

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